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サッカー界もコロナウイルスで延期、無観客試合相次ぐ、各国影響まとめ

2020 3/14 11:00桜井恒ニ
コロナウイルスの影響は世界のサッカー界にも広がっているⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

日本:Jリーグは3月中止 東京五輪も不透明

新型コロナウィルス(以下、コロナ)の世界的大流行にともない、スポーツ界にも多大な影響が出ている。サッカー界も例外ではなく、世界規模で無観客試合の実施や試合の中止・延期が相次いでいる。今回は3月13日時点における各地域・各大会の状況を見ていきたい。

まず日本。2月25日から3月29日に開催予定だったプロサッカーの公式戦(Jリーグ1〜3部およびYBCルヴァン・カップ)が延期された。これにより、J1・J2は第2節以降の開催時期、J3は開幕日(当初は3月7日開幕予定だった)が未定だ。

村井満チェアマンは、4月3日の再開に向けて奮闘中。ただし3月12日には、スケジュール調整でいよいよ対応できなくなった場合、無観客試合を敢行するとしている。

他方、3月13日夕方に新型コロナウイルスの特措法改正案が成立し、首相が各都道府県に緊急事態宣言を発令可能になった。無観客でも試合ができなくなる可能性がある。今季は従来とは異なる異例の試合調整が求められるだろう。

また東京五輪に関しては、世界的流行に伴い、そもそも本大会の開催時期が「1、2年の延期が妥当」とする意見も少なくない。こちらも、開催の判断を下す5月までに、どのような判断が下されるか不透明な状況だ。

アジア:W杯予選、ACLは東アジア中心に日程変更

アジアもほぼ同様の状況だ。国際サッカー連盟(FIFA)は3月9日付で、3月および6月に予定していたワールドカップ杯アジア2次予選の原則延期を公表している。

これを受けて日本サッカー協会は、日本A代表が臨むはずだった3月26日のミャンマー戦(愛知県豊田市)、3月31日のモンゴル戦(モンゴル)の延期を11日に正式発表。代替日、そして6月4日のタジキスタン戦(兵庫県神戸市)、6月4日のキルギス戦(大阪府吹田市)の開催に関しては、決定次第、発表する見込み。他国同士の試合も同様の措置がとられている。

また韓国のKリーグ、中国のスーパーリーグはともに開幕を延期している。

アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も、2月19日のグループステージ第2節以後、試合が延期されている。アジアサッカー連盟(AFC)は発生源である中国、初期の段階からコロナの影響を受けていた韓国・日本などでの試合開催が難しいと判断し、6月に行う予定だったノックアウトステージ1回戦の1stレグを8月11〜12日、2ndレグを8月25〜26日にずらした。以後の日程もそれに従って9〜10月開催で調整している。なお決勝戦は開催日を変更せず、1stレグを11月22日、2ndレグを11月28日に行う予定だ。

ヴィッセル神戸は、守備の要であるトーマス・フェルメーレンが、ベルギー代表として6月開催予定の欧州選手権(ユーロ2020)に出場する可能性が高い。ヴィッセルは、グループステージの残り試合を、フェルマーレンを欠いた戦いを強いられる恐れが出ている。

欧州:選手、監督に陽性反応も

サッカー界最大のマーケットである欧州では、選手・監督がコロナにかかる事例が複数報告されている。

イタリア代表であるユベントスのDFダニエレ・ルガーニ、原口元気が所属するハノーファーのDFティモ・ヒューヴァーズとDFヤネス・ホルンは検査で陽性反応が出た。パリ・サンジェルマンのFWエンバペも検査を受ける事態になったが、こちらは陰性だった。

こうした事情もあって移動制限が発動され、死者が1000名を超えるなど被害が甚大なイタリアのセリエAは、国内政府が4月3日までスポーツイベントの中止を公表。3月10日のサッスオーロ対ブレシア以後、第27節から中止となっている。

ドイツでは3月13〜16日のブンデスリーガ第26節において、複数の試合を無観客で実施予定。来週にもブンデスリーガ1部・2部の代表を集めて、完全中止を視野に入れた話し合いを行う見込みだ。

スペインのラ・リーガも3月12日、直近2節の延期を公表。FCバルセロナと久保が所属するRCDマジョルカの一戦も、3月14日の実施は見送られた。堂安律や板倉滉、菅原由勢、中村敬斗らがプレイするオランダ1部のエールディヴィジも、3月の試合が全て取りやめになった。

イギリスのプレミアリーグは、アーセナルの試合で接触した関係者がコロナウィルスに感染したことを受け、第28節のマンチェスター・シティー対アーセナルの一戦が延期。他試合は今のところ延期しない模様だったが、3月12日にアーセナルのミケル・アルテタ監督に陽性反応が出たことでアーセナル対ブライトン戦は延期となった。

フランスのリーグアンは、4月15日まで1部・2部が無観客試合に。ベルギーの1部リーグも、3月15日にリーグ最終節を無観客試合で実施する。ただし、三好康児が在籍するロイヤル・アントワープとクラブ・ブルージュによる3月22日のベルギーカップ決勝戦は延期された。

先日、無観客で行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)も延期になった。こうした状況下にあって、イタリアで行われる予定のユーロ2020も開催が危ぶまれている。

北米・南米:南米W杯予選は延期か 主力選手の欧州在籍が影響

北米・南米エリアでも動きがある。

コロナの流行が拡大しているアメリカでは、3月21日に行われる予定だったメジャーリーグサッカー(MLS)のシアトル・サウンダーズ対FCダラスの一戦が延期になった。シアトル・サウンダーズの本拠地のシアトル市が、コロナの流行が拡大するワシントン州に位置することを受けての対応だという。

3月9日には、MLSが野球のMLB、バスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLとともに、報道陣などのクラブハウスの立ち入り禁止(試合の開催前後)などの措置を共同で発表した。

また南米では、南米サッカー連盟が3月26日からスタートするW杯南米予選の延期をFIFAに申し入れ。この申し入れは、リオネル・メッシを筆頭に各国代表の主力選手たちが欧州でプレイしているため、帰国した際に隔離措置を受ける必要が生じる可能性があることに起因する。

コロナの蔓延によって状況は刻一刻と変わっており、世界規模で「試合をしている場合ではない」という風潮が漂いつつある。すでに2020年の各リーグ・世界大会の動きは、異例の対応が取られた年としてサッカー史に名を刻むことは間違いなさそうだ。

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