油断も慢心もなく大会に臨める状況
ワールドカップロシア大会がついに開幕した。日本代表は6月12日のパラグアイ戦で乾が2得点、香川も1得点を挙げ4―2で勝利。しかし、大会2か月前にハリルホジッチ監督を解任し、西野監督に指揮を任せた日本代表を不安視する意見も少なくない。
直近の5試合も1勝1分3敗と万全の状態とは言いがたいが、過去5大会の直近5試合と大会結果を比較してみると意外な傾向が見えた。
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日本にとって初のワールドカップ、フランス大会では直前5試合で2分3敗と勝利から遠ざかった状態で臨んだ。アルゼンチン、クロアチアといった強豪グループに組み込まれたこともあり、3敗で幕を閉じた。
日韓共同開催の2002年は、大会前のテストマッチで2勝2分1敗というまずまずの成績を残し本番に臨んだ。サポーターの声援を後押しにチームが躍動、フラット3も見事にはまり初めてベスト16入りした。
ドイツ大会では「歴代最強」との呼び声が高く、直前も2勝2分1敗。開催国である優勝候補ドイツと引き分け、本大会への期待も大きかった。しかし初戦のオーストラリア戦で逆転負けすると歯車が狂ったかのように連敗。結局立て直すことができず1勝も無いままグループリーグ敗退となった。
逆に、南アフリカ大会直前はチーム状態が非常に悪かった。1勝4敗で大会を迎え、グループリーグ敗退が濃厚という見方が強かった。しかし、ふたを開けてみればグループリーグで2勝1敗。決勝トーナメントもPK負けと、あと一歩でベスト8というところまで行った。
ブラジル大会では直前の5試合で5勝と抜群の成績を残した。しかしドイツ大会と同じく初戦で負けると、最後まで実力を発揮することなく最下位で敗退してしまう。
そして今大会の直近5試合は先に述べた通りである。不安は多いが、テストマッチのパラグアイ戦で勢いはついた。
勝ちを重ね良いと思われた状態で臨んだ結果、初戦を落とし敗退してしまうという過去の例があるが、今大会は逆の結果となった南アフリカ大会の状況に酷似している。
油断も慢心もなく緊張感を持って大会に臨める今の状況が好材料となるかもしれない。