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U-22サッカー日本代表、東京五輪へ期待膨らむ大きな一歩 敵地でブラジルに逆転勝利

2019 10/16 16:27中山亮
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トゥーロン決勝の再戦

フル代表がワールドカップ予選を戦う中で行われた、来年の東京五輪を控えたU-22日本代表のブラジル遠征。現地10月14日に行われたU-22日本代表対U-22ブラジル代表の一戦は先制を許すも3-2で日本代表が見事な逆転勝利。東京五輪へ大きな手応えを感じさせる試合となった。

この世代のU-22日本代表がブラジル代表と対戦するのは今年6月のトゥーロン国際大会決勝以来2度目。この時は序盤ブラジルの素早い攻守の切り替えと高いインテンシティに苦しみながらも90分間を1-1の同点で終え、PK戦の末に敗戦。ブラジルが優勝、日本は準優勝に終わっている。

ブラジルはこのトゥーロン決勝で先発していた選手のうち7人が引き続き先発。一方の日本は、トゥーロン決勝の時にはコパ・アメリカに回っていた選手やU-20ワールドカップに出場していた選手がいたため、引き続き先発したのは2人のみだった。

会場は2014年のワールドカップで日本対コートジボワール戦が行われた、ブラジル・レシフェ郊外のアレナ・ペルナンブーコ。先日の台風19号の犠牲者に向けて黙祷が捧げられた後、試合が始まった。

ブラジルに圧倒される苦しい立ち上がり

立ち上がりは前回のトゥーロン決勝同様、ブラジルの素早い攻守の切り替えと高いインテンシティに圧倒された。

3分にはコパ・アメリカ出場組だったGK大迫敬介のキックをカットされ大ピンチを迎える場面もあった。ブラジル4-3-3のアンカーポジションでどっしり構えるドウグラス・ルイスを中心にしたボールポゼッションと前線のポジションチェンジに完全に押し込まれ、何とか日本がボールを奪ったとしてもすぐに奪い返されるという苦しい展開が続いた。

その流れから与えてしまったのが15分のブラジルの先制点。渡辺剛が足を上げてクリアに行ったところで足裏がマテウス・クーニャの足と接触しPKを与えてしまった。少し厳しい判定に思える不運とも言えるPKだったが、渡辺のプレーも少し不用意だった。

この失点後もブラジルに押し込まれる日本。ブラジルが何度もチャンスを迎える苦しい時間帯が続いたが、ここで耐えることができたのが結果的には非常に大きかった。

豪快なミドルシュート3発

苦しい時間帯を耐えた先に待っていたのが、田中碧のスーパーゴール。三好康児からのパスを受けてボールを持ち出すと右足を一閃。無回転気味のシュートにブラジルのGKクレイトンは全く動くことができなかった。

ここから日本が徐々にチャンスを作ることができるようになると、後半開始早々の52分に再び田中碧の右足が火を吹く。小川航基とブラジルDFが競り合ったこぼれ球をダイレクトで迷わず振り切り、リャンコの足に当たったボールがそのままネットに吸い込まれた。

田中碧はトゥーロン決勝にも出場していた選手。その時も時間の経過と共にブラジルの素早いアプローチに対応できるようになっていったが、この試合では2ゴールをゲットしてみせた。

ブラジルはレアル・マドリードに所属するロドリゴも投入するが、さらに追加点を奪ったのは日本。今度は中山雄太の左足がニアサイドを切り裂きゴール。3-1と日本がリードを2点に広げた。

その後町田浩樹がレッドカードで退場となり、日本は数的不利に陥るがブラジルの反撃をPKによる1点に抑え3-2で日本が勝利。U-22日本代表は敵地でブラジルを撃破した。

東京五輪に期待が膨らむ勝利

今回の劇的な勝利の要因は、前半の苦しい時間帯を不運なPKによる1失点に抑えたことだろう。

抑えることができたのはトゥーロン決勝での経験が活きたとも言える。トゥーロン決勝でもブラジルに先制を許しながらも、好機が訪れるまで我慢強く耐えしのぎ同点、PKに持ち込むことができたからだ。 そして日本の選手達がブラジル相手でもフィジカル的に劣らないところを見せることができたことも見逃せない。

この試合のU-22日本代表のスターティングメンバーで身長180cm以下だったのは守備的MFの田中碧、シャドゥストライカーに入った三好康児、食野亮太郎の3人のみ。3バックに入る渡辺剛、立田悠悟、町田浩樹はそれぞれ184cm、191cm、190cm。WBの橋岡大樹、杉岡大暉も共に182cmと高さは世界レベルでも引けを取らないチームとなっていたのだ。

試合後にU-22ブラジル代表ジャーディン監督やこの試合にも途中出場したロドリゴが「日本は五輪タイトル候補の1つだ」と口を揃えた一戦は、東京五輪本大会に向け期待が膨らむ勝利で幕を閉じた。