イランの名門クラブ ペルセポリスFC
11月3日に決勝第1戦が行われ、残すところ10日の第2戦のみとなった2018年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)。クラブ史上初の決勝進出を果たした鹿島アントラーズと対戦するのはイランのペルセポリスFC。元バルセロナのシャビを擁するアル・サッドを下し、こちらもクラブ史上初のACL決勝進出。イラン勢としても8年ぶりの決勝となる。
イランの首都テヘランを本拠地とするイラン屈指の人気を誇るペルセポリス。1980年代から90年代にかけてイラン国内で圧倒的な強さで黄金期を築いていた。
バイエルン・ミュンヘンにも所属したアジアを代表するストライカーであるアリ・ダエイ。
ハンブルガーSVでは元日本代表の高原ともプレーした右WGマハダヴィキア。
シュトルム・グラーツではオシム監督の下でもプレーした左WGミナヴァンド。
プレミアリーグでプレーした最初のアジア人プレーヤーでもあり現在はチームでアシスタントコーチを務めるバゲリ。
日本と争ったフランスワールドカップ第三代表決定戦の前日に、車椅子で報道陣の前に現れながらも、翌日の試合で先発出場し開始直後に先制ゴールを決めたアジジ。
当時はイラン代表選手のほとんどがペルセポリスに所属していた。
ペルセポリスのACL戦績
かつてはピルズィと呼ばれ、ACLの前進大会であるアジアカップウィナーズカップの第1回大会(1990-91)で優勝。1992-93の第3回大会決勝では横浜マリノス(当時)と対戦し、現在は解説者として活躍する清水秀彦氏が監督を務める横浜マリノスに敗れた。
その後2002-03シーズン以降は国内リーグでも優勝できない期間が続くが、2008-09以降の10年間で6度ACLに出場と強さを取り戻し始めると、2014-15シーズン途中にブランコ・イバンコビッチ現監督が就任するとさらに勢いを増し強豪復活を果たした。
就任以降の昨季までの5シーズンでイランリーグ優勝2回準優勝2回。ACLでも勝利を重ね昨シーズンは準決勝進出。そして今季は初の決勝進出を果たしている。
ペルセポリスの中心選手
2006年ドイツワールドカップではイラン代表も率いたイバンコビッチ監督が指揮するペルセポリス。クラブを代表する中心選手はGKアリレザ・ベイランヴァンドとCBサイド・ジャラル・ホセイニだ。
ベイランヴァンドは194cmの高さに加えリーチも長くハイボールには抜群の強さを発揮。ロシアワールドカップでもイラン代表の正GKとしてグループリーグの3試合全てでプレーしており、ポルトガル戦ではクリスティアーノ・ロナウドのPKもセーブしている。
ジャラル・ホセイニは36歳の大ベテランで、キャプテンも務めるクラブの大黒柱的存在。ロシアワールドカップのメンバーからは外れたが、2014年のブラジルワールドカップでは3試合全てで先発フル出場を果たしている。
国内代表以外にも注目選手が
イラン代表選手を含めたイラン人選手がチームのベースだが、中盤で変化をつけるのはイラク人で左利きの背番号5番バシャール・ラサン。まだ21歳と若いがイラク代表としてもプレー経験がある期待の選手で、ロシアワールドカップ予選では日本代表と対戦した2試合とも途中出場している。
また昨年のACLでも活躍した2トップの一角に入るゴッドウィン・メンシャはナイジェリア人選手で、今大会でもここまで3ゴールと好調だ。
前線でもう1人の注目選手はFWアリ・アリプール。
今大会でのペルセポリスは昨季の準決勝進出の立役者でロシアW杯代表のメフディ・タレミがカタールのアル・ガラファに移籍したことで前線に不安要素を抱えていたが、その穴を埋めたのがこのアリ・アリプール。
この選手も23歳とまだ若いが、2017-18シーズンのイランリーグ得点王であり、今大会でもここまで5ゴールを記録している。
対戦する鹿島はこれまで数多くのタイトルを獲得しながらも、どうしても届かなかったのがACL。11月3日のペルセポリスとの対戦では2-0で完封勝ちし制覇へ大きく前進した。
クラブ史上初となるACLチャンピオンになることができるのはペルセポリスか鹿島か。
運命の一戦は11月10日に行われる。