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パウロ・ディバラとセリエAで微笑む貴婦人

2017 6/30 12:56dada
パウロ・ディバラ
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多国籍なディバラ、3カ国にまたがるルーツとは

ユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)に所属するパウロ・ディバラ選手(以下、敬称略)は、近年のサッカー界を代表する選手だ。 アルゼンチン代表としてもプレーしており、リオネル・メッシ選手(以下、敬称略)とも比較されることがある。
しかし、ディバラのルーツはイタリアとポーランドにあり、所有している国籍は3カ国にわたる。 生まれはアルゼンチンで、地元クラブのインスティトゥートACコルドバというクラブでユースチームに入り、プロデビューも飾っている。
その後、2012-13シーズンの夏にUSチッタ・ディ・パレルモ(以下、パレルモ)に移る。同胞のフランコ・バスケス選手と素晴らしいタッグを組み、2014-15シーズンにセリエA復帰直後のパレルモをリーグ11位にまで導く。
その時には世界中のクラブから注目される有望株となっており、結果的に2015-16シーズンからユヴェントスでプレーすることが決定した。

貴婦人の新たな2トップ誕生

ユヴェントスには約37億円とされる金額で移籍した。同年にはマリオ・マンジュキッチ選手(以下、敬称略)が加入しており、この2人で2トップを組むこととなる。
元来、イタリアの伝統的な2トップというと、1人はフィジカルや空中戦に優れる選手で、もう1人がスピードやテクニックに優れているというのがセオリーだった。前のシーズンはカルロス・テベス選手や、アルバロ・モラタ選手、フェルナンド・ジョレンテ選手がこのセオリーにフィットしていた。
ディバラとマンジュキッチは、ユヴェントスにやってきた新たな2トップである。機能するかどうかは未知数であったし、ディバラの移籍金の高さを疑問視する声もあった。
ただ、その疑問の声を跳ね返すようにディバラは活躍を続け、世界を代表するFWの1人に成長している。その市場価格は、ユヴェントス移籍時の倍以上の100億円以上とも言われる。
ユヴェントスは貴婦人という愛称で、セリエAに君臨し続けている。その圧倒的なまでの強さは、貴婦人というよりはすでに女王である。ディバラが活躍を続ける限り、この女王も微笑み続けることだろう。

豪華過ぎるアルゼンチンの攻撃陣!メッシとの比較

ディバラのプレースタイルは、同胞のメッシ選手(以下、敬称略)やセルヒオ・アグエロ選手(以下、敬称略)とよく似ている。
スピードとテクニックに特に長けており、シュートやチャンスメイクも得意とする。 相手の意表を突くパスにより味方の攻撃を引き出すこともできるため、相手選手からすればディバラの動きは予測しづらい。対応に一瞬の迷いが生じれば、ディバラはあっという間に抜け出してシュートを決めにいく。
メッシにしてもアグエロにしても、それぞれ別のリーグでプレーしているが、その実績や能力に疑いの余地はない。アルゼンチン代表には多くの優秀な攻撃陣がいるが、彼らが代表に集結した際には誰を起用するか考えものだ。
1993年生まれのディバラの場合は、前述の2選手よりも長くプレーできそうだが、アルゼンチン代表には今後も若く優秀な攻撃陣が形成されていきそうだ。
メッシとの比較は今後も続くだろうが、ディバラ自身はメッシに対して非常に好印象を持っている。 「メッシは神様のような存在。その彼が僕のことを評価してくれているのは知っている。ものすごく光栄だし、一緒にプレーしたいと思うよ」とコメントしている。
実際に2016年9月の対ウルグアイ戦では、彼らは同時にピッチに立っている。残念ながらこの試合でのディバラはイエローカード2枚で退場となっており、メッシの1得点によりチームは勝利を収めた。ディバラの精進は今後もまだまだ続きそうだ。

先を見据えるユヴェントス、必要なのは○○の多様化?

2016-17シーズンのユヴェントスは、少しずつだが変化が起き始めている。 ゴンサロ・イグアイン選手を加入させてからは、伝統の3バックと2トップのシステムから、4-2-3-1のシステムを起用し始めている。
その場合、トップの位置にイグアイン選手、左サイドにマンジュキッチ選手、トップ下にディバラ選手が位置する。スピードに劣るマンジュキッチ選手のサイド起用は危ういように思えるが、選択肢の1つとしてフィットし始めている。
マンジュキッチ選手はサイドから突破するのではなく、サイドからゴール前に侵入し相手選手のマークを引きつけることを目的とする。マンジュキッチ選手はフィジカルに優れるため、クロスボールの確保や、ゴール前でボールを保持するポストプレーが上手い。そして、そのボールをイグアイン選手やディバラ選手に供給し、ゴールを重ねていく。
ディバラ選手はイグアイン選手の後ろから素早く飛び出してくるため、相手選手のマークがつきづらく自由にプレーすることができている。
セリエAを連破するユヴェントスは、マンネリを感じつつある。リーグ優勝は当たり前のこととなり、次に目指すべきはCLの制覇だ。そのためには、このように攻撃の選択肢を多様化させることが必要だ。
ただ、ユヴェントスの陣容は全体的に高齢である。2016-17シーズンのCL出場クラブに限って言えば、ユヴェントスの選手たちの平均年齢は29.7歳で、バイエル04レバークーゼンは24.5歳である。経験豊富なベテラン選手の多さがユヴェントスの強さではあるものの、リーグ戦やカップ戦、CL等の忙しいスケジュールをこなしていく上では、長期戦を戦い抜ける若さも必要だ。
そういった点からも、ディバラ選手のような若い才能はユヴェントスにとって貴重であるし、今後も積極的に取り入れていかなくてはならない。

ディバラはユヴェントスに所属し続けるのか?

ディバラはユヴェントスで替えの利かない選手となっており、その実力を疑う者はいない。その素早い適応力の高さを評価し、即戦力として欲しがるクラブも少なくない。レアル・マドリードCFやFCバルセロナという、スペインの2大巨頭からの関心はずっと続いている。どちらのクラブも数々の大型の移籍を成功させているクラブであり、サッカー界随一の強豪クラブだ。
ディバラは2017年の4月に2022年まで契約を延長しているが、移籍しない可能性は0ではないだろう。ユヴェントスは彼に約8億円の年俸を払っているとされるが、この額は2大巨頭らからすれば小さい額だ。 ブランド力、現有戦力、金銭面の力の大きさも申し分ない。選手としての悲願であるCLの制覇はディバラも望んでいることだろう。ユヴェントスでの制覇が難しければ、活躍の場を移す可能性は十二分にある。
若きディバラの活躍と去就は、今後も目が離せない。