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名古屋グランパスに加入した元ブラジル代表ジョー選手

2018 2/6 15:50Aki
jo brazil
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ロシアで世界的な知名度を上げたジョー選手

ジョー選手ことジョアン・アウヴェス・デ・アシス・シウヴァ。ブラジルの名門コリンチャンスの下部組織出身であり、16歳でトップデビューを果たした。
身体が大きく典型的な9番、センターフォワードとして活躍し、コリンチアーノ(コリンチャンスサポーター)からは「ジョイア」(宝石)とも呼ばれていた。
日本のサッカーファンにジョー選手の名前が届くようになったのは、2006年18歳にしてロシアの名門CSKAモスクワ(ロシア)に移籍してからだ。
UEFAチャンピオンズリーグやUEFAカップなど、ヨーロッパの舞台の常連のクラブのエースとして公式戦通算で78試合・44ゴールと結果を残し、2007年にブラジル代表初選出されると、ロナウジーニョ選手やロビーニョ選手らと共に2008年の北京オリンピックにも出場。
ロナウド選手以降センターフォワードを固定出来ていなかった当時のブラジル代表において、大柄で高さがあるだけでなく、スピードとテクニックを兼ね備えたジョー選手は、大きな期待を集める存在だった。

大きな挫折となったプレミアリーグへの移籍

ロシアで活躍するジョー選手に、2008年大きなチャンスが訪れる。
オーナーが変わり積極補強を進めるマンチェスター・シティ(イングランド)からのオファーが舞い込んだのだ。
移籍金は当時のクラブ最高額の2400万ユーロ(約31億円)。この金額からも当時の期待の大きさが伺える。
ビッグネームが揃うプレミアリーグでプレーするチャンスを得たジョー選手だったが、イングランド特有の速いテンポによるフィジカルを前面に押し出すプレースタイルへの適応に苦しむ。
するとクラブは豊富な資金力を武器に、冬の移籍期間でウェイン・ブリッジ選手、シェイ・ギヴン選手、クレイグ・ベラミー選手らのプレミアリーグで既に実績のある選手を獲得したのだ。
つまり、ジョー選手は戦力外と判断され、わずか半年でエバートンにレンタル放出されることとなった。
エバートンでは才能の片鱗をみせレンタル期間の延長を勝ち取ったものの、ブラジルへ無断帰国し謹慎処分を受けるなど問題行動も見せるようになり、再度、放出される。その後ガラタサライ(トルコ)でもプレーしたが、ロシアでの輝きを見せることができなかった。

ブラジル帰国後も復活への道は遠く

ロシア以降なかなか実力を発揮できなかったジョー選手は、2011年インテルナシオナウに移籍し、ブラジル復帰を果たすも、ここでも問題行動が続き、事実上の戦力外通告を受ける。
アトレチコ・ミネイロ(ブラジル)へ移籍することになったジョー選手は、2013年にはコンディションを戻し、コパ・リベルタドーレス得点王を獲得、さらにはブラジル代表復帰など、ようやく復活かと思われた。
しかし、2014年自国開催となるワールドカップに招集されたものの活躍をみせることはなく、大会終了後には再び生活の乱れが目立つようになり、当時のアトレチコ・ミネイロ監督だったレヴィー・クルピ氏(現ガンバ大阪監督)から戦力外通告を受けた。
その後、15年7月にはUAEのアル・シャバブへと移籍、さらに2016年2月からは中国の江蘇蘇寧へ。次々とクラブを変えるものの、トップフォームには程遠くブラジルでは「完全に終わった選手」と見られていた。
実際に江蘇蘇寧所属時の2016年には、AFCチャンピオンズリーグでFC東京と対戦しているが目立った活躍はできていない。

古巣コリンチャンスで突然の復調

江蘇蘇寧もわずか5ヶ月で退団すると、無所属となっていたジョー選手。 そんなジョー選手に手を差し伸べたのが、下部組織からの出身クラブでもあるコリンチャンスだった。 2016年11月に2年契約を結ぶと心機一転。フィジカルトレーニングに励んでコンディションを取り戻し、またたく間に完全復活を遂げたのだ。 2017年のブラジル全国リーグでは18ゴールを挙げ得点王とMVPのダブル受賞。コリンチャンス優勝の立役者となった。 2017年のブラジルでのプレーは、全盛期そのものだった。前線で体格を活かしたポストプレーで起点となり、左足からは豪快なシュート。もちろんヘディングも抜群の強さを発揮している。

名古屋グランパスでゴールを量産できるか?

イタリアのナポリをはじめ、ドイツ、中国のクラブからもオファーがあるなか、争奪戦を制したのは名古屋グランパスだった。ブラジル全国リーグMVPで得点王のジョー選手は、2018年から日本のJリーグでプレーすることとなる。
フィジカルの強さが求められるイングランドでは成功することができなかったが、北海道コンサドーレ札幌のジェイ選手の例を見るように、大柄でパワーがあるセンターフォワードは、日本人ディフェンダーが苦手とするタイプである。
ジョー選手がトップコンディションを維持できれば、Jリーグで活躍する可能性はかなり高い。
懸念されているメンタル面のコントロールができれば、ジョー選手の活躍の場は広まるだろう。クラブの手腕が問われる。