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サッカーU22日本代表、トゥーロン国際初優勝逃すも確かな手応え

2019 6/16 01:15中山亮
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2019年6月15日のトゥーロン国際大会で、U-22日本代表は初の決勝の舞台に立ち、この世代最強と名高いU-22ブラジル代表と対戦。90分を1-1で終えPK戦に持ち込むも、ブラジルが5人全員が成功したのに対し日本は5人目のキッカー旗手が失敗。PK戦で敗れ準優勝に終わった。

U-22日本代表のスターティングメンバーは、GKはオビ・パウエルオビンナ(流通経済大)。3バックは田中(大阪体育大)、大南(磐田)、岡崎(FC東京)。守備的MFには田中碧(川崎F)、高(G大阪)。両WBには長沼(愛媛)、舩木(C大阪)。前線は1トップに小川(磐田)、シャドーに旗手(順天堂大・川崎F内定)、岩崎(札幌)の11人。

怪我でチームを離れた古賀(柏)やコンディション面に問題がある数人の選手、さらにはコパ・アメリカ参加でチームを離れた伊藤(ハンブルガーSV)と外れた選手もいるが、グループステージ第1節、第3節で戦ったチームがベースとなっている。

今大会ここまで15得点0失点と圧倒的な強さを見せ決勝に勝ち上がってきたU-22ブラジル代表に対し日本は立ち上がりは高い位置からアプローチをかけに行く積極的な姿勢を見せた。

しかし、マンチェスター・シティが保有権を持ち、18/19シーズンはスペインのジローナでプレーしていたこのチームのキャプテン、ドウグラス・ルイスが躍動。ルイスを中心にブラジル中盤の選手はボールを堅持。そしてWGとSBが外へ内へとポジションを入れ替えながら攻め込み日本を圧倒する。

圧巻だったのは攻撃から守備の切り替えのスピード。素早い切り替えで襲いかかってくるため日本は田中碧、高のところで攻撃を組み立てることができず、19分という早い時間帯ににアントニーに先制点を奪われた時点では、このままブラジルに押し切られるのではないかと感じさせたほどだった。

しかし、39分に突然日本にチャンスが舞い込む。日本のゴールキックの対応をブラジルのCBムリロが判断ミス。こぼれ球が小川の前に落ちてくるとそのままダイレクトで左足のボレーシュート。これがゴールネットを揺らし日本が1-1の同点に追いつく。このゴールがブラジルにとっては今大会初失点。小川は準決勝メキシコ戦に続くゴールとなった。

日本代表、45分間でブラジルの速度に対応

1-1で迎えた後半は日本が攻撃のペースを掴み始める。

ブラジルがペースダウンしたこともあるが、見事だったのは前半45分を経て田中碧、高の2人がブラジルの素早いアプローチに対応できるようになったこと。

これにより攻撃の組み立てが可能になり、後半開始から投入された相馬(名古屋)が持ち味である突破力を発揮する場面が見られるようになる。大会途中の怪我により2戦目チリ戦以来の出場となる三笘を66分に投入したころには、一進一退の拮抗した展開となっていた。

しかし77分、同点ゴールの小川が左足を痛めるアクシデントが発生。81分に神谷(愛媛)と交代となると、その後は両者決め手を欠き1-1で90分を終了。大会規定により延長線は無く、優勝の行方はPK戦に持ち込まれる。

PK戦で先行となったブラジルは5人全員が成功したのに対し、日本は5人目のキッカーとなったチーム内得点王の旗手が失敗。PK戦は5-4で敗れ、日本はブラジルをギリギリのところまで追い詰めながらもあと一歩届かず無念の準優勝に終わった。

優勝逃すも確かな手ごたえ 東京五輪でリベンジ期待

今大会は、U-20ワールドカップ、コパ・アメリカと同時期の開催となったためこれまでの主力が多く外れており、初招集組がなんと8人。さらに指揮官も森保監督はコパ・アメリカで指揮をとるため、横内昭展氏が監督代行としてチームを率いるという特殊な状況下での大会となった。

またさらに、招集メンバー22人全員を先発起用し徹底して経験を積ませた。そんな中で選手はみるみる成長。準優勝の結果だけでなく、東京オリンピックに向けて選手層という部分で大きな手応えを感じる大会となった。

今大会の22人。コパ・アメリカに参加する、久保(レアル・マドリード)、前田(松本)、安部(鹿島)、松本(広島)、三好(横浜FM)、渡辺(東京V)、中山(ズヴォレ)、立田(清水)、岩田(大分)、富安(シント・トロイデン)、菅(札幌)、原(鳥栖)、板倉(フローニンゲン)、杉岡(湘南)、大迫(広島)、小島(大分)の16人。さらにはU-20ワールドカップ出場組。そして残念ながらこの3大会には招集されていないがJリーグで経験を積む選手たち。東京オリンピックに向けて期待が膨らむ。

今大会決勝でブラジルに惜敗した借りはオリンピック本大会で返してほしい。