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東京オリンピックにつながる大会 若手サッカー選手の見本市「トゥーロン国際」とは?

2019 5/6 15:00橘ナオヤ
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U-23日本代表が参戦する「トゥーロン国際」とは?

U-23日本代表が、6月に行われる第47回トゥーロン国際大会に参加することが決まった。この大会は、毎年6月に開催される、U-23世代の代表チームが参加するFIFA公認のユースの国際大会だ。

フランス南部プロヴァンス地方にある、ヴァール県で行われる。トゥーロンの名は決勝の舞台でもある地中海に面した都市トゥーロンから付けられている。

この大会は50年以上の歴史がある。1967年にトゥーロンの富豪モーリス・レベロ氏が創設し、第1回が開催された。当初はクラブチームが参加する大会だったが、1975年の第3回大会から、現在のようにU-23世代の代表チームが参加するものとなった。

その後少しずつレギュレーションや参加国数が変わり、今大会はホスト国フランスと招待国の計12カ国が参加する。現在はモーリス氏の息子アラン氏が会長を務めている。

若手選手の「見本市」

この大会には、世界各国から有望な若手選手が出場するため、欧州クラブを中心としたスカウトたちの見本市的な意味合いの大会となっている。

かつては現レアル・マドリー監督ジネディーヌ・ジダンやポルトガル代表FWジョアン・マリオやMFアンドレ・ゴメス(2013年大会)、FWクリスティアーノ・ロナウド(2003年大会)、ブラジル代表SBフィリペ・ルイス(2004年大会)といった面々が出場。出場当時すでに欧州リーグで活躍していた選手もいるが、ここでの活躍を機にステップアップを果たした者もいる。

注目すべきは、この大会はFIFAやUEFA、フランスサッカー連盟の主催ではない、親善試合だという点だ。出場国は、ホスト国であるフランス以外は特に招待の基準があるわけではない。ワールドカップのようなランキングごとのポッド分けもなければ、所属するサッカー連盟から均等に招待されるわけでもない。

今大会はFIFAランクトップ10からホスト国フランスを含め4か国がいる一方で、100位台の国もいる。また今回はアフリカからは1か国も招待されていないが、前回大会はトーゴが出場しているほか、2017年大会ではコートジボワールが出場し準優勝している。主催者がどういった基準で招待国を選定しているかは明らかではないが、思いもよらぬ選手を発見できるかもしれない。

今大会の参加国は以下の通りだ。

トゥーロン国際のグループリーグ表ⒸSPAIA

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今大会の日程は6/1-15の2週間。まず12か国が3グループに分かれて戦い、各グループ1位と、2位の3か国のうち最も成績の良い1か国の計4チームが決勝トーナメントに進出する。

残る8チームはそこで終わりではなく、大会後半の11日からは順位決定戦が行われる。勝ち抜いた4チームは12日に準決勝、大会最終日の15日には3位決定戦と決勝戦が行われる。つまり、勝ち抜けなかったチームも4試合はできるレギュレーションになっている。また試合は40分ハーフと少々変則的だ。

日本にとっては絶好の腕試し

グループの内訳を見ると分かるが、FIFAランクを基準で考えると、グループAはチーム間の実力差が最も小さい。FIFAランクはA代表の成績を反映するため、トゥーロン国際に参加するチームの実力が反映されているわけではないが、日本がグループステージで対戦する相手はいずれも強豪ぞろいだ。6月1日に4連覇を狙うイングランド、4日にチリ、7日にポルトガルと対戦する。

日本は今大会が14回目の出場となる。過去最高成績は2002年大会の3位。当時は松井大輔、山瀬功治、阿部勇樹らがメンバーに名を連ねた。2008年大会では本田圭佑、岡崎慎司ら2018年W杯ロシア大会で中心となった選手たちが参加し、ホスト国フランスやオランダを破り決勝トーナメントに進出し、4位の成績を残した。前回大会は現U-23代表につながるU-21代表チームが参戦し、7位に終わった。

U-23日本代表監督はA代表の森保一監督が兼任しているが、トゥーロン国際開催期間中はA代表がコパ・アメリカに参戦する直前とあり、森保監督は渡仏しない。3月のAFC U-23選手権予選のように、横内明展氏が監督を務めると思われる。

監督事情だけでなく、招集選手も3月のAFC U-23選手権予選から予想できる。PECズウォレ(オランダ)のMF中山雄太やハンブルガーSV(ドイツ)のMF伊藤達哉、フローニンゲン(オランダ)の板倉滉、横浜FマリノスのMF三好康児、FC東京のMF久保建英・FW田川亨介、松本山雅のFW前田大然らが招集されると見込まれる。

U-23は2020年東京五輪に照準を合わせたチームで、選手間の激しい競争が見込まれる。つまり、彼らにとって今大会は欧州クラブを中心としたステップアップはもちろん、五輪代表メンバーの座、そして2022年W杯カタール大会を見据えたフル代表の招集につながる戦いだ。フル代表のコパ・アメリカ参戦と同じく、日本の強化において重要なイベントとして注目したい。