ペナルティエリア付近でのプレー数が最も多いのは柏レイソル
SPAIAで紹介しているデータの中で、相手ゴールに最も近いプレーエリアとなるペナルティエリア付近でのプレー数。2018年のJ1では、1試合あたりペナルティエリア左が18.8回、ペナルティエリア右が20.6回、ペナルティエリア内が22.1回の合計61.5回を記録。
アタッキングサードでのプレー数が226.1回、敵陣30m以内プレー数が168.3回となっているので、アタッキングサードでのプレー数の内74.4%が敵陣30m以内で行われ、敵陣30m以内のプレー数の内36.5%がペナルティエリア付近で行われていることになる。
このデータから各チームの特徴や問題点を分析してみよう。
2018年J1リーグ第25節まででペナルティエリア付近のプレー数が最も多いのは、柏レイソルの76.2回。この数字はプレー回数なので当然ながら1試合を通じてプレー回数が増えるボール保持率の高いチームが優位になる。実際にボール保持率が最も高い58.7%を記録している横浜FMは2位の75.8回、2番目に高い57.5%の川崎Fも4位の68.4回と多い。
しかし、柏のボール保持率は50.6%と平均をやや上回る程度である。アタッキングサードプレー数は、リーグ10位の224.4回とリーグ平均を下回っているので、アタッキングサードまでボールを運ぶと、効率よくペナルティエリア付近にまで侵入していることがわかる。
これだけの数字を記録した要因となっているのが右サイドだ。ペナルティエリア右でのプレー数が31.6回とリーグ最多となっている。Jリーグを代表する右サイドアタッカー伊東純也の存在が大きいのだろう。
だが、柏の得点数はリーグ13位の30得点。シュート数はリーグ2位の14.4本を記録している一方で、枠内シュート率は29.9%とリーグ11位にとどまっており、シュートの精度に問題を抱えているようだ。また、第18節以降の後半戦だけに絞るとペナルティエリア付近プレー数が66.9回、ペナルティエリア右でのプレー数も25.9回とともに減少しているのは、監督交代と無関係ではないだろう。
柏と同じく右サイドを中心にプレー数を伸ばしているのは首位の広島だ。ペナルティエリア右では30.9回とリーグ2位。一方で左サイドは16.5回とリーグ13位の数字で、柏以上に右に偏っている。これは人数をかけて攻略する右サイドと、単独突破の多い左サイドという広島のチーム設計がよく表れている。
そして、広島の場合、枠内シュート率もリーグ2位の37.8%を記録しており、これがリーグ2位の41得点につながっているのだろう。また、ボール保持率がリーグ16位の46.1%と半分以下になっており、かなり縦に速いサッカーが繰り広げられていることがわかる。