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【小さなフクロウ】マルコ・ヴェッラッティは伝説となれるのか

2017 11/10 12:24dai06
マルコ・ヴェッラッティ
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マルコ・ヴェッラッティとペスカーラ

マルコ・ヴェッラッティ選手(以下、敬称略)は1992年11月5日生まれ。イタリアのペスカーラで生まれ、地元クラブであるデルフィーノ・ペスカーラ1936(以下、敬称略)のユースに入団した。

2008年、16歳でプロデビューすると、トップ下からボランチの位置へコンバート。このコンバートを指示したのは、ズネデク・ゼーマン監督(以下、敬称略)だった。ゼーマンは4-3-3のシステムを好み、攻撃的なサッカーを好む。
選手達には相手の攻撃に対してズルズル下がるのではなく、高い位置でプレッシングさせ、ロングボールを放り込まれればオフサイドトラップで、リズムを崩すことを徹底した。
攻撃時にもディフェンスラインを高く保つことで、陣形をコンパクトにし素早く前へ攻めることに比重を置いた。

ヴェッラッティがコンバートされたのも、このゼーマンのサッカーを体現するためのものだったように思える。後に詳述するが、ヴェッラッティはプレスとパス回しの双方を得意とする。そのため、彼をボランチに置けば、攻守のつなぎ目がなくなる。どちらにもスムーズに切り替えがいくというわけだ。

こうしてペスカーラは、ゼーマンとヴェッラッティにより調子を上げていく。2010-11シーズンには、見事19年振りのセリエA復帰を果たした。

イタリアを旅立つヴェッラッティとセリエAの憂鬱

ペスカーラを昇格に導いたヴェッラッティだったが、セリエAでプレーすることなく、2012-13シーズンに、パリ・サンジェルマンFC(以下、PSG)への移籍を決断する。
国内からはユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)などの名門からも声がかかっていたが、どうやらその関心は本気ではなかったようだ。ヴェッラッティ本人はユヴェントスのファンと語ったようだが……。

ヴェッラッティの代理人は、PSG移籍が確定する前にこう語った。
「イタリアサッカーの敗北だ。フランスへの移籍はまだ決まっていない」としつつ、「メディアの想像がつかないほどの関心があるんだ。私に言えるのはヴェラッティがPSGに移籍することはイタリアサッカーの敗北を意味するということだけだ」と。
一方、ペスカーラの会長は国内のビッグクラブに放出したかったようだ。そうすれば、ペスカーラにレンタルで残しておける可能性があったからだ。しかし、本気度が窺えるようなオファーは結局届かなかった。

実は、彼の移籍の前後からセリエAのクラブは財政状況が芳しくなく、資金的な面で他のリーグからの遅れをとり始めていた。資金力で遅れるということは、選手のクオリティの面でも遅れをとるということと同義だ。将来を有望視されたヴェッラッティのような逸材を国外に放出することは、彼の代理人が語ったようにイタリアサッカーの敗北を意味する。

結局ヴェラッティは12億円ほどで移籍。逸材とはいえ、セリエAでもプレー経験のない10代の選手にこれだけの金額が支払われるのは異例だった。しかし、それは同時にPSGの本気の高さの表れでもあった。

なお、その半年後にはインテルナツィオナーレ・ミラノから、フィリペ・コウチーニョ選手がリヴァプールFCに移籍している。かくして、イタリアからは2人の逸材が国外へ流出してしまった。

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