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札幌とペトロヴィッチ監督が産み出す新たなミシャサッカー

2018 6/12 07:00SPAIA編集部
ⒸShutterstock
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ミシャサッカーの新たな進化

さらに今季の札幌が見せるミシャサッカーには変化も見られる。それを表しているデータがチームのパス数。札幌の1試合平均パス数は496.3本でリーグ10位。過去のペトロヴィッチ監督のチームに比べるとかなり少ない。さらに前方パス数に限ると1試合平均168.5本でリーグワースト2位となる。

この少ない前方パス数で攻撃の組み立てが可能となっているのは、縦パスの距離が長いから。札幌ではこれまでのミシャサッカーでほとんど見られなかったロングボールという選択肢が加わっている。

また選手ごとのパスデータでも興味深い数字がある。今季の札幌でチーム最多のパス数を記録しているのは3バックの左に入る福森。これもこれまでのミシャサッカーとは異なる傾向だ。広島や浦和でパスの中心となっていたのは森崎和幸・青山、阿部・柏木らのボランチの選手だった。

これらのデータを踏まえ実際の試合を見ると、今季の札幌が攻撃の時に4-1-5の布陣に変化することなく3バック+ダブルボランチの形のまま攻撃を組み立てる回数が多いことに気がつく。今季の札幌は福森という3バックの左で攻撃を組み立てることができる選手がおり、さらに前線にはロングボールのターゲットとなる選手もいる。その結果、相手が激しくプレッシングを仕掛けてくればロングボールを蹴ることができるので、最終ラインと中盤の形を変えずして攻撃を組み立てられるようになったのだ。

ミシャサッカーにおいてこの進化は大きい。攻守で布陣を変化させる必要があったこれまでのミシャサッカーは、近年この攻守の切り替えの際に生じてしまうタイムラグが最大の弱点となっていた。つまりカウンターに弱かった。しかし変化の必要がなくなるとそのタイムラグがなくなり、カウンターに対応しやすくなるのだ。

これまでのミシャサッカーに足りなかった「臨機応変」と「攻守の切り替え」。ここに手をつけた札幌バージョンのミシャサッカーはJリーグを席捲できるか。

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