FWジェイはなぜコンサドーレ札幌の“救世主”になり得たのか。J1で圧倒、データが語る脅威の強さと高さ | SPAIA

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FWジェイはなぜコンサドーレ札幌の“救世主”になり得たのか。J1で圧倒、データが語る脅威の強さと高さ


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 北海道コンサドーレ札幌は今季、16年ぶりにJ1残留を果たした。これまで2度にわたってJ1昇格初年度に最下位で降格しており、今季も序盤は苦しい戦いが続いていた。そんな状況を打開できたのは1人のストライカーの加入だった。データを分析すると、特別な武器を持つ来日3年目の元イングランド代表FWが札幌にもたらした恩恵が見えてくる。

札幌、J1残留につながった後半戦のV字回復

 北海道コンサドーレ札幌は今季、3試合を残して16年ぶりのJ1残留を確定させた。J1に挑んだ2008年、2012年と2度にわたって最下位でのJ2降格を味わっていただけに、負の連鎖を断ち切る重要な1年となった。

 とはいえ今季も決して楽なシーズンだったわけではない。一時は降格圏に沈み、前半戦ではJ1第11節ガンバ大阪戦から第16節柏レイソル戦まで6連敗と、期待を抱くのが難しい状態に陥っていた。そんなどん底から這い上がり、J1残留を果たしたのである。

 流れが好転し始めたのは第19節の浦和レッズ戦に勝利してからだろうか。直前の2試合を1勝1分で乗り切り、中断期間を挟んで迎えた大一番に2-0で勝利。その後の戦いぶりは前半戦からガラリと変わり、第24節のベガルタ仙台戦と第25節のジュビロ磐田戦で今季初の連勝を飾ると、第27節のアルビレックス新潟戦から第33節のガンバ大阪戦までの7試合で負けはわずかに1つ。それも第31節の王者・鹿島アントラーズとの一戦のみだ。

 これだけのV字回復を遂げる中で、見逃すことができないのは夏の補強だった。タイ代表のMFチャナティップ、そして元イングランド代表FWジェイの加入は札幌のチーム力を底上げした。特に後者は攻撃面において多大な効果をもたらしている。

 現時点で13試合に出場しているジェイは、9ゴールを挙げている。後半戦のみのプレーながら、29試合に出場しているFW都倉賢の8得点を上回り、チーム内得点王に躍り出た。圧倒的なフィジカルを誇る元イングランド代表FWは、1試合90分平均で0.92得点と、驚異的なペースでゴールを量産している。

 チームの総得点も前半戦と後半戦では見違えるような数字だ。前半戦17試合でわずか14得点だった札幌は、既に消化した後半戦16試合で22得点を奪っている。22得点のうち半分近い9得点がジェイによるものであり、それを除けば13得点とベースが前半戦と変わっていないこともわかる。1人の加入によって得点力は格段に向上した。

ジェイの加入が鍵に。得点パターンに現れた特異性

敵陣空中戦勝率ランキング

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 シーズン開幕当初から都倉の高さを生かした攻撃を武器にしていたこともあり、身長190cm体重89kgのストライカーがチームに馴染みやすい土壌もあった。札幌の敵陣空中戦勝率はJ1全クラブでもっとも高い56.3%(第32節終了時点)を誇る。

 都倉とジェイの敵陣空中戦勝率もそれぞれ72.1%、65.4%と高い数字を記録している。勝率で見れば都倉の方がジェイよりも優れているが、後者は試行回数そのものが多い。都倉が90分平均で7.7回なのに対し、ジェイは90分平均で12.3回も敵陣内で空中戦に挑んでいるのである。そのうち平均8.0回勝利すると考えれば、対戦相手から見れば存在自体が恐ろしいことこのうえない。

 第32節までの得点パターンを分析すると、札幌の特徴もよく見えてくる。総得点35のうち、セットプレーから奪ったもの(直接FK・CKおよびPKを除く)とクロスから奪ったものを合わせると21得点、全体の60%におよぶ。この数字はJ1全クラブの平均46.0%を大きく上回り、清水エスパルス(61.3%)に次ぐリーグ2位である。

 クロスからの得点に限れば11得点はリーグ5位、総得点に占める割合31.4%はリーグで最も多い。J1で唯一30%を超えている。前線の都倉やジェイを狙ってクロスを上げ、彼らが高い勝率で空中戦を制すことでゴールを奪うという札幌の狙いが見える。

 特にジェイはチームの狙いをよく反映し、プレーモデルをよく理解したパフォーマンスを披露していると言っていいだろう。シュート26本で8得点、決定率30.7%という数字もさることながら、クロスに合わせるシュートが11本(42.3%)、セットプレーに合わせるシュートが10本(38.5%)と、チームが求めるプレーを忠実に実行して結果を残している。スルーパスを受けて放ったシュートはわずか2本(7.7%)しかない。

わかっていても止められない脅威の高さ。ジェイが札幌を救う

 ジェイのゴールの形もわかりやすい。第32節の清水エスパルスまでに決めた8得点のうち、5得点がヘディングシュート(うち3得点は左サイドの石川直樹からのクロスがアシストになった)で、他に右足で2得点、左足で1得点となっている。第33節のガンバ大阪戦で決めたゴールは、今季初めてコーナーキックにヘディングで合わせた形だった。

 札幌のセットプレーからの得点(直接FK・CKおよびPKを除く)とクロスからの得点は、前半戦17試合で7つあったが、後半戦16試合で2倍以上の15個に増えている。特に顕著なのはクロスからの得点数の増加で、前半戦の「3」から「9」と大幅な変化があった。ジェイがクロスからのヘディングシュートで5得点を決めていることを踏まえると、イングランド人FWの得点力がそれまでのベースにそのまま上乗せされたということがわかる。

 ジュビロ磐田で2年間プレーしてJ2で20得点、J1で14得点を挙げているように、日本の選手たちや各クラブは長身の元イングランド代表の武器がヘディングであり、高さが脅威になる、そして相手はその強みを生かしてくると知っており、対策も立てているはず。だが、理解していても止められないのが彼の恐ろしいところだ。

 長身でヘディングを武器とする選手が活躍しやすい土壌(戦術)が整っていたとはいえ、チームの攻撃力を格段に向上させたジェイの活躍は、札幌をJ1残留に導いた。筋骨隆々のパワフルボディでピッチを駆ける元イングランド代表FWがゴールを奪った6試合で札幌は1つも負けていない。

 10月には3試合で4得点1アシストを記録し、J1の月間MVPも受賞した。半年のブランクを経て北の大地に降り立ったストライカーは、文字どおり札幌の“救世主”となり、来日以来最高のパフォーマンスで力強くチームをけん引している。


(文:SPAIA編集部、監修:データスタジアム)

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