「真のマンチェスター市民のクラブ」世界の強豪となった道程(前編)
マンチェスター・シティFCの前身であるゴートン・アスレティックが創立したのは1880年のこと。既に130年以上の歴史を誇るシティですが、2011-12シーズンのプレミアリーグ優勝は実に44年振りの快挙でした。
長らく低迷期を過ごし、同じくマンチェスターに本拠を置くマンチェスター・ユナイテッドが世界的なビッグクラブに成長するのを2部や3部に所属しながら眺めているシティでしたが、「真のマンチェスター市民のクラブ」とする地元ファンからは根強い人気を集めていました。
「真のマンチェスター市民のクラブ」世界の強豪となった道程(後編)
2007年、そんなマンチェスター・シティFCに転機が訪れます。
タイの前首相であるタクシン・チナワット氏が会長に就任し、イングランド代表監督も務めた名将スヴェン・ゴラン・エリクソン氏が招聘されました。両者がシティに関与した期間は短かったものの、話題性は大きく、世界にそのニュースが配信されたことでシティの知名度は向上します。
翌2008年、タクシン・チナワット会長はオーナー権をUAEの投資グループADUGに売却、潤沢な資本を得たシティは、チームの中核を成す名選手を次々と獲得しました。同時にそれらを統制する裁量を持った陣営を引き入れることで世界屈指の強豪クラブへと変貌したのです。
プレミアリーグ最高級の「個の力」。シティのラインナップ・1
全てのポジションに世界的名選手を揃えたマンチェスター・シティFCの陣容。その中でもチームに欠かせない存在を中心にラインナップを紹介します。
まずDFですが、2008年の加入から不動の存在だったヴァンサン・コンパニ選手がここ2~3シーズンは怪我やコンディション不良で調子を落としており、新加入のジョン・ストーンズ選手と加入2年目のニコラス・オタメンディ選手が軸となっています。
MFでも不動の存在だったヤヤ・トゥーレ選手が新チームにフィットしておらず、出場機会が減少していますが、ブラジル代表のフェルナンジーニョ選手や怪我が癒えたイルカイ・ギュンドアン選手が見事な活躍を見せています。
プレミアリーグ最高級の「個の力」。シティのラインナップ・2
現在のシティで重鎮となるのがダビド・シルバ選手です。左利きのテクニシャンはシティの攻撃面において、あらゆる役割を果たしてきました。新シーズンはこれまでよりポジションを1列下げましたが、守備の貢献でも光っています。
攻撃面ではケヴィン・デブライネ選手の存在も欠かせません。ラヒーム・スターリング選手はスピード溢れるドリブル突破に運動量とクロスの精度が加わりました。
そして世界でも有数のフィニッシャーであるセルヒオ・アグエロ選手は、極めて高い攻撃力を誇るシティの得点源です。
ペップ・グアルディオラ監督のチーム改革は1年目で実を結ぶのか?
FCバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンという世界最高レベルの2チームで指揮を執ってきたジョゼップ・グアルディオラ監督が、今シーズンからマンチェスター・シティFCの監督に就任しました。
これまでも誰もが驚くようなシステムを起用してきたペップ監督は、シティでもアレクサンダル・コラロフ選手やフェルナンド選手をCBへ、フェルナンジーニョ選手をアンカーへ、ダビド・シルバ選手をCMFへとコンバートしています。
GKを含むフィールドの全選手に足元の技術を求めることや、変則的なサイドの動き、空けたスペースを突かせないための素早い守備、FWに課される多くの役割など、ペップ監督が求める戦術的タスクは実に多彩です。
リーグでは開幕5連勝の後トッテナムに完敗するなど、その戦術はまだ十分に浸透しきれていない面もありますが、この課題が早期に解消されれば、シティのリーグ制覇はさらに現実味を帯びてくるでしょう。
まとめ
プレミアリーグ第14節までで9勝3分2敗の4位と好位置につけているマンチェスター・シティFC。
開幕前の大型補強やグアルディオラ監督の就任が実を結ぶか、また悲願のチャンピオンズリーグ制覇はなるか。
2016-2017シーズンの動向から目が離せません。