J1のシーズン予想は困難
遂に開幕した2019年のJリーグ。J1制覇、上位リーグへの昇格、今年からヴァンラーレ八戸が加わり、全58クラブが各々の目標達成へ熱戦を繰り広げる。
今季J1に昇格したのは大分トリニータと松本山雅FC。第1節で大分は昨季3位の鹿島に競り勝ち上々の滑り出し。松本もドローとなったものの終始攻め続け気を吐いた。一方昨季の上位陣が白星なしと意外な開幕節となった。
J1リーグは世界的に見て各クラブ間の戦力が拮抗したリーグと言われている。昨シーズンは2017年降格寸前だった広島が優勝争いを繰り広げ、2017年に優勝争いをしていた柏は今季J1から姿を消した。
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中央に行くほど順位が高く、外側に行くほど低い。円の外に飛び出している線は昇格と降格を表す。
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過去10年間のJ1の順位推移を見ても昨年の成績がまるであてにならない動きを見せている。優勝が決まるタイミングが、2ステージ制だった15、16年は別として、10、12、18年以外は最終節までもつれ込んでいることからも、シーズンの予想が難しいリーグだということが分かる。11、14年の柏、ガンバ大阪がJ1復帰1年目で優勝するなど「下剋上」も珍しくない。
J1リーグはまさに群雄割拠。ただ、その一方である程度の格付けのようなものも見て取れた。
ACL出場権の89%を在籍9年以上のチームが獲得
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J1昇格年が早く、在籍年数が多いクラブほど上位に収まる回数が多く、リーグ順位で与えられるACL出場権(PO含む)に至っては在籍年が10年間中9年以上のクラブが89%を占めている。ここ10年はオリジナル10のサンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、横浜Fマリノス、ガンバ大阪に加え川崎フロンターレが上位を固め、それ以外のクラブで残留を争う形になることが多い。
逆にJ2からの昇格組の降格率は高く、この10年間で昇格後1年以内に降格した割合は40%を超えており、J1とJ2上位の間に大きなレベルの差があることが分かる。
ただ、J1の戦力は拮抗しているため、上位が定位置のクラブでも降格を経験しているチームは多い。Jリーグ創設から参加するオリジナル10でも、降格を経験していないクラブは鹿島と横浜FMだけ。2017年に新潟が降格したことで、2018年末時点で降格を経験していないクラブはサガン鳥栖を加えた3クラブだけとなった。
そのサガン鳥栖も昇格から上がり下がりを繰り返し、ここ数年は2017年に8位になった以外はじりじりと順位を落としている。昨季はフェルナンド・トーレスを獲得し、今季から新監督を迎え守備重視から攻撃的なスタイルにシフトし打開を狙うが、この選択が吉と出るか凶と出るか。
2019年のJ1リーグは川崎Fが万全の補強で3連覇へ挑むが、まだウォーミングアップ中の様子。そんな中、昨季長期の低迷に苦しんだ名古屋を筆頭に下位に沈んだクラブが白星発進を決めた。果たして今季は「下剋上」を果たすクラブは現れるのか。昇格組の残留にも注目したい。