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DAZNのJリーグ放映権獲得は、日本サッカー界躍進のチャンス

2018 4/17 17:59奏希01
Jリーグ
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賞金額高騰でリーグ全体が飛躍

DAZNがJリーグと10年間の長期契約を結び、明治安田生命J1、J2、J3の全試合の放映権を得たことで大幅に変わったのが、獲得する賞金の額だ。 理念強化配分金(リーグで4位以内に入ったチームが報酬を翌年以降に支払われる分配金)に関して、優勝チームには3年間に分けて15億5000万円、2位には7億円、3位には3億5000万円が払われることになった。

これがさらなる補強になったビッグクラブは、より強いチームを作れるようになり、上位クラブと下位クラブの差を広げる可能性が大きくなった。そのため、反対意見が多いのは頷ける。 しかし強いチームに資金を集中させることは、Jリーグ全体のレベルを上げることにつながるという点にも着目したい。

海外の例を見ると、レアルマドリードやバルセロナ、あるいはマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーといったチームが超ビッグクラブに成長した。 資金が充実したことで高額なスター選手を多く獲得することができるようになったためだ。かつてはセリエAが世界最高峰のリーグだったが、今では収入源の多いラ・リーガ(スペイン)やプレミアリーグ(イングランド)に追いやられている。

ビッグクラブを倒そうと下位チームが奮起したり、もしくは優勝はできなくても4位までに入ろうと(UEFAランキング上位4リーグは4位までに入ればチャンピオンズリーグ進出することができる)中堅クラスの競争も活性化する。
チームを強くしようと焦るあまり、投資先行で経営不振に陥るチームもしばしば出現するが、リーグ全体のレベルは上がっている。

Jリーグでも同様に、賞金でワールドクラスの選手を補強したチームの存在が、他チームに良い影響を与える可能性が高い。これは日本サッカー界全体が飛躍する大きなチャンスだと考えられる。

海外でJリーグ観戦できる日がくる!?

DAZNとの契約は、クラブの運営や強化だけに役立つわけではない。将来も見据えて考えると、海外にアピールできるチャンスが広がったと見ていい。 時差があるため、海外でサッカーの試合が行われていない時間にJリーグの試合が行われることが一般的だ。日本のファンが深夜の海外リーグ中継を楽しみにするように、海外でもJリーグのファン増加が期待できる。良いプレーをすればより注目される機会にもなる。

海外で挑戦した選手たちが日本に戻り、その技術を若手に授け、若手選手は海外への憧れをいだきながらプレーに磨きをかける。このサイクルが繰り返されることで、選手は勿論チーム全体の強化へとつながるのではないだろうか。

ワールドクラスの選手や監督を迎えて世界に通用するサッカーに!

もしDAZNと契約している10年間で日本サッカー界が躍進しなければ、DAZNとの契約が打ち切りになり最大の収入源を失ってしまうかもしれない。そうなれば世界のトップを目指すどころか、アジアのトップになることすら難しいだろう。

開幕当初のJリーグは、ジーコ、リトバルスキー、リネカーといった超大物外国人選手のプレーにより、これ以上ないほどの盛り上がりをみせた。近年ではフォルラン、ポドルスキー、ジョーといった選手がJリーグで活躍している。

最近ではコンサドーレ札幌が、タイ代表MFのチャナティップを獲得したこ。ヨーロッパや南米だけでなく、さまざまな地域から優秀な選手が加入することで、世界の国々で日本のサッカーをより身近に感じてもらえるだろう。

しかし中国のクラブと比べると、ワールドクラスの外国人選手はまだまだ少なく、ほとんどのクラブが中国のように「爆買い」をできないことも重々承知している。 だが仮にJリーグの各クラブやサッカー協会が選手だけでなく、選手の家族をバックアップし中国並みに選手を獲得できれば、更なるレベルアップが図れるのではないだろうか。

一生懸命に練習しようとする点に着目し、ラグビー日本代表をW杯優勝に導いたエディー・ジョーンズ監督のように、日本人の強みを最大限に引き出してくれる監督やスタッフを迎えることも大切だ。
DAZNによって収入が増えてよかったで終わらせず、JFA、さらにそれを投資に変えてレベルアップを図り、日本のサッカーを世界トップレベルに引き上げてくれることを期待したい。