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復活を狙うガイナーレ鳥取 2016-2017を解説

2017 1/20 10:11
サッカーボール
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Photo by topseller/Shutterstock.com

降格チームとしては最長となる3シーズン目のJ3を戦ったガイナーレ鳥取。 2年ぶりとなるJ2ライセンスも取得して昇格に向けて取り組んだ2016年は、最終成績は15位と苦しいシーズンとなりました。 J2復帰に向けて戦うガイナーレ鳥取の今季を振り返ります。

山陰地方初のプロスポーツクラブとして誕生

鳥取県内の教職員のチームを母体に2007年にJリーグ準加盟クラブとなったガイナーレ鳥取。元日本代表の岡野雅行氏や小村徳男氏、さらには服部年宏氏などを獲得して2011年からJ2に参入。山陰地方初のプロサッカークラブかつプロスポーツクラブとなります。
J2に加入後は、元コスタリカ代表選手の獲得やレンタル移籍で数多くの選手を獲得し、何とか戦力向上に努めたものの、2013年に翌年から始まるJ3に向けて行われたJ2・JFL入れ替え戦でカマタマーレ讃岐に敗れてJ3降格。
J3初年度となる2014年は、元ガンバ大阪監督の松波正信氏を監督に招聘するも4位。2015年は財政問題によりJ2ライセンスの取得を見送ることになり、6位でシーズンを終え、大卒2年目で主力選手となった馬渡和彰選手は金沢に、チーム得点王の中山仁斗選手は山口へとJ2クラブへ移籍。 迎えた2016年は財政問題も改善させ、J2復帰に向けて大きく進もうとしたシーズンでした。

元日本代表の闘将 柱谷哲二氏を招聘

復活を狙う2016年、監督に招聘したのは元日本代表キャプテンであり、コンサドーレ札幌や東京ヴェルディ、水戸ホーリーホックで監督の経験もある柱谷哲二氏でした。クラブの歴史上最も経験豊富な監督です。
さらに戦力としても、かつて天才と期待された前田俊介選手や川崎フロンターレで活躍した黒津勝選手らの経験ある実力者を獲得。チームのエースとして10番を背負う、かつてガンバ大阪や清水エスパルスなどで活躍したフェルナンジーニョ選手らとのどのようなハーモニーを見せるかと、シーズン前には大きな期待を集めました。

期待は一転、厳しい戦いに

期待を集めて迎えた2016年シーズン。しかしシーズンが開幕すると最初の6試合を3分3敗とスタートダッシュに失敗。その後なんとか2連勝するも、そこからの8試合で1分7敗と再び厳しい結果に。開幕前に掲げた目標とは大きくかけ離れてしまいます。
その要因となったのは開幕前の準備不足でした。経験を買って招聘した指揮官でしたが、鳥取の積雪や低い気温に戸惑い、思い通りのトレーニングができず、さらにベテランと若手選手という両極端となった選手構成はトレーニング方法の一本化が難しく、チームとしての戦い方のベースを開幕前に作り上げられることができなかったことが大きく響きました。
中断期間以降はなんとか守備も安定しはじめ、勝ち点を積み上げられるようにはなりましたが、最終成績は過去最低となる16チーム中15位。厳しいシーズンとなってしまいました。

立て直しを目指す2017年

ガイナーレ鳥取の塚野真樹社長は、2016年を大失敗と12月5日の記者会見で明言。また来季への取り組みもあきらかにしています。
その施策として明らかにしたのは、まず岡野雅行ゼネラルマネジャーの立場。これまでは野人というニックネームで親しまれた抜群の知名度を活かして営業と強化の両面を担っていましたが、特に今季は債務超過解消のために営業としての仕事に追われ、強化面が疎かになってしまうことに。
その反省を活かし、来季からは岡野雅行氏を営業面に専念させ、育成を統括してきた雨野氏を強化部長に任命。育成と強化を一元化した体制にすることでクラブの立て直しを図ると発表しました。

J2昇格に必要なものは育成と積み上げ

J3リーグのスタートから3年が経ち、これまでツエーゲン金沢、レノファ山口、町田ゼルビア、大分トリニータの4チームがJ2に昇格していますが、これらの4チームに共通するのは、短期的な補強によるものではなく、しっかりとした戦術の積み上げと若手の育成でした。
今季昇格を決めた大分トリニータも、資金的なアドバンテージだけではなく、片野坂監督のブレない戦い方とそれに伴い出場機会を得た若手選手の成長が逆転優勝につながりました。
そしてガイナーレ鳥取も、ようやくその体制を作り上げつつあると言えるでしょう。

まとめ

大失敗と明言した塚野真樹社長の言葉にある通り、今季はかなり厳しいシーズンとなったガイナーレ鳥取。 しかし、今季も元ガイナーレ鳥取の選手がJ2で活躍を見せたように、元々のポテンシャルはあるチームです。 育成と積み上げに舵を取ろうとしている来季は、復活の狼煙をあげるシーズンとなるかもしれません。