「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

改革が進むサッカーW杯、2022年カタール大会への懸念

2018 8/12 13:00SPAIA編集部
ワールドカップカタール大会,ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

次のワールドカップは4年後、カタールで開催!

2018年のロシアワールドカップ(W杯)は熱狂のうちに幕を閉じた。フランスやイングランドの若い強さ、ベルギーとクロアチアの大健闘は大きな感動を呼んだ。

そんなW杯は次回2022年にカタールで開催される。この大会に向けて各国代表がすでに動き出しているが、大会とサッカー界全体はいくつかの課題を抱えている。大きなものとしてはカタールから予定されている大会改革や開催日程だ。

出場国枠が増える見通しも、日程の不平等感に懸念

カタールW杯では出場国枠の数が、従来の32から48に増えるかもしれない。単純計算で1.5倍の増加となるため、これまで出場できなかった国にはチャンスが巡ってくることになる。また、ロシアW杯で未出場となったイタリアやオランダなどのように、多くの強豪国が出場しやすくなる。

一方で、出場国枠の拡大はW杯に出場する価値の低減や、試合数の増加による過密スケジュールをもたらす要因にもなる。現状有力とされるのは以下の2つの方式だ。

① 4チームを12グループに分け、各グループの上位2カ国と、各グループ3位から成績上位4チームを加えた32チームが決勝トーナメント進出(1チームの最大試合数8試合、全104試合)

② 3チームを16グループに分け、各グループの上位2カ国が決勝トーナメント進出(1チームの最大試合数7試合、全80試合)

ロシアW杯の3位決定戦では、イングランドが中2日でベルギー戦へ臨んだが、疲れ切った彼らから覇気は感じられなかった。枠数が「32」の時点でこのような状況が生まれている。①の日程では、決勝トーナメントの日程がより過密になることが予想される上、不平等感のさらなる悪化も懸念される。疲れ果てた上位進出チームの戦いを望むファンはいるのだろうか。

②の方式ならば1チームの試合数は変わらないが、この場合敗退した国はわずか2試合でW杯を去ることになる。しかも、先に対戦順序が決まっていた場合、グループステージ第1試合で負けたチームと第2試合が初戦のチームの対戦では守備に徹しドロー狙いで決勝トーナメントに上がれる公算が高くなるなど、懸念点が多い。

この改革はまだまだ議論されるべきで、大会方式の詳細が発表されるまで「ワールドカップに出られる可能性が高くなる」と手放しでは喜べない。

暑さ回避もクラブには痛手!11月~12月の冬開催へ

カタール、ドーハの夏は非常に暑い。1年で暑い時期といわれる5月半ば~9月末の平均最高気温は38℃を超える。ワールドカップの決勝トーナメント真っ只中の7月半ばには、40℃を超えてくる日もあるようだ。

逆に涼しい時期とされる12月~3月はじめにかけての平均最高気温は26℃ほど。スポーツをするのにどちらが良い環境であるかはもう答えが出ている。会長も2022年11月21日~12月18日までが大会期間となることを発表済みだ。

しかし、この期間は世界中の多数のリーグが試合を行っているタイミング。さらに言えばリーグ前半戦を折り返す時期であり、開幕から時間を経た選手達が波に乗ってくる時期でもある。

そのような時に代表戦に主力を奪われることは、クラブにとって痛手でしかない。主力が消耗し、運が悪ければケガをして戻ってくることも考えられる。代表で活躍できる名選手を抱えていればいるほど、クラブの成績に大きなダメージを与える可能性がある。

カタールワールドカップへの道はすでに始まっている

カタールワールドカップの開催は4年先だが、これを”4年もある”とみるか”4年しかない”とみるかは人それぞれだろう。

しかし、予選は2019から始まるため、ロシアワールドカップを終えたばかりではあるが、各国はすでに準備を始めている。監督変更はその最たる例で、日本代表も森保一氏をオリンピックの代表監督と兼任させるという決断を下した。世代交代が叫ばれる日本のA代表は、急速に改革が進むはずだ。

2022年のワールドカップはどんなものになるのだろうか。今しばらくはロシアワールドカップの余韻に浸り、そして新シーズンの開幕に胸を躍らせながら、じっくりと観察していきたい。