8月1日からJリーグのルールが変更
国際サッカー評議会(IFAB)が今年の3月に発表した競技規則改訂が、8月1日からいよいよJリーグでも適用される。今回のルール改正は運用面や反則に関するものまで多種多様にあり、チームの戦い方にも大きく影響しそうなものもある。主な変更点をチェックしよう。
国際サッカー評議会(IFAB)が今年の3月に発表した競技規則改訂が、8月1日からいよいよJリーグでも適用される。今回のルール改正は運用面や反則に関するものまで多種多様にあり、チームの戦い方にも大きく影響しそうなものもある。主な変更点をチェックしよう。
▼ハンドの基準が明確に
今回のルール改正で最も注目されているのは、ハンドの基準がより明確になったことだ。 この部分に関しては内容が多岐にわたるため、改めて別の記事で解説する。
▼コイントスでキック・オフが選択できる
これまではコイントスで勝ったチームが陣地を選び、負けたチームがキック・オフを行うとされていたが、今後はコイントスに勝ったチームもキック・オフを選択できるようになる。
▼ドロップボールは1人に
これまで曖昧だったドロップボールからのプレー再開については、プレー再開となった時にボールを受ける選手が1人に明確化され、敵・味方を問わず、それ以外の選手は4m以上離れることになる。
ボールを受ける選手は、最後にボールに触れたチームの選手であることが原則となっているが、ペナルティエリア内でのドロップボールに関しては、最後にどちらの選手がボールに触れていたかを問わず守備側チームのGKにドロップされることになる。
▼審判は石ではない
新たに加わった「ドロップボールにより再開されるケース」の説明は、ドロップボールについての最大の改正点と言える。
競技中、フィールド内で審判員に当たった(触れた)ボールでチームにとって大きなチャンスとなる攻撃を始めた場合や、ボールが直接ゴールに入った場合、ボールを保持するチームが入れ替わった場合は、アウトオブプレーとなり試合を一度中断し、ドロップボールによりプレーが再開される。
「審判は石」との例えもあったように、これまでは審判にボールが当たっても惑わされずにプレーすることが求められていた。だが、今回のルール改正では「不公平になりうる」と判断された。
▼FK時の守備側の壁の間に攻撃側の選手は入れない
相手ゴール近くでFKを獲得した際、守備側チームが壁を作ることがある。近年はキッカー技術やボールの進化もあり、FKの際もわざと壁に隙間を作ろうとしたり、GKからボールを見えにくくするために攻撃側の選手も壁の中に入り込むなど、FKの壁の中で様々な駆け引きが行われていた。
しかし、今後はそういったプレーは全て禁止され、守備側チームが3人以上の選手で壁を作った場合は、攻撃側の選手はその壁から1m以上離れなければならなくなる。仮に1m以内に侵入した場合、反則として相手チームの間接FKとなる。今後はどの様な形で駆け引きが行われるのだろう。非常に興味深いところだ。
▼ゴールキック時にペナルティエリア内でのパスも可能に
ゴールキックや自陣ペナルティエリア内でのFKの場合、これまではインプレーとなるのはボールがペナルティエリアを出た瞬間だった。だが、「蹴られて明らかに動いたなら、そのボールはインプレーとなり、ペナルティーエリアから出る必要はない。」と改められた。ゴールキックなどの際は、ペナルティエリア内でパスを受けることができるようになるのだ。地味ながらも、この改正は非常に大きく影響すると思われる。
近年、ゴールキックではロングキックをせず、フォーメーションを決めてショートパスでボールをつなごうとするチームが増えている。これまでのルールでは、ペナルティエリア内でボールを受けることができなかった為、主にCBがペナルティエリアの脇に大きく開くポジションを取ることになっていた。というより、取らざるを得なかった。
しかし、今回のルール改正でCBはペナルティエリア内にいることができるようになる。一方、相手FWはインプレーになるまでペナルティエリア内に入ることができない。つまり、ビルドアップの起点となる選手はこれまで以上に時間とスペースを得やすくなるということになる。
守備側の対策ともにゴールキックからのビルドアップは、ルール改正によって大きく変化する可能性がある。
▼カードの対象となるファールで得たFKもクイックリスタートが可能に
これまではカードの対象となるファールで得たFKの場合は警告や退場などの罰則を与える必要があるためクイックリスタートを選択することができなかった。
しかし今回のルール改正ではあきらかに得点につながるタイミングではクイックリスタートが認められ、違反選手へのカード提示は次にプレーが切れたタイミングで行えるようになった。
この状況が起こり得るのは、攻撃側選手が守備側の背後のスペースに抜け出した後、相手ディフェンスがカード覚悟で攻撃を妨害、そのプレーがファールと判断された場合だ。
これまでのルールでは一旦プレーが切れるため、例えカードを受けたとしても守備側の選手が戻る時間を作ることができたが、新ルールではその時間を与えられないことになる。
▼交代選手は最も近い位置からピッチ外に出る
これまで交代で退く選手は、ベンチ側のセンターライン付近にまで戻ってきて、ピッチ外に出ることが多かった選手交代。新ルールでは主審の特別な指示が無い限り、タッチラインやゴールラインの最も近い位置から出るようになる。
他にも「スローインの際に守備側の選手は2m以上離れなくてはならない」や「ユニフォーム・アンダーシャツの規定」など、まだいくつかあるのだが、サッカーをより深く楽しむためにも、今回紹介した7つの項目は是非把握しておきたい。