西野朗監督が退任
7月5日、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は会見を行い、サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表監督を務めた西野朗監督が7月末の任期満了をもって退任することを発表した。田嶋会長は「監督の任をお願いする時に西野さんから『結果はどうであれ、この大会で終わるから』と言われ、約束した。その約束はしっかり守りたいと思う。慰留することはしなかった。」と話した。
7月5日、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は会見を行い、サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表監督を務めた西野朗監督が7月末の任期満了をもって退任することを発表した。田嶋会長は「監督の任をお願いする時に西野さんから『結果はどうであれ、この大会で終わるから』と言われ、約束した。その約束はしっかり守りたいと思う。慰留することはしなかった。」と話した。
ハリルホジッチ前監督の電撃解任から約2カ月。準備不足が指摘され、「グループステージ全敗やむなし」と見るサポーターが少なくなかった。
しかし、初戦でFIFAランキング16位のコロンビアに歴史的勝利を収めてブラジル大会の雪辱を果たし、世界を驚かせる。ポーランド戦でのパス回しには賛否両論があるものの、決勝トーナメント進出を果たした。
決勝トーナメントでは、FIFAランキング3位の強豪ベルギーに対して一時は2-0とリードし、ベスト8が目前に迫っていた。しかし同点に追いつかれ、アディショナルタイムにベルギーの勝ち越し点を許してベスト16に終わる。悔しさは残るが、選手にとってもサポーターにとっても、これまでで最も手応えを感じたワールドカップだったに違いない。
西野JAPANが最上級の成果を挙げられたとしても、日本サッカー協会の不手際は忘れるべきではない。
ハリルホジッチ前監督の解任劇は唐突かつ不明瞭なもので、非難されても仕方がないことだ。
W杯会期中から直後は監督側からの売り込みが激しくなる時期。ベルギー戦を含めた大会結果に可能性を見出したのか、はたまた悔しさを最も感じている今なら高く売れると見込んだのか、その両方か定かではないが、元ドイツ監督のクリスマン氏ら名だたる監督たちが日本代表監督を希望していると言う。
西野監督の退任が決まり次期監督の検討が開始されることになる。田嶋会長は「7月いっぱいには決めたい」としているが、今こそ監督人事において協会は”何を求めるのか”を明確にする必要がある。
選手達がサッカーに集中し、サポーターが彼らを全力で応援するために、最も重視すべき課題だ。
日本が今後W杯でベスト8以上を狙うのであれば、欧州勢との親善試合(カップ戦)を増やす必要がある。これからの日本代表に必要なのは国際経験で、そのレベルはできるだけ高いものではなくてはならない。
W杯開幕直前の6月にパラグアイ、スイスと対戦したが、それ以前の対戦国はガーナ、ウクライナ、マリ。ワールドカップを見据えて調整するには少々物足りない。フィジカルに定評のある国との対戦経験も必要だが、高度で多様な戦術を駆使する欧州勢との経験も同様だ。
また、日本が初出場したフランス大会以降、ベスト8に進出した欧州勢は最低3カ国、最大6カ国、平均4.5カ国。8強進出に挑むチームの半数以上が欧州勢に阻まれている。決勝T初戦突破に対策は避けて通れない。
高いレベルの経験は選手のプレーを成長させるだけでなく、彼らを影で支える分析班のデータ収集にも役立つ。
今大会の日本代表は、平均年齢の高さも話題になった。大会開幕時点の平均年齢は28.3歳で歴代最年長。川島永嗣(35歳)、長谷部誠(34歳)、本田圭佑(32歳)、長友佑都(31歳)といった代表を長く支えてきた選手達が、平均年齢を押し上げた。
経験に裏打ちされたプレーは、今大会の日本代表にとって大きな武器だった。攻撃時のキープ力やパスコースの正確性、守備時のポジショニングやインターセプトの精度は、彼らだから為しえたことだろう。
しかし、ゴールを生み出す縦の速さは、より若い世代に期待したい。今大会で柴崎が幾度となく披露した美しい楔を打ち込むようなパスは、対戦国にとって大きな脅威となった。
柴崎も4年後には30歳だが、現在の主力メンバーと比べれば少し若く、予選から本大会までチームの柱になれる。
さらなる若手には、FC東京でプレーする久保建英(17歳)、レアル・マドリードCFの下部組織で日々成長する中井卓大(14歳)など逸材が豊富だ。彼らの代表招集、国際試合出場に期待する声は多く、新しい日本代表を牽引するポテンシャルを秘めている。
4年後のワールドカップはカタールで開かれる予定だ。2026年W杯から出場枠が現行の32枠から48枠に増加するが、この変更が2022年に前倒しされる可能性も浮上している。
出場枠の増加に伴ってアジアの出場枠も4.5枠から8.5枠になり、最大で9カ国が出場できる。日本がワールドカップ本戦に出場できる可能性が飛躍的に高まるが、厳しい戦いであることに変わりはない。
日本がより高みを目指すのであれば、今回のワールドカップをしっかりと糧にしなくてはならない。「よくやった」と讃えるムードはしばらく続くだろうが、4年後に向けた戦いはすでに始まっている。