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PK数W杯史上最多の24本に VAR導入で審判のジャッジが変化

2018 6/30 19:31SPAIA編集部
ワールドカップ,ロシア大会,審判,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

VAR導入により目立つPK

ワールドカップロシア大会で、ワールドカップとしては初めて導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(以下、VAR)。これまでに行われた試合で目立つのがPKの多さだ。

グループC初戦のフランス対オーストラリア戦で、後半12分にペナルティーエリア内でフランスのグリーズマンが倒される。主審は即座にはファウルを取らなかったが、VAR判定の結果PKが与えられた。同じくグループCのデンマーク対ペルーの対戦でも、VARによりPKが与えられる。VARによる確認がなければ、どちらもPKではなかった。

逆に、グループEのブラジル対コスタリカ戦におけるネイマールのように、PKの判定が取り消されるシーンもあった。このようにVARの導入により判定が覆るシーンが散見される今大会だが、ペナルティーエリア内で反則を取られたチームの抗議が少ないのは見ていて気持ちがいい。今まではPKを献上した選手から猛抗議があり、その後の試合展開が荒れることがあった。そのようなトラブルが減り、純粋にサッカーを楽しむことができる。

VAR導入によるPK数の変化

ただし、VARを導入したことにより全てがよくなったというわけでもない。というのも、今大会はPKと判定される場面がかなり多く感じられるからだ。実際に、PK数を調べてみると、グループリーグ終了時点で24回。前回のブラジル大会が全体を通じて13回であったことを考えると、大幅に増加している。

今大会以前、審判はペナルティーエリア内での反則について神経質だったきらいがある。「疑わしくは罰せず」という感じだった。ペナルティーエリア内のファウルはよほど明らかなケースでない限りPKを宣告しない審判が多かった。つまりペナルティーエリア内のファウルは、ペナルティーエリア外のファウルと比べると、判定の難易度が高かったのだ。

しかし今大会はすぐにVARで確認し、ファウルを宣告することが多い。ペナルティーエリア内の反則でもPKを宣告している。レフェリーはVARを確認できるため自信をもってPKを宣告できるようになったのだ。しかし、簡単にPKの判定を下せるようになったことで、試合が味気ないものになることだけは避けたいところではある。

賛否両論あるところだが、個人的にはVAR導入に賛成である。今までは人間のみで判定していたため、先入観があったかもしれない。「格上チームが勝つ」という先入観がどこかに潜んでいて、格上チームには甘いジャッジ、格下チームには辛いジャッジということが多々あった。

しかしVARを導入したことでジャッジを確認でき、格上、格下の先入観が薄れているように思える。格下チームでも、格上チームと等しくPK獲得の機会が得られるようになった。これまで接戦やジャイアントキリングが冴える今大会だが、更なるジャイアントキリングが起こるかもしれない。