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ツエーゲン金沢にみるヨーロッパサッカーとの関係


J3誕生で新たな風が吹いた日本サッカー界

1993年に10クラブで始まったJリーグは、徐々にチーム数を拡大しJ2、J3も誕生した。
2017年にはトップディビジョンとなるJ1が18クラブ、2部のJ2が22クラブ、さらに3部に該当するJ3が14クラブ+J1クラブのセカンドチーム3チームの合計54クラブ57チームで行われる大きな組織へと成長した。

J2が誕生した際にも様々な変化が起こったが、2014年にJ3が誕生すると、多くの興味深い事象がおこるようになった。
そのうちの1つが、J3からJ2へと昇格を果たしたチームが、その初年度にJ2でブレイクを見せるということだ。

J3からJ2への初昇格クラブとなり2015年にクラブ史上初のJ2の舞台に立ったツエーゲン金沢、2016年に同じく初のJ2を戦ったレノファ山口FCが、初年度、J1やJ2では見られない大胆なサッカーでブレイクを果たしたのだ。

今回はそんなクラブの1つ、ツエーゲン金沢に注目してみよう。

ツエーゲン金沢の歴史

2015年に初めてJ2を戦ったツエーゲン金沢だが、クラブの歴史は古く、前身となった金沢サッカークラブは1956年に創設されている。
本格的にJリーグ参加を目指しチーム名をツエーゲン金沢とした2006年当時は、まだ地域リーグの1つである北信越サッカーリーグに所属していた。元鹿島アントラーズの小川雅己氏が選手兼監督としてチームを率いたが、Jリーグ入りは遠く、全国リーグとなるJFLに昇格したのも2010年になってからだった。
この2010年は元日本代表の久保竜彦氏が加入したことで話題にはなったものの、Jリーグ入りは果たせなかった。

ツエーゲン金沢に転機が訪れたのは、アビスパ福岡のコーチを務めていた森下仁之氏が監督に就任してからだ。
2014年に誕生したJ3に参加すると、J2でのプレー経験がある選手を獲得する。鉄壁の守備を築き上げ、ツエーゲン金沢はJ3で初めての優勝クラブとなりJ2昇格を決めた。

ヨーロッパスタイルのサッカーで旋風を巻き起こす

J2に昇格したツエーゲン金沢はシーズン序盤から好調だった。2015年のJ2開幕戦となった大宮アルディージャ戦では0-1で敗れてしまうが、第2節に東京ヴェルディに勝利すると、第4節から6連勝を達成し、一時はJ2で首位にも立つこととなる。

相手チームによるツエーゲン金沢の研究が進んだシーズン後半は11分8敗と全く勝てなくなり、最終的には12位でシーズンを終えることとなるが、序盤の快進撃は多くのサッカーファンを驚かせた。

このツエーゲン金沢の快進撃の要因となったのは、J3時代から磨いていた鉄壁のディフェンスだ。
しかもそのディフェンスは、いわゆる自陣に引いて守る形ではなく、前線の高い位置から組織的に守備を行うもので、ヨーロッパで主流となっているゾーンディフェンスだった。

選手個々の能力としては他のJ2クラブにも劣るほどだったが、ゾーンディフェンスの完成度は当時のJ1を含めてもトップレベルであり、ヨーロッパスタイルのサッカーを見せたのだ。

ヨーロッパスタイルのゾーンディフェンスは決して専守防衛という形ではなく、攻撃への移り変わりまでもが計算して組み立てられたものである。その為、鉄壁のディフェンスが特徴とはいえ攻撃力も持っており、シーズン前半戦で無得点試合は2試合しかなかった。

センターハーフを4番と6番の選手が務める

ツエーゲン金沢は外国人監督が就任した事がなく、在籍した外国人選手もわずか12人しかいない。海外サッカーの指導者や選手に影響を受けずにヨーロッパスタイルのサッカーを研究したことは、選手たちの背番号を見ればわかる。

ツエーゲン金沢の選手たちの背番号は、スペインやフランスなどで見られるヨーロッパの基準となっているのだ。
サッカーの背番号は、かつてはポジションを表すものだった。サッカーが世界的に発展していく中で、番号が指すポジションが世界の国や地域によって異なるものになっていったという歴史を持っている。

例えばツエーゲン金沢で守備的ミッドフィルダー/センターハーフとしてレギュラーポジションを掴んでいるのは、4番の小柳達司選手と6番の大橋尚志選手である。
この4-4-2の布陣の中央、守備的ミッドフィルダーやセントラルハーフと呼ばれるポジションを4番と6番の選手がつとめるのは、フランスやスペインなどの西ヨーロッパで見られる傾向だ。

フランスの4番といえばパトリック・ヴィエラ氏、6番はマケレレ氏やキャバイエ選手がつけており、スペインではジョゼップ・グアルディオラ氏が4番、6番はイエロ氏やイニエスタ選手がつけている。
J1のクラブを含めてもこのポジションに4番と6番の選手を起用しているチームはほとんどない。

エースナンバー、背番号7番

ツエーゲン金沢のエースだった清原翔平選手がつけていた背番号7番も、ヨーロッパサッカーの影響を受けている。
日本では遠藤保仁選手が7番をつけていたことで、ゲームメーカータイプの選手がつけることが多くなっているが、スペインで7番といえばエースナンバーである。ラウール・ゴンサレス氏やダビド・ビジャ選手、2016年のヨーロッパ選手権ではモラタ選手がこの番号を背負って戦った。
いずれもエースとして期待されている選手ばかりである。

フランス代表でもその傾向は強い。かつてはディディエ・デシャン氏がつけていたようにセンターハーフの選手がつけることもあったが、現在のフランス代表7番はエースであるアントワーヌ・グリーズマン選手である。

実際のサッカーでもヨーロッパスタイルをみせていたツエーゲン金沢だが、こうして各選手の背番号をみると、クラブとしてヨーロッパサッカーを研究していることがわかるのだ。

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