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柏レイソル今季ベストゲームも降格が決定。残る入れ替え戦枠は5クラブが圏内

2018 11/26 17:14中山亮
サッカーボール,ⒸShutterstock.com
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今季ベストゲームを見せた柏レイソル

第32節終了時点でJ2自動降格となり17位に沈んだ柏レイソルは、前節終了後に加藤監督を解任し岩瀬新監督が就任。残り2試合で勝ち点差が4で並ぶ14位湘南、15位鳥栖、16位名古屋の3チームのうち、2チーム以上を上回ることができればJ1残留が決定。1チームを上回れば、入れ替え戦進出となる逆転残留に一縷の望みをかけ、運命の一戦に望んだ。

セット時のファーストディフェンスに問題を抱えていたことで、立ち上がりこそC大阪に押し込まれる場面が続いた柏だったが、その際はしっかりとブロックし、人数をかけて守り切る形で対応。守備の安定感も徐々に増す。

攻撃面でもC大阪が高い位置からボールを奪いに来た時に、中盤とCBの間にスペースができやすいという傾向をしっかりと分析。この弱点を突く形で、縦に速い攻撃で相手ゴール前に一気に迫る場面を作っていく。押し込まれた前半を0-0でおさえ、53分に狙っていた中盤とCBの間から中山が放った豪快なミドルシュートで先制。その後はカウンターで江坂とクリスティアーノが追加点を奪い、0-3で快勝した。

この試合で見事だったことは、戦い方が柏チーム全員で統一できていたことだ。パスの本数自体は、C大阪の738本に対して300本以上も少ない433本にもかかわらず、内43.4%が縦パス。さらにスルーパスもC大阪の16本を上回る21を記録し、成功率も81%以上。攻守に渡って一体感を感じさせる試合運びで、前任監督時代のバラバラだった戦い方が嘘の様。まさに狙い通りの勝利で、柏の今季ベストゲームとも言える試合だった。

柏レイソルのJ2降格が決定

柏が今季ベストゲームで勝利したものの、同時刻に行われていた14位湘南が浦和に、15位鳥栖が横浜FMに、16位名古屋が広島に、なんと下位3チーム全てが勝利した。勝ち点差4を詰めることができなかった柏は、1試合を残し、9季ぶり3度目のJ2降格が決定。これでACL出場チームの降格は、2012年のG大阪と2014年のC大阪についで3つ目となった。

若手中心の素晴らしいサッカーで4位に躍進し、ACLにも出場していた昨季の柏。それだけに衝撃は大きい。

監督交代のタイミングを見誤ったことが最大の要因とも言える今回の降格。昨季結果を残した下平氏が退任したのは、5月12日の第14節終了時点。5勝2分7敗で11位という成績を昨季と比較すると、不甲斐ない結果だ。敗数が多いという危機感から巻き返しを狙ったのだろう。

しかしこれが大誤算。後任の加藤前監督は、就任初戦の第15節こそ勝利しワールドカップの中断期間に突入したものの、再開後から4連敗。伊東純也や中村航輔という日本代表クラスの選手、クリスティアーノ、キム・ボギョン、鈴木大輔と実力者をそろえていながら、勝てなくなった。チームはグループとしての戦い方を統一できず、第32節までの18試合で13敗を喫することとなった。

後ろに人数をかけた5バック布陣を採用するも、何故か前線からボールを奪いに行くというバランス悪の悪い戦い方を見せた第31節の川崎F戦では、面白いようにパスを通され川崎Fにゴールを奪われ続けた。その姿は、上手くいっていないチーム状況そのもの。こうなる前に、手を打てなかったクラブ側の失敗だと言える。

残るは入れ替え戦出場となる1枠

今節で自動降格枠のうち、2つ(柏・長崎)が決定した。J2降格の可能性がある残り1枠は、12月8日にJ1参入プレーオフ決定戦で戦うことになる16位が、どのチームになるかで決まる。その可能性があるのは、勝ち点41の12位横浜FM、13位磐田、勝ち点40の14位湘南、15位鳥栖、16位名古屋の5チームだ。

横浜FMはC大阪とホームで、磐田は川崎Fとアウェイで、鳥栖は鹿島とアウェイで、そして名古屋は湘南とホームで直接対決となる最終節。これで全てが決まる。