Y.S.C.C.横浜ってどんなチーム?
今回解説するY.S.C.C.横浜は、正式名称は横浜スポーツ&カルチャークラブという名前で、各語の頭文字をとってY.S.C.Cという呼称になっています。サッカークラブではありますが、その他にもバドミントンやヨガ、バスケットボールのサークル活動を行うなど、Jリーグのクラブでは珍しい総合型地域スポーツクラブとしての側面も有しています。
チームの歴史は1986年にまで遡ります。リーグへの参加は1988年に神奈川県社会人サッカーリーグ3部(J1から数えて9部相当)からスタートし、毎年昇格を続け1990年には神奈川県1部リーグに昇格します。しかし、その上の地域リーグである関東リーグへの昇格は少し時間がかかり、2003年に初昇格、2005年に関東1部に昇格すると、その後1部リーグに所属した7年間で4度の優勝を果たすなど、その強さを見せつけます。
2012年からアマチュアの最高峰リーグであるJFL(日本フットボールリーグ)へ参戦、2013年にJ3の創設が決まると参入を表明し、2014年からのJ3参入が決定します。
2014年から舞台をJリーグに移し、2016年のシーズンが終了した現在まで3シーズンを戦いました。
Y.S.C.C.横浜のJリーグでの成績
Y.S.C.C.横浜は、先述の通りこれまで3シーズンをJリーグで戦ってきました。残念ながら、これまでの3シーズンはいずれも最下位となっています。Jリーグ1年目となった2014年は4勝12分17敗、続く2015年は7勝6分23敗、そして2016年は5勝5分20敗と、各シーズン共に大きく負け越しています。また、Jリーグ参戦以降はリーグ戦での連勝がないなど、苦しい戦いを強いられています。
2016年に焦点を当ててみても、30試合で得点が15点、失点が51点で、1試合平均0.5得点、失点1.7得点と、数字からも得点力不足と失点の多さがわかります。特に得点に関してはY.S.C.C.横浜の次に得点が少ないSC相模原が29点で、倍近くの差があり、優勝した大分トリニータが50点と3倍以上の差があります。
攻守共に2017シーズンでどのように改善するのかが課題に挙げられています。
あと一歩のところまできている
3年連続最下位、2016年の得失点差-36と、数字で見ると圧倒的に他チームとの差があり、良い成績を残せていないY.S.C.C.横浜ですが、実はそれほどの差があるわけではないように思えます。
というのも、2016シーズンは1点差の負け試合や引き分けの試合が計12試合あり、あと1点を取れる力があれば勝ち点3、もしくは勝ち点1を得ることができており、もう少し上の順位に行くことができた可能性があります。確かに3点差や4点差の試合があるのも事実ですが、守備においてもあと1点を防ぐことができれば結果は大きく変わるはずです。一方で2点差での勝利は1試合のみなので、得点力を上げることは大きな課題であると言えます。
攻守両面において課題があるのは間違いないのですが、成績の数字ほど圧倒的な差があるわけではなく、逆にあと一歩のところで踏ん張ることができれば来シーズンは大きく変わる可能性があります。そこで鍵を握るのがチームを作る監督の存在です。
チームを率いる監督
これまでY.S.C.C.横浜は多くの監督によって率いられてきました。関東リーグ1部に所属していた2006年には後に日本サッカー協会で技術委員長やU-20日本代表監督を務める霜田正浩氏が監督を務めたこともありました。Jリーグ参入後の2年間はFC東京で下部組織やトップチームのコーチを務めた有馬賢二氏が監督となりますが、好成績を残せず2015年で契約満了となります。2016シーズンは横浜Fマリノスやヴァンフォーレ甲府で監督を務め、天皇杯で優勝したこともある樋口靖洋氏が監督を務めました。
このように一部だけですが、監督に関してはJ1での指導経験がある人を招聘しているにもかかわらず、結果には繋がっていません。監督だけでは優勝することはできないのはもちろんですが、来シーズンに期待したいところです。
来シーズンに向けて
最後に来シーズンの予想です。2016年12月現在、Y.S.C.C.横浜の来シーズンの選手、監督、コーチは準備期間となっていて、誰が来シーズンに所属するのかわからない状況ですが、選手の出入りがあるのは確実です。
他チームからの移籍選手、助っ人外国人はもちろんのこと、先日終了した大学選手権での活躍によって入団が決まる選手が出てくる可能性もあります。さらにはセレクションも行うので、そこから掘り出し物のような選手が出てくるかもしれません。監督の契約が更新されるのかも不明です。
これまでの成績から考えても勝つことは簡単な状況ではありませんが、樋口監督が来シーズンも続投となれば、今シーズンからの積み重ねが少しずつ成果となって現れてくることが期待できます。
また、順位こそ最下位ですが、2016年のJ3所属チームの中でリーグ戦を勝ち越すことができているのはわずか2チームのみです。群雄割拠となっている状況なので、Y.S.C.C.横浜が少しでも上に食い込める可能性はあるのではないかと思います。
まとめ
ここまで、Y.S.C.C.横浜の2016シーズンの振り返りと2017シーズンの展望について紹介してきました。
これまで不本意な順位が続いてはいますが、まだまだJリーグに参入したばかりのチームです。
今後のチームの成長に期待しながら2017シーズンを楽しみにしましょう。