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【コパ・アメリカ】日本代表が得失点差で8強を逃す 今後の課題とは?

2019 6/26 07:00中山亮
日本の将来を担う久保建英ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

Ⓒゲッティイメージズ

2度目のコパ・アメリカで

日本代表は、招待参加しているコパ・アメリカのグループステージ3試合を2分1敗で終了。グループC最終節の日本対エクアドル戦では、勝利したチームが8強進出する真っ向勝負となったが、1-1の引き分けに終わったことで共にグループステージ敗退が決定。得失点差でグループB3位のパラグアイが8強進出となった。

日本代表が初めて参加したコパ・アメリカ1999では、1分2敗。20年の時を経て、2度目の参加となった今回は2分1敗。勝ち点にすれば、わずか1を上積みしただけに過ぎないが、日本サッカーの成長を感じさせる大会だったと言える。

特に第2節のウルグアイ戦では、今大会で上位進出も予想されるウルグアイに堂々たる打ち合いを見せ、2-2の引き分け。大会屈指の2トップ、スアレスとカバーニに多くのチャンスを作られたが、日本も負けずにチャンスを作った。グループステージ3試合で、ウルグアイが勝ち星を落としたのはこの試合だけだ。

今大会の代表招集には強制力が無く、主力選手全員を招集することができないという難しい条件だった。しかし、東京オリンピック世代の選手を中心に、数人のベテランが加わったチームが見せた戦いは素晴らしかった。

マンチェスター・シティに移籍したものの、今季はレンタル先のFCフローニンゲンで全く出場できなかった板倉滉だが、レアル・マドリードに移籍が決まった久保建英と共にこの3試合で成長をみせた。

Jリーグ組の三好康児(横浜FM)、岩田智輝(大分)、杉岡大暉(湘南)も随所に好プレーを見せ、ベテランの岡崎慎司と川島永嗣は改めて頼れる存在であることを証明。中島翔哉と柴崎岳と冨安健洋の3人は、日本代表の主力メンバーらしいクオリティを見せつけた。

唯一のアマチュア選手である上田綺世(法政大学)については、ボールを受ける前の動きは十分に世界で通用しているため、シュートが今後の課題になるだろう。

U-20ワールドカップやトゥーロン国際大会、そして今大会で頭角を現す選手が出てきたことは、大きな収穫と言える。

日本の弱点と今後の課題

チームとしての戦い方にも課題が出てきた。

グループステージで敗退となった理由は得失点差だった。これには、初戦チリ戦で0-4と大敗したことが影響している。「日本にもチャンスがあったはず」と思われるこの試合だったが、日本が先に得点していたとしても勝利することは難しかったと思われる。なぜなら、日本の戦い方に対応したチリは、日本の弱点を突くような戦い方をしたからだ。

それは最終節となったエクアドル戦でも同様だった。前半、4-1-4-1で守るエクアドルに対してアンカーポジションの脇に中島と久保を配置し、執拗に狙い続けた日本はチャンスを量産。事実、中島が奪った先制点も場面もアンカー脇が起点となっている。

しかし、後半にエクアドルが4-2-3-1に布陣を変え、アンカーポジションをなくしてしまうと、日本の攻撃は途端に停滞。ボールロストが増えた中島は本来、左SHにいるべきなのに中央に入り続け、それによって左SBの杉岡の負担が増えた。

つまり、試合中に相手に対策を打たれると、日本は戦い方を変化させることができないのだ。これはアジアカップ決勝のカタール戦も同様で、前回のワールドカップでもその傾向が見られた。

トップレベルにあるチームなら、選手だけでなく監督やスタッフも含めて相手の動きを見て戦い方を変える判断ができるはず。それがチームの強さにもつながっている。

久保がレアル・マドリードに移籍したように、日本サッカーのクオリティは上がっている。更に強くなるために「戦い方を変える判断」が必要ではないのだろうか。