「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【何が起こる?】ハリル解任で西野JAPAN発足

2018 4/22 15:53dai06
西野朗
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

ハリル氏の解任は「選手とのコミュニケーションの問題」と田嶋会長

2018年4月9日、日本サッカー協会(JFA)はヴァイッド・ハリルホジッチ監督を解任したことを発表。ハリルJAPANは2018年のワールドカップロシア大会を前に終わりを迎えた。
ワールドカップの開幕まで約2カ月。あまりに突然の出来事で、多くのサッカーファンが驚いたのではないだろうか。

田嶋幸三JFA会長は「Duel」をキーワードに戦う姿勢を選手たちに教えてくれたことを感謝しつつ、解任理由を

3月27日のウクライナ戦の後、選手との信頼関係やコミュニケーションが十分に取れるような状況でなくなった

引用:JFA.jp


と述べた。
確かにサポーターの目から見ても、ハリルホジッチ氏はどこか冷たい人物のように映っていた。2010~2014年に監督を務めたアルベルト・ザッケローニ氏との比較によって、その印象を抱いた方も多いだろう。

ただ「Duel」がキーワードだったと田嶋会長が語るように、選手たちに戦う姿勢を教えてくれたのは事実だ。加えて2017年9月のロシアW杯最終予選のオーストラリア戦で見せた彼の笑顔は、日本代表の勝利のために戦い、選手を熱く指導してきたことを窺わせるものだったように感じる。

公式発表の前夜に『ハリル監督解任か?!9日に緊急会見へ』といった報道が熱を帯びた。JFAが主張するように、解任せざるをえない理由もあったに違いない。
しかし、電撃解任の情報が事前にメディアへ流出したことは、ハリルホジッチ氏に対して礼を欠く。そう感じたサポーターが少なくなかったことが、JFAに非難が集まった理由の1つだろう。

西野朗氏が監督就任!西野JAPANで始まるワールドカップへの挑戦

ハリルホジッチ氏の後任には、U-23日本代表監督としてアトランタ五輪で『マイアミの奇跡』を起こし、Jリーグではガンバ大阪などを率いた西野朗氏が就任。「西野JAPAN」として2カ月後のW杯へ再スタートを切った。 西野監督は

このタイミングでの監督交代は非常に難しいことですが、自分の立場だけを考えるのではなく、現状況を打破することが第一義だと判断し、日本代表の指揮を執ることにしました

引用:JFA.jp


とコメント。難しいタイミングでの就任であったことを認めつつも、再起に向けた強い意志をのぞかせた。

西野監督は2002年にガンバ大阪の監督に就任し、同クラブを強豪へと引き上げた監督である。2008年にはAFCチャンピオンズリーグを制し、長期政権を実現させている。
攻撃的なサッカーを掲げる監督として知られ、前線のタレント陣が増えてきた現在の日本代表においては、その扱いの手腕にも期待したいところだ。

W杯まで残された時間は本当にあと少し。開催直前での解任・交代はギャンブルともとれるが、西野監督の采配で決勝トーナメント進出に期待したい。

日本国民が期待する成功とワールドカップ後の代表

日本代表のサポーターが期待するのは、2010年以来のW杯決勝トーナメント進出(ベスト16)だろう。グループHに同居するコロンビア、セネガル、ポーランドには、いずれも各国リーグを代表する選手達が名を連ね、日本代表にとって厳しい戦いになることが予想される。

かねてよりの課題である決定力不足はもとより、バイタルエリアでの「Duel」不足は早急に改善されなければならない。相手選手に丁寧なプレスをかけてシュートコースを消すことができなければ、各国のストライカー達は容易にゴールを決めてくるだろう。ハリルホジッチ氏が改善したかった日本のサッカー、警戒していた世界のサッカーはこういうものだったはずだ。

西野JAPANには成功してもらいたい。「せめて決勝トーナメント進出だけでも」とは言わず、さらに上のステージを期待するサポーターも多いだろう。しかし、今ある日本のサッカーを改善すること、ハリルホジッチ氏が掲げた「Duel」の精神を引き継ぎ活かすことができなければ、日本のサッカーに成長はない。

世界中が注目する最高の舞台、ロシアW杯。戦いはすでに始まっている。