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鹿島アントラーズの過去の優勝を振り返る!

2016 10/20 18:39
小笠原Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2016年明治安田生命J1リーグの優勝を目指す鹿島アントラーズは、国内三大タイトルはもちろんその他タイトルを含めてもいずれも最多優勝回数を誇るビッグクラブ。そんな鹿島アントラーズの歴史上最も印象的だったJリーグ3連覇を達成した最初のシーズンである、2007年を振り返る。

最終節で劇的な逆転優勝を達成

前年にクラブ史上最長となる3年連続無冠に終わった鹿島アントラーズは、新監督としてオズワルド・オリヴェイラを招聘。内田篤人、柳沢敦、野沢拓也に加え、後に外国籍選手としてJリーグ最多得点を記録する事になるマルキーニョスを獲得して2007年は始まった。
大黒柱・野沢の怪我もあり開幕から出遅れてしまうが、野沢の復帰と共に成績が上昇。さらにイタリアから小笠原満男の復帰もありリーグ終盤には9連勝と猛烈な追い上げを見せ、最終節まで1度も首位にならなかったチームが最終節で逆転優勝を達成。
そしてここからJリーグ記録となる3連覇を達成する事となる。

「オズの魔法使い」名将オズワルド・オリヴェイラ

自身はプロ選手としての経歴を持たないオズワルド・オリヴェイラが優れていたのは、フィジカルコーチ出身らしくチームのコンディショニングと人心掌握術。
コンディショニングについてはシーズン後半に他チームがコンディションを落とす中、鹿島の選手は最終節までトップパフォーマンスを維持。試合終盤の逆転勝利も多くそれが逆転優勝に繋がったといえる。
また鹿島の監督に就任した初日、顔合わせの段階で選手全員の名前と顔を覚えていた事に代表されるように人心掌握術にも優れており、出場機会の少ない選手にも常に気を配り声をかけ続ける一方、ミスには厳しい指摘をするなど、スタッフを含めたチーム全員がチームの勝利を目指して戦う鹿島アントラーズのスタイルを徹底。その手腕から「オズの魔法使い」とも呼ばれる様になった。

特徴は勝負強さを身につけたブラジルサッカー

鹿島アントラーズといえばジーコにはじまりレオナルドやビスマルクら華麗なテクニシャンによるパスサッカーのイメージが強くあった。このシーズンも野沢拓也や増田誓志など抜群のテクニックを持つ司令塔が存在していたが、それ以上に特徴的だったのは鉄壁のディフェンス。テクニックをベースにしながらも相手の良さを消す柔軟さも持ち合わせており、1点差勝利も11試合を記録。
また前線にはマルキーニョスを軸にオールラウンダー柳沢とエアバトラー田代を使い分けながらスーパーサブに3年目の興梠慎三を起用し、前線からのハードワークで相手を苦しめるだけでなく試合終盤にゴールを決める試合も多くあった。

魂のミーティング

そんな2007年の鹿島アントラーズを優勝に導いたのは「魂のミーティング」と呼ばれたチームミーティング。長い時は2時間に及ぶと言われたミーティングは、対戦相手の分析やチームの約束事の徹底だけでなくモチベーションアップの為に行われたものも多数ある。たとえば、選手に内緒で選手の家族からのビデオメッセージを撮影し、家族から選手への激励メッセージをミーティングで流す事もあった。
2009年にJリーグ選抜と韓国Kリーグ選抜が対戦したJOMOカップで、Jリーグ選抜の監督をオリヴェイラが務めた際にも試合前にミーティングが行われたが、川崎フロンターレの中村憲剛は初めて体験しそのミーティングにいたく感激。「鹿島の強さの秘密がわかった」と語っていた。

本山の覚醒と小笠原の復帰

優勝の立役者と言えるのは鹿島の10番本山雅志とシーズン途中に復帰した小笠原満男。
本山はこのシーズンまでスーパープレーを見せるものの怪我やコンディション不良もあり絶対的な存在にまでは至っていなかった。しかしこのシーズンはオリヴェイラ監督が「これまで見た選手の中で5本の指に入るゲームを読む力を持つ選手」と評した様に覚醒。攻撃だけでなく守備にも積極的に取り組み、それまでのドリブラーから幅広くゲームに関与する選手に成長。チーム唯一の全試合出場を果たす。
本山に加えシーズン終盤の快進撃を支えたのは7月にイタリアから復帰した小笠原満男。 元々司令塔としてのプレーは素晴らしいものを持っていたが、復帰後はチームの為に誰よりも走る献身的な姿勢を見せる1ランク上のプレーヤーへと変貌していた。

まとめ

現在も続く勝負強い鹿島アントラーズを強く印象付ける事となったのは、この2007年シーズンのリーグ優勝から始まるリーグ3連覇だったのではないだろうか。そして2016年、 7年ぶりの優勝を果たした鹿島アントラーズ。勢いはとどまるところを知らない。