西野流ジャパン・ウェイでパラグアイに勝利 スタイル確立で南アW杯再現の予感|【SPAIA】スパイア

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西野流ジャパン・ウェイでパラグアイに勝利 スタイル確立で南アW杯再現の予感


6月12日のパラグアイ戦でシュートを放つ乾貴士,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

西野ジャパン初勝利

2018年ワールドカップロシア本大会を戦う日本代表は、6月12日、最後の強化試合となるパラグアイ戦を行い4対2で、西野朗新監督就任後、初勝利となった。

6月8日(日本時間9日)の0-2黒星のスイス戦では、日本のパスサッカーの形が確認できた一方、決定力不足という、慢性的な日本の症状が改めて浮き彫りとなっていた。

チームとしての成熟度を高めるより、全員をプレーさせチームの活性化や選手のコンディショニングを優先させた西野監督。自分の指揮下で全員試してみたい、対戦国には煙幕を張るという意図もあっただろう。本大会直前での監督交代により、厳しい状況には変わりないが、これまでの試合を見た対戦相手にとってはカメレオンのようで、本番では何色をしているか予想がつかず不気味でもある。

西野新監督の初陣、5月30日のガーナ戦は、ホームながら大雨でフィジカル勝負が得意なガーナの土俵になった。特に立ち上がりはほつれが目立ち、新布陣が機能したとは言い難かったが、3バックをテストできたことは収穫だ。オプションが増え、W杯での対戦国は的が絞れなくなった。

ハリル流から西野流へ

この短期間でチーム作りをする必要がある西野監督の重圧は想像を絶するだろう。実は似たような緊急事態が、2010年W杯でもあった。イビチャ・オシム監督が病に倒れ、W杯予選の約2か月前に岡田武史氏が緊急登板した。岡田氏は、オシムの走るサッカー路線は継承したものの、「オシムさんのサッカーはオシムさんにしか出来ない。」とも語った。

そしてついに日本の地を離れるまでに、岡田氏流のランニングサッカーは仕上がらなかった。理想から現実にシフトし、現地で大きくスタイルを変更した日本代表。明らかな劣勢チームが多用する、守備偏重のカウンター作戦。これが機能し、岡田ジャパンは、ベスト16の快進撃を演じる。1996年、マイアミの奇跡と語り継がれるアトランタ五輪のブラジル戦勝利で、当時の西野監督が採用したのも堅守速攻だった。

西野監督も前任者のハリルホジッチ前監督のサッカーをベースにすることを明言した。しかし、それは選手選考に関してであって、この3試合で確実に選手に求められるものは変わっている。ハリルホジッチの代名詞であるデュエル(1対1の決闘)とは対極のスタイルで、西野監督の真骨頂でもあるリズミカルなパスワークにとってかわった。

デュエルが、育成レベルでは必要な要素であることは間違いない。1対1で強くなることは選手を成長させ、それはチームを成長させる。しかし、代表は成長の場ではなく、結果を出す場所だ。世界の猛者たちを相手にどのように結果を出すかが求められる。南ア代表に大金星を挙げたラグビー日本代表のエディ・ジョーンズ監督(当時)は、世界の大男達と渡り合うための強化策として「ジャパン・ウェイ(日本流)」を強調した。

ハリルホジッチ前監督がW杯で結果を出せたのは、フィジカルの強いアフリカのアルジェリア代表を率いていたからこそだ。1対1の肉弾戦に持ち込むことで、欧州の組織的なプレーを封じ込める方程式は成り立つ。しかしそれを、個々のフィジカルで劣る日本に当てはめるのは、そもそも無理があった。日本代表は、相当遠回りをしてしまったが、直前になって日本らしいサッカーを取り戻した。まさに雨降って地固まった。

初戦までに秘策を見いだせるか

離日してから、ようやく答えを見出した状況も2010年に酷似している。南ア大会では現地の練習試合ジンバブエ戦、そして今回はパラグアイ戦だ。しかし、パラグアイ戦の勝利は、手放しで喜んではいけない。W杯に出場しないパラグアイは、心身ともに日本とはコンディションにギャップがあることを考慮する必要がある。

パラグアイ戦ではボール支配率53%とわずかに相手を上回ったが、本番では実力で上回る相手国にボールポゼッションで対抗するオプションは捨てたほうがよい。W杯で本大会のグループリーグ初戦で対戦するコロンビアは実力、コンディションともパラグアイを上回る。どうにかして、日本はここから数段レベルアップすることが必須だ。

何らかのショック療法や秘策により、トンビだと思っていた鳥が、蓋を開けたら突然、鷹になっていることがあるのがサッカーの面白さだ。監督交代は、ショックには十分過ぎるほど。西野ジャパンに秘策はあるだろうか。2010年の岡田監督はそれを発見した。運命の時は、刻一刻と迫っている。

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