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【信念に基づく宿敵】ジェラール・ピケVSセルヒオ・ラモスを解説

2017 6/30 12:56dada
ジェラール・ピケ
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2大巨頭の顔、ピケとラモス

リーガ・エスパニョーラには2大巨頭と呼ばれるメガクラブがある。それが、FCバルセロナ(以下、バルセロナ)と、レアル・マドリードCF(以下、マドリード)である。
2017年5月、2018年のW杯に向け招集されたスペイン代表には、バルセロナから5人、マドリードから6人が招集された。この2クラブは宿敵同士ではあるものの、代表戦では顔を合わせともに戦うこととなる選手達が多く所属する。
そんな選手たちのなかで注目すべきが、ジェラール・ピケ選手(以下、敬称略)と、セルヒオ・ラモス選手(以下、敬称略)の関係だ。2人は同じスペイン代表のDFとしてプレーするも、その関係は冷え切っている。ピッチ内外で常に戦う犬猿の仲なのだ。

スペインとカタルーニャの歴史

ピケとラモスの関係が冷え切った背景にあるのが、バルセロナとマドリードの関係だ。両クラブはリーガ・エスパニョーラだけでなく、スペイン国王杯(コパ・デル・レイ)、CL等でのタイトルを争っている。
バルセロナとマドリードがこれほどまでにライバル視される背景にも理由がある。それは、バルセロナとマドリードが歩んできた中世からの歴史だ。
バルセロナを首都とした独立国だったカタルーニャは、マドリードを首都とするスペインと同君連合を成立させる。カタルーニャは独自の文化を保持したまま近世まで暮らしていたが、その後スペイン(マドリード)はカタルーニャをはじめ独自の文化を持つ地域に首都基準(マドリード)の価値観を共通認識するよう通達した。
カタルーニャの人々はその通達に激しく抵抗を示し、今もなお独立運動が行われているほどである。これが政治、文化においてもバルセロナとマドリードが対立してしまう原因の一つなのだ。
ピケはバルセロナとカタルーニャを心の底から愛している。バルセロナには祖父も役員として参加した過去があり、自身もバルセロナでユースを経験している生え抜きだ。クラブと自身の人生は常に密着したものだと考えており、その発言にはバルセロナに対する愛情表現とマドリードへの文句、そしてそのマドリードのキャプテンであるセルヒオ・ラモスに対する非難も含まれている。

数多のスター選手を前にしたラモス

ラモスはマドリード所属以前は、セビージャFC(以下、セビージャ)に所属しトップチームのデビューもセビージャで飾っている。
しかし、2005-06シーズンにはマドリードへ引き抜かれ、テクニックと攻撃力に秀でたフェルナンド・イエロ氏の後を引き継いで背番号4を背負った。その後もラウール・ゴンザレス氏、リカルド・カルバーリョ選手、イケル・カシージャス選手(以下、敬称略)ら多くの優秀な選手の傍で学び、成長してきた。
2015-16シーズンからは副キャプテンからキャプテンとなり、名実ともにマドリードの象徴となった。
マドリードへの侮辱は決して許さず、皮肉を交えて反応する。特にピケの言動には敏感で、SNSやメディアを通して非難し合っている。

常にバチバチのピケとラモス

ピケとラモスは、SNSやメディアを通して非難し合っている。
かつてマドリードが、出場させてはいけない選手を出場させたことで国王杯の敗退がきまった際には、泣き笑いするような絵文字をTwitterで発信した。このことに対して言及されると、「レオ・ハーレム(スペインのコメディアン)の話を見ていて笑っただけだよ。面白いと思ってね。大したことじゃないよ」と説明。これに対してラモスは「馬鹿げたことは辞めるべきだ」と主張した。
また、2017年4月のクラシコでは、ラモスは「あの判定(ラモスへの1発レッドカード)は大袈裟だ」としつつ、審判に不満を言い続けたとされるピケに対し、「彼らはいつも審判について話している。フットボールについて違った解釈をしているようだが、マドリードはそんなことはしない。ただ、今回は彼の不満が結果に出たんだろうね」と皮肉を述べた。
彼らの間にはこのようなエピソードがいくらでもある。仲の悪さは誰もが知るところで、本人たちもそのことは重々承知だろう。

活動の幅を広げるピケはどこに向かう?

バルセロナとカタルーニャを愛するピケは、その活動の幅をどんどんと広げつつある。カタルーニャの独立運動への賛同や、独立のための住民投票を求めるデモへの参加。そして、日本企業である楽天をスポンサーに据えるためにも一役買うなどしている。特に楽天の三木谷氏はピケと親友関係にあるらしく、契約の締結にあたってもピケのサポートがあったと明らかにされている。
もしかすると、ピケは引退後にバルセロナのフロント入りや、自分で何かしらの企業を立ち上げようとしているのかもしれない。ピケのこれまでの発言や行動はバルセロナのサポーター、カタルーニャの人々の指示を集めている。フロント入りは当然と言えば、当然かもしれない。楽天のスポンサー契約への関与も今後のキャリアを見据えてのパイプ作りなのだろうか。
また、ピケは自身に向けられるメディアの報道に嫌気が差している。代表に招集されることへの野次や、ピケに関するデマとされる報道にうんざりしているのだ。自身で「選手のためのメディアを立ち上げたい、選手のための本物のメディアを、だ」と発言しており、今後の活動には注目が集まっている。
ピケの活動の多くは、ラモスやマドリードへの批判に直結する可能性が高いが、己の強い信念に基づくものである。そんな彼にラモスも反応するのだが、ラモスも己の信念に基づいて行動しているだけだ。 信念に基づくからこそ、両者の溝は深いのかもしれない。

スペイン代表の黄金時代の終わり

スペイン代表には、シャビ・エルナンデス選手やイケル・カシージャス選手が選出されていた過去があり、スペイン代表を牽引してきた。2人は一時不仲説が報じられるも、U代表の時代からいくつもの修羅場をくぐり一緒に戦った仲間として賞賛し合っている。
彼らはバルセロナとマドリードでそれぞれキャプテンであったが、それは代表に呼ばれても同じだった。彼らの下でスペイン代表は「無敵艦隊」と呼ばれる黄金期を迎え、EURO2008、2010年のW杯、EURO2012と世界のビッグマッチで連覇を続けた。
彼らが代表を引退してからは、ピケとラモスがスペイン代表を牽引している。しかし彼らは犬猿の仲であり、代表戦でも淡々と試合をこなすだけだ。チームの結びつきは、前述のレジェンドらが居た時よりも弱くなっているように思える。実際にビッグマッチでの成績にも恵まれず黄金時代は終焉を迎えている。
スペイン代表にはどんどんと有望株が輩出されているが、代表を強くまとめられる選手がいなくては躍進は難しいだろう。ピケとラモスの今後の関係はどうなるのだろうか。

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