サッカーの本場静岡県藤枝市で伝統の藤色背負うチーム
藤枝MYFCが誕生したのは2009年。前身の藤枝ネルソンCFからチーム名を変更し設立されました。
元ガンバ大阪監督の釜本邦茂氏をアドバイザー的な立場で招聘。元日本代表で清水エスパルスでプレーした斉藤俊秀氏がヘッドコーチ兼選手として指揮する形で藤枝MYFCの歴史が始まります。
そして当時話題となったのは、まるでゲームのような「ネットオーナーによる議論・投票により運営・強化方針などを決める」というネットオーナーシステム。ネットオーナーの投票によりチーム名、ユニフォーム、フラッグなどが決められ、サッカー王国静岡の中でも最も歴史がある藤枝市で、伝統の藤色を背負って戦うチームとなりました。
そしてJ3リーグが立ち上げられた2014年にJ3発足12チームの1つとして、最初のシーズンからJ3リーグで戦うことになりました。
ホームで結果を残し初のシーズン勝ち越し
藤枝MYFCは2016年の開幕前に18名もの選手が退団。その中にはエースの大石治寿選手も含まれ、前年にプレーした選手で残ったのは9名のみで厳しい状況になるかと思われました。
しかし、越智亮介選手、枝本雄一郎選手、福王忠世選手の主力3人の残留には成功。さらにJ2での経験もある選手や、J3で活躍していた選手の獲得に成功すると、今季を7位で終え、目標だったクラブ史上初となるトップハーフ以上も達成する躍進のシーズンとなります。
特に強さを見せたのはホームゲーム。パスをつないで攻め抜くサッカーにこだわり、ホームゲームで11勝1分3敗という好成績を挙げることに成功しました。
今後のキャリアにも注目が集まる隠れた名将 大石篤人監督
チームを率いるのは大石篤人監督。Jクラブの監督経験はこの藤枝MYFCのみで、プロ選手としての経験もほとんどないため全国的な知名度は低いですが、理論的な指導と熱いハートを兼ね備えた今後注目の監督です。スペインサッカーへの造詣も深く、今季途中からSC相模原の監督に就任した安永聡太郎氏も監督のお手本として参考にしていると名言されています。
また、ユニークなキャラクターでもしられ、今季のSC相模原戦の試合終了後に行われた監督会見に突如として参加。先ほどまで対戦していた相手チームの監督にまさかの質問まで投げかけるという珍場面でも話題になりました。
チームを支えた越智選手、枝本選手、福王選手
大きく選手を入れ替えた今季のチームを支えたのは、チームに残った昨季の主力3人。越智選手、枝本選手、福王選手でした。
中盤のセンターで輝きを見せたのは藤枝のシャビこと越智亮介選手。チーム内でのパス数はナンバーワン。長短のパスを駆使して攻撃的な藤枝のスタイルのベースとなりました。
そして前線で躍動したのは藤枝のファンタジスタ枝本雄一郎選手。昨シーズンまでは典型的なドリブラーでリーグナンバーワンのドリブル数を誇る選手でしたが、今季は得点能力も開花。昨季の2得点から今季は12得点とキャリア初となる2ケタ得点を達成。チーム内得点王となりました。
最終ラインを引き締めたのは今季からキャプテンを務めた福王忠世選手。セレッソ大阪の下部組織出身で熊本でもプレーした経験豊富な選手ですが、今季は守備だけでなく最終ラインからの司令塔として攻撃の基点にもなりました。
2017年の展望
藤枝MYFCは予算規模的にもそれほど大きくないクラブなので、来季に向けてすでに13名の選手の退団を発表、再びメンバーが変わることが予想されます。また、退団選手の中には昨季までキャプテンを務めた奈良林選手の名前もあります。
しかし、今季培ったベースが残っているので、来季はさらなる躍進に期待。大石篤人監督も今季の戦いに手応えを感じながらも「選手は成長しているが、足りない点ばかり、さらに攻撃陣の破壊力、守備では運動量を求めていく」と語っています。
また、来季から同じ静岡県内にある「アスルクラロ沼津」のJ3参加も決定。リーグ戦で静岡ダービーが行われることになったため、静岡勢同士で切磋琢磨し、上位争いに参加したいと意気込んでいます。
まとめ
伝統の藤色を背負った藤枝MYFCの今シーズンの総括、来シーズンの展望をまとめました。
近年J3からJ2に昇格したチームでは、ツエーゲン金沢の森下監督、レノファ山口の上野監督と注目の監督が誕生しています。
藤枝MYFCの大石監督も、そんな注目を集める存在になりえる1人。ぜひ藤枝MYFCに注目してみましょう。