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川崎フロンターレが優勝するのに必要なこと

2016 10/20 18:39
川崎中村Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

今や常に上位争いを繰り広げるクラブとなった川崎フロンターレは、不思議な事に未だJ1リーグ優勝やYBCルヴァンカップ(ヤマザキナビスコカップ)天皇杯の優勝経験がない。そんな川崎フロンターレが優勝するために必要なことを考えてみる。

優勝に最も迫った関塚監督時代

川崎フロンターレが最も優勝に迫ったのは4年間で3度リーグ2位となった2006年~2009年までの関塚監督時代だろう。
この頃の川崎フロンターレを支えていたのはリーグ最多記録を達成する事も多かった攻撃力。大学時代まではほぼ無名の選手だった中村憲剛が完全にチームの中心となり日本を代表するゲームメイカーとして知られるようになっていったのもこの頃だ。 中村憲剛のスルーパスから快足FWジュニーニョや我那覇、チョン・テセらがゴールを決める縦に速い攻撃は迫力抜群だった。

失点の多さが競り負ける結果に

そんな迫力満点の攻撃陣を持つ川崎フロンターレだったが、爆発的な得点力を見せる一方失点も多く2006年には2位ながらも優勝した浦和レッズの約2倍にもあたる失点を喫している。
翌年には後に日本代表の守護神となる川島永嗣を獲得するも、チームの戦い方が前線に攻撃のタレントを多数起用した速攻型であったためどうしてもチーム全体が前後に分断してしまう事が多く失点数を減らす事ができないまま。結局シーズンを通じて安定した戦いをすることができず、3点以上取れないと勝てないという試合も多く安定感を持つ浦和レッズや鹿島アントラーズに競り負け、優勝には届かなかった。

ボールを保持するサッカーを目指す風間監督

再び川崎フロンターレが優勝争いを繰り広げる様になったのは、解説者として人気を博していた風間監督就任2年目の2013年から。世界的にもFCバルセロナが見せるボールを保持するサッカーが旋風を起こしており、風間監督の理想とするサッカーもボールを保持する事をベースとしていた事から話題を集める。
そしてそのサッカーにフィットしたのは日本有数のゲームメイカーとなっていた中村憲剛と、ヴィッセル神戸から加入した大久保嘉人。川崎フロンターレが見せるショートパスを繋ぐサッカーは彼らの能力を最大限に活かすものであったため爆発的な攻撃力を見せる事になる。

得点が増えると再び失点も増える事に

大久保嘉人の3年連続得点王や、小林悠の活躍、さらに中盤では大島僚太が成長を見せるなどして、Jリーグで最も攻撃力のあるチームの1つとなった川崎フロンターレだが、ゴール数が増えると失点数も増えてしまう悪癖が再び顔を見せるようになる。
風間監督のコンセプトである、ボール保持により相手の攻撃機会を減らす考え方は、全盛期のFCバルセロナが見せたように素早い守備への切り替えによるボール奪取とセットでなければいけないのだが、そのボール奪取の部分が弱く、相手の攻撃機会を減らす事ができない試合も多いのだ。 その結果、やはり安定感に欠ける試合も出てきてしまう事となり、結果的には関塚監督時代と同様の安定感があるチームには競り負ける事に。
やはり優勝という結果を達成するためには、守備力の向上は避けては通れないテーマという事だろう。

守備の安定感を見せ始めた2016年

風間監督は攻撃的なチームコンセプトを貫くために守備について語る事はあまりないが、今シーズンはあきらかに守備の改善が見られるようになってきている。 その兆しが見られ始めたのは2015年の中盤以降から。この時期チームを引っ張っていたブラジル人選手レナトが資金力が豊富な中国のクラブに引き抜かれる事になったが、レナトが移籍して以降の川崎フロンターレは守備で穴を空けてしまう場面が目に見えて減る様になる。
そして迎えた今シーズン。相手のボール保持に対してもコンパクトな布陣による組織だった守備陣形を敷く事が出来る様になり、対戦相手が攻めあぐねる場面も見られるようになってきている。

まとめ

今シーズンの川崎フロンターレは爆発的な攻撃力はそのままに、2015年シーズンに比べ総失点数が10点ほど少なくなり、守備力は目に見えて高まっている。 このまま失点数を減らす事ができればシーズンを通じて安定感を増し、悲願のタイトルを獲得できる日も近いのではないだろうか。 その結果を残すのは今シーズンかもしれない。