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最多勝ち点チームのプライド、浦和レッズの2017年展望

2017 2/22 15:03Aki
サッカーボール,ⒸSPAIA
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目前でこぼれ落ちたリーグチャンピオンの座

2016年のJリーグで最も安定して強さを見せたのは年間勝ち点で首位となる74を獲得した浦和レッズだということは紛れもない事実です。
ファーストステージこそ3位に終わったもののセカンドステージでは17試合と短期勝負ながらも2位のヴィッセル神戸に勝ち点6もの差を付けて優勝。ジュビロ磐田の名波浩監督も年間勝点3位の鹿島アントラーズと勝ち点10以上の差をつけた浦和レッズと川崎フロンターレの2チームは2016年のJ1で抜けた存在だったと語っており、そしてその川崎フロンターレに競り勝ち最終節を待たずに年間勝ち点首位を決めた浦和レッズの強さは特筆すべきものでした。
しかしチャンピオンシップという短期決戦で鹿島アントラーズの勝負強さの前に後塵を拝する事に。決勝のスコアは同点で、両チームの差を分けたのはアウェイゴールという微妙な差。しかも年間勝ち点が15も下回るチームに敗退となる現実は受け入れがたい一面もあったでしょう。

年間勝ち点首位は誇るべき成長

これまでも優勝の掛かった一戦で敗れることや、リーグ戦の後半に失速してしまう事を繰り返していた浦和レッズ。チャンピオンシップ決勝の2戦目では鹿島アントラーズに同点に追いつかれてからの時間は積極性を失ったようにも不完全燃焼とも感じられる内容であったため、2016年も同じことを繰り返してしまったという評価も聞かれます。
しかしリーグ戦全体を振り返ると2016シーズンはこれまでと異なりシーズン終盤に失速することなく年間勝ち点首位を獲得。これはリーグ戦を戦うチームの体力は確実に成長したと言えるもので、しかもミハイロ・ペトロヴィッチ監督はこれまでの哲学や戦い方を変えたわけではなく、それを徹底したことで獲得したという点ではもっと評価されるべき点でしょう。
またルヴァンカップ決勝ではPK戦の末にガンバ大阪を下し13年ぶりとなる優勝も達成。
これまでは勝負弱いと呼ばれてしまっていたチームが拮抗した熱戦の、しかもPK戦で優勝を達成したということもチームの成長という観点では大きな出来事です。

クラブは継続路線を決断

そんな成長を感じさせながらも結果は悔しいものとなってしまった2016年を経て迎える2017年。クラブとしては例えばこれまでと全く異なる資質を持つ選手を獲得することでチームの戦い方を変えるという考え方もありましたが、ここまでで獲得したのは昨年最も成長した若手選手の1人である矢島慎也選手の復帰や、アルビレックス新潟のFWラファエル・シルバの獲得などこれまでのチームをベースにした補強を実施。つまりこれはクラブが継続路線を決断したということ。
浦和レッズは昨シーズンまでのミハイロ・ペトロヴィッチが持つ。「サッカーを楽しみ、内容にこだわる、そしてその先に結果がある。」という哲学を継続することを決断しました。
これは、もちろんこの先に一気に大きな成長を見せる可能性もありますが、これまでや2016年の様にハッキリ目に見えるわかりやすい成長ではないかも知れない。しかしクラブを成長させるためには継続することで一歩一歩着実に成長する方法を選んだということです。
インパクトの強い1試合を切り取って「限界だ」と判断することは簡単なこと。変化を加えることで効果的かどうかは別で何かを行ったというアピールにもなる。しかしクラブはその安易な方法を選びませんでした。
浦和レッズが下した決断は結果でしか判断できないものではありますが、最多勝ち点を獲得したチームのベースはそのままにさらなる積み上げを行うチームは、再び年間勝ち点で優勝を決めるという2017年のJリーグにおいて間違いなく優勝候補の筆頭といっても良いでしょう。

期待のかかる2017年の槙野智章選手

2016年のチームにはさらなる進化を見せた選手が何人もいました。その中で注目の1人は日本代表でもあるディフェンダー槙野智章選手。
槙野選手はこれまでディフェンダーでありながらも攻撃的なプレーで注目をあつめてきた選手。
しかし2016年はこれまで頻発に見せていた攻撃参加は控えめに、守備でスピードや1対1の強さを感じさせるプレーを披露していました。
しかしチャンピオンシップの2戦目で鹿島アントラーズに決勝点となるPKを与えてしまったのも槙野選手。結果的に槙野選手の与えたPKで浦和レッズはリーグチャンピオンの座を逃したとも言えます。
槙野選手自身もこのプレーについて大きな責任を感じていた様で、試合終了後普段なら時間の許す限りメディア対応を行うことで知られている槙野選手はこの日は最低限の対応をしただけで足早にその場を立ち去ります。
メディアなどで見られる姿からはおちゃらけた印象を持たれることも多い槙野選手ですが、実際は自分自身に厳しく、練習から全力を出す事ができる選手。
このプレーがおおきなきっかけとなり2017シーズンはさらなる進化がみられるかもしれません。

新加入選手の注目度ナンバーワン矢島慎也選手

新加入選手で最も期待がかかる選手は矢島慎也選手でしょう。
矢島選手は浦和レッズからファジアーノ岡山にレンタル移籍していた選手ですので厳密にいえば新加入選手ではありませんが、2016年で最も成長を見せた若手選手の1人。レンタル先のファジアーノ岡山ではボランチという新たなポジションにチャレンジし、新加入選手といってもよいぐらい以前浦和レッズでプレーしていた時とはプレースタイルが変化しています。
以前浦和レッズでプレーしていたときはテクニカルなアタッカーというプレースタイルだった矢島選手がファジアーノ岡山で身につけたのはボランチとしてのプレー。
浦和レッズと同じフォーメーションを採用するファジアーノ岡山で、ボランチとして長短のパスを駆使しながら攻撃陣を牽引し、また時にはゴール前に進出しゴールも決める。クラブ史上初めてJ1昇格にあと一歩とせまったファジアーノ岡山の躍進は矢島選手の存在抜きでは語れないほど。本人も大きな刺激を受けたと語るリオオリンピックから帰国後のプレーは凄みすら感じさせるものでした。
昨シーズンは柏木選手が務める事が多かった浦和レッズのボランチというポジション。ここに矢島選手が食い込む事ができれば、再び柏木選手を前線に戻す事も可能となり、さらなる攻撃のバリエーションを増やす事も可能。
矢島選手が出場機会を掴む事ができた時、浦和レッズにさらなる進化が見られる可能性も高そうです。