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W杯でメッシに立ちはだかるドイツの壁。代表出場3大会で一度も勝てず

2018 5/16 15:40SPAIA編集部
リオネル・メッシ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

世界最高の選手メッシの戴冠を阻み続けるもの

いよいよ6月14日に開幕戦を迎えるFIFAワールドカップ2018ロシア大会。前回大会の決勝戦はドイツ対アルゼンチン。世界最高の選手の1人であるリオネル・メッシはこれまで3大会に出場しているが、クラブで全てを手にした男はまだこの大会の頂に立つことはできていない。過去3回その夢を打ち砕いてきたのはドイツだった。

アルゼンチンとドイツは過去にW杯で7度対戦しているが、アルゼンチンの1勝2分4敗(延長PK戦は引分け扱い)。メッシが代表メンバーに選ばれてからは常に壁として立ちはだかってきた。

2006年ドイツ大会は開催国の勢いに飲まれる

2006年ドイツ大会でワールドカップ初出場を果たしたメッシは大会中に19歳の誕生日を迎えた。大会直前に負傷した影響でレギュラーではなかったものの、アルゼンチンはクレスポやサビオラといった名手、そしてテベスやマスチェラーノら期待の若手を擁し、ブラジルと並んで南米チームの優勝候補と目されていた。

死の組グループCに入ったものの2勝1分で首位通過。メッシもセルビア・モンテネグロ戦でW杯初ゴールを決めている。 ラウンド16では延長戦の末にメキシコに勝利。そして準々決勝で対戦したのが開催国ドイツだった。

ドイツはエースのクローゼはもちろん、ラームやシュバインシュタイガーといった若手も台頭しており、さらにスタンドの大きな声援を受けたドイツには勢いがあった。アルゼンチンはアジャラのゴールでリードしたものの、クローゼの得点でドイツが追いつき延長戦へ。前の試合の疲労を引きずるアルゼンチンは決め手を欠き、PK戦で2-4と敗れた。この試合もメッシは不出場。若き天才はその才能を発揮することができず、初のW杯を終えた。

ドイツは3位で大会を終え、エースのクローゼが得点王、最優秀若手選手賞にポドルスキが選ばれたが、頂点には届かなかった。

マラドーナが率いた2010年大会

2010年南アフリカ大会は英雄マラドーナが母国代表監督として臨むとしてアルゼンチンに注目が集まった。代表の主力に定着していたメッシはマラドーナ監督の絶大な信頼を受けトップ下でプレー。イグアインとテベスという同世代のストライカーとの共演で観客を魅了した。比較的楽とされたグループBに入り、3戦全勝で決勝トーナメント進出を果たす。

ラウンド16ではまたしてもメキシコとの対戦。この大会では2トップが躍動し、3-1と90分で試合を決定づけた。そして迎えた準々決勝の相手も再びドイツ。ドイツはラウンド16でイングランドを4-1で退け勢いに乗っていたがアルゼンチンも戦力は十分。互角の戦いとみられた。だがこの試合はドイツが大爆発。アルゼンチンは前半3分で若干20歳のミュラーに先制ゴールを決められ、クローゼにも2点を奪われるなど0-4と大敗した。

メッシは全5試合でフル出場を果たし30本以上のシュートを放つも無得点。失意の中で終わりを迎えた。

ドイツは2大会連続で3位となり、ホープのミュラーが5得点でゴールデンブーツを獲得するなど、この大会でも若手が活躍を見せた。

2014年大会は決勝まで行ったが…

2014年ブラジル大会は南米開催とあって開催国ブラジルはもちろん、アルゼンチンら南米チームにも有利と言われた。またメッシやアグエロら主力選手も26歳と全盛期を迎えているなど、アルゼンチンへの優勝候補との期待はかつてないほど高まった。

グループステージでは苦戦もしたが、メッシが3試合すべてで得点を決めて首位通過を果たす。その後決勝トーナメントではメッシのゴールはなかったものの、チームは無失点で決勝まで勝ち進む。準決勝ではオランダ相手にPK戦までもつれこみ、4-2で決勝へ。栄冠目前で対峙した相手はまたしてもドイツだった。

ドイツはそこまでの決勝トーナメントで劇的な勝利をおさめ今までにない勢いがあった。ラウンド16でハリルホジッチ監督率いるアルジェリアに延長戦の末勝利。準々決勝でフランスを破ると、準決勝ブラジル戦では「ミネイロンの惨劇」とも語られる7-1の大勝を果たし決勝進出を果たした。

決勝ではどちらもゴールマウスを割らせない。スコアレスのまま延長戦に突入したが、ドイツはシュールレのクロスを受けたゲッツェがゴール。途中出場の若手コンビの得点で、ドイツは念願の優勝を果たした。一方、連続の延長戦で疲労の色が出たアルゼンチンはまたもドイツの壁を崩せず。メッシは大会MVPに輝くも最も望むタイトルを手にすることは叶わなかった。

ロシア大会に出場する両国。ともに首位通過を果たせば準々決勝で対戦する可能性がある。悲願のタイトルを目指すメッシとアルゼンチンの前に、ロシアの地でもドイツという壁が再び立ちはだかるのだろうか。