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横浜FM移籍の17歳・久保建英がJ1初ゴール 長所を生かせるチームで第一歩刻む

2018 8/30 07:00SPAIA編集部
サッカーボールⒸShutterstock.com
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17歳2か月22日でのゴール

その瞬間は56分に訪れた。

8月26日の明治安田生命J1リーグ第24節ヴィッセル神戸戦。

後半開始から神戸が攻め込む時間が長く、横浜F・マリノスは敵陣にボールを運ぶことも出来ていなかったが、53分にようやく最初の攻撃らしい攻撃を繰り出す。松原健がクロスを入れるが、神戸GKであり韓国代表のキム・スンギュがキャッチ。この時久保は前線に走っていたが、攻撃の選択肢にはなりきれず、ボールには絡めなかった。

しかしその2分後、55分に再び低い位置で横浜FMがボールを奪い返し、天野にボールが渡る同じ様な場面を迎えると、今度は久保がポジショニングを修正。相手DFとMFの間でもある場所で久保がボールを受けるとターンし前線に向けてドリブルを開始。そして相手がアプローチをかけてきた瞬間に、右サイドを上がる松原へパスをすると自身はゴール前へ走り出した。

このゴール前で久保は冷静だった。

一気に前線に飛び出していく伊藤とそれに付いていく神戸ディフェンスを確認すると、ペナルティエリア付近で急遽ストップ。走るのでは無く、止まることでシュートを打つための時間とスペースを作り出し、松原からの折返しをワントラップして、狙いすましたシュートでGKキムを破りゴールネットを揺らした。

ボールを受ける場所、受けてからの判断、シュートと全てにおいて素晴らしいゴールを決めた久保はこの日で17歳2か月22日。2004年5月5日に15歳11か月28日で得点を決めたFW森本貴幸(当時東京V・現福岡)に次ぐ、歴代2位の若さでのJ1初ゴールとなった。

プロ選手としての決断を下し掴んだ「結果」

ゴールの8分後、64分に久保は仲川輝人と交代。試合はその仲川が85分に追加点を決めアウェイの横浜FMが0-2で勝利。久保のJ1初ゴールが決勝点となったのだが、試合を通じてみると久保の見せ場はそれほど多くなかった。

久保がラ・マシア(FCバルセロナの下部組織)に所属していたこともあり、この試合は同じくラ・マシア出身のイニエスタとの対決ということで注目を集めたが、両者のプレーには大きな差があった。

試合には敗れたもののイニエスタは神戸の攻撃を牽引。相手DFが激しくアプローチをかけてきても、ボールと相手の間に身体を入れ確実にキープ。囲まれても少しボールをズラすだけで、パスコースを作ってパスを通し、ドリブルでは軽々と対峙する相手を外してみせていた。

一方で久保は、相手DFの激しいアプローチに対して潰されてしまう場面も多く、前を向くことさえままならない。相手のプレッシャーを受けにくい場所を探すあまりポジショニングが悪くなり、ボールに絡めない時間も多かった。ちょうど先制点の直前にあったプレーがそれだ。

とはいえ、それも当然のことだろう。久保が試合後のフラッシュインタビューで「自分はバルサの下部組織をかじっただけ。比べられるのもおこがましい」と語っているように、現段階での久保とイニエスタは同じラ・マシア出身というだけ。ここ10年で世界最高のフットボーラーの一人であるイニエスタに対して久保はプロ生活1年にも満たない17歳。これからの選手なのだ。

しかし、そんな久保に大きな期待を感じずにはいられないのは、彼のメンタル的な強さだろう。

久保はこの夏にFC東京から横浜F・マリノスへと移籍した。

今季のFC東京では、長谷川監督が志向する戦術にフィットしていなかった。とはいえまだ17歳。自分に足りないものを知る勉強期間だと捉えることもできたはずだ。

しかし久保はそれを「良し」とはしなかった。自分のストロングポイントを発揮しやすく、またそれを求められている横浜FMへの移籍を選択した。この移籍が正しかったことを証明するには横浜FMで結果を残し続けるしかない。

久保がこの試合で決めたJ1初ゴールは、プロサッカー選手として選択した厳しい道の第一歩となった。

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