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仙台が新布陣ハイブリッド4-4-2で今季2勝目 浮上のきっかけとなるか

2019 5/3 07:00中山亮
サッカーアイキャッチ,ⒸSPAIA
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ようやく2勝目を挙げたベガルタ仙台に少しの変化

明治安田生命J1リーグ第9節、ベガルタ仙台がホームのユアテックスタジアム仙台にガンバ大阪を迎えた一戦は2-1でベガルタ仙台が勝利。ようやく今季2勝目を挙げた。

この試合で注目すべきは仙台がこれまでの3バックシステムではなく4-4-2の布陣を採用したことだろう。

2010年に現在J2長崎監督の手倉森監督が率いて、J1に昇格してきた頃から仙台と言えばコンパクトな4-4-2の布陣で堅守速攻を武器としていたチームだったが、渡邉監督が就任し4年目となる2017年から3バックへと変更した。

以降は今季前節まで3バックで戦ってきたが、4月24日のルヴァンカップ鳥栖戦で久々に4-4-2の布陣を採用すると、その4日後のリーグ戦、ガンバ大阪でも4-4-2の布陣を継続した。

仙台は前節までの8試合で1勝1分6敗とかなり厳しいシーズンとなっており、テコ入れとしてフォーメーションの変更に踏み切ったのだろう。

2016年とは違う?ハイブリッド4-4-2

以前からのフォーメーションの推移を見ると、2016年までは4-4-2、2017年からは3バック、そして今節は4-4-2である。

そう考えると「2016年までの4-4-2に戻した」と受け止められるかもしれない。しかし、それは大きな間違いである。というのも今回の4-4-2は以前のものとは全く異なっているからだ。

まず2016年までの4-4-2の戦術は堅守速攻である。4-4-2は守備時に選手をバランスよく配置できるというメリットがあるが、その半面攻撃時には相手の守備を崩しにくいというデメリットがある。そのため攻撃の際に重要視していたのは守備から攻撃への切り替えの速さである。相手が守備陣形を整える前に攻撃できるかどうかが大きなポイントだった。

今回の4-4-2が以前と違うのは、堅守速攻を基本戦術としたフォーメーションではないということ。

G大阪戦で4-4-2で並んでいたのはボールを保持していない時だけ。ボールを保持すると左SBの永戸は最終ラインに残るのだが、右SBの蜂須賀はオートマチックに高い位置へと進出。そして右SHの吉尾は内側へと入り、2トップの右にいるジャーメイン良はCFへ。さらに2トップの左にいるハモン・ロペスは左に少しずれ、左SHの石原崇兆は左サイドで大きく開くポジションへと移動するのだ。

つまり仙台の布陣の中でセンターにいる守備的MFの2人を除くフィールドプレイヤーの8人が時計と反対回りにずれていき、3-4-2-1へと変化していたのだ。

3-4-2-1は今季、これまで仙台が基本としていた布陣。そして2017年から渡邉監督がボールを保持しながら相手の配置バランスを崩すことを目的に取り組んできた布陣である。

仙台の新たな4-4-2は攻撃時に形を変えることで、守備時の配置バランスを整えることと攻撃時に相手の配置バランスを崩すことを同時に狙うことができる形になっていたのだ。

バランスを崩す場面が減少

今季の仙台は、前節までの8試合で5度の複数失点があることからも分かるように守備面に問題を抱えていた。

攻撃で相手の守備バランスを崩すため、3バックの左に本来SBやWBでプレーする永戸を起用することで厚みを持たせようとしたが、守備時にスペースを埋めるよりも人を意識する傾向が強いこともあり、結果的にはそれが守備のバランスを崩すことにつながっていた。

しかし、今回守備時に4-4-2の布陣にしたことで、個々の選手がボールを失った時に行うべきことが明確になり、その結果、守備に切り替わる際にバランスを整えることが容易になった。4-4-2で陣形が整うと、そこから大きくバランスを崩すことは少なくなる。

そしてさらに永戸が攻撃参加した際のバランスの悪さも改善された。永戸の攻撃参加のスイッチとなっていたのは守備的MFの左に入っていた松下が最終ラインに下がった時である。

これをきっかけに仙台は石原崇兆が中に入り3-1-4-2へと変化する。この変化自体は今季序盤から行っていたことでもあるのだが、基準が明確になったことでチーム全体がバランスを崩すことなく移行できるようになっていた。

もちろん仙台の新たな戦い方にも弱点もある。

その代表的な1つが、攻撃時と守備時で布陣を変えるため、移動する時間が必要となること。4-4-2の布陣を整える前にすばやく攻め込まれる可能性があるのだ。

これを避けるために必要なのは、すばやく相手のボールホルダーへアプローチをかけることができるかどうか。

これを90分間徹底することができるようになれるかどうかが、ここから仙台が浮上していく上での課題となるだろう。

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