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背番号4番から見る世界のサッカーとJリーグ

2017 9/13 14:03Aki
ダヴィド・ルイス選手
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背番号とポジションの関係から見えるもの

Jリーグでも固定番号制が導入され20年以上経っているため覚えている方は少ないかもしれないが、以前の背番号はポジションを表すものとして先発選手が1番から11番までの背番号をつけていた。
ここで複雑だったのは、背番号とポジションの関係がそれぞれの国や地域によってバラバラだったことだ。サッカーが世界中でプレーされるようになり、それぞれの国や地域で独自の進化をとげた結果、同じ番号でも異なるポジションを示す事になったのだ。
しかし、これは同時に興味深い事実を浮かび上がらせる。 それぞれのチームにおける背番号とポジションの関係を見ると微かにではあるが、どこの国や地域と関係が深いのかが見えてくるのだ。
2017年にJ1に所属する18チームの背番号を通して影響を受けたであろう国や地域を探してみよう。

様々なポジションにいる背番号4番

サッカーの背番号4番といえば、どういったイメージを思い浮かべるだろうか。 若い番号なのでなんとなく守備的なポジションの選手であろうことは想像できるかもしれないが、どの選手をイメージしたかで思い浮かべたポジションは異なるだろう。
実際にこの4番という背番号は、多くの国や地域で表しているポジションが異なる番号の1つである。

例えば2014年に開催されたブラジルワールドカップに出場し、ブラジル代表で4番をつけていたのはダヴィド・ルイス選手でセンターバックのポジションの選手だ。
一方、ブラジルの隣国アルゼンチンを見てみると、同じ2014年大会のアルゼンチン代表で4番をつけていたのは、パブロ・サバレタ選手で右サイドバックの選手である。
ヨーロッパに目を移すとさらに違いが浮かび上がる。同じ大会でイングランド代表の4番だったのは、セントラルハーフのスティーブン・ジェラード選手で、ディフェンダーからミッドフィールダーへと変わった。
同じヨーロッパでもフランス代表の4番だったのはラファエル・ヴァラン選手。イングランドとフランスは海を隔てているものの隣国である。
この両国では同じ番号でも指している番号が異なるのだ。

レアル・マドリードとFCバルセロナの背番号4番

これはクラブチームでも見ることができる。
例えば、今や世界の2大巨頭ともいえるスペインのライバルチーム、レアル・マドリードとFCバルセロナだ。
レアル・マドリードの4番といえば、世界最高のセンターバックの1人であるセルヒオ・ラモス選手だ。その前にこの番号をつけていた代表的な選手はフェルナンド・イエロ氏であり、クラブでは共にセンターバックを務めている。
しかしFCバルセロナの4番といえばイヴァン・ラキティッチ選手で、その前がセスク・ファブレガス選手とどちらもミッドフィールダーだ。セスク選手の前にはラファエル・マルケス選手がつけており、この番号を遡るとジョゼップ・グアルディオラ氏にたどり着く。

同じスペインでも伝統的にポジションが異なるこの両チーム。ここにはスペイン中央政府とカタルーニャという関係もあるのかもしれないが、もっとはっきりとした理由がある。それは故ヨハン・クライフ氏の存在だ。
FCバルセロナというクラブに現在までつながる哲学を持ち込んだのはオランダ人のヨハン・クライフ氏なのだ。彼はオランダの常識を持ち込んだのだ。スペインではセンターバックがつけるのは4番だが、オランダでは守備的ミッドフィールダーがつける番号だ。だからこそクライフ氏はこのポジションのグアルディオラ氏に4番を与えた。FCバルセロナの4番はオランダの影響から始まっているのだ。

2017年のJ1で4番をつける選手たち

2017年のJ1に所属する18チームに目を移してみよう。
この18チーム中4番の選手がいないチームが1つだけある(ジュビロ磐田)ため、実際に4番をつけている選手は17人。
その17人を紹介しよう

北海道コンサドーレ札幌:河合竜二選手
ベガルタ仙台:蜂須賀孝治選手
鹿島アントラーズ:レオ・シルバ選手
柏レイソル:中谷進之介選手
浦和レッズ:那須大介選手
大宮アルディージャ:山越康平選手
FC東京:吉本一謙選手
川崎フロンターレ:井川祐輔選手
横浜F・マリノス:栗原勇蔵選手
ヴァンフォーレ甲府:山本英臣選手
アルビレックス新潟:ソン・ジュフン選手
清水エスパルス:カヌ選手
ガンバ大阪:藤春廣輝選手
セレッソ大阪:藤本康太選手
ヴィッセル神戸:北本久仁衛選手
サンフレッチェ広島:水本裕貴選手
サガン鳥栖:原川力選手

センターバックがずらりと揃うJリーグ

2017年のJ1に所属する17人の4番をつけた選手達を確認すると、圧倒的にセンターバックの選手が多いことがわかる。
北海道コンサドーレ札幌の河合竜二選手、ヴァンフォーレ甲府の山本英臣選手、セレッソ大阪の藤本康太選手は守備的ミッドフィールダーとしてもプレーすることがあるが、Jリーグにはディフェンダーとして登録されており、センターバックとしても出場するので、センターバックとしてカウントする。
となると、なんと17人中14人がセンターバックになる。ここまで偏った数字になると、Jリーグの4番といえばセンターバックと言っても良いだろう。これまで数多くのブラジル人選手や監督がJリーグに来ているということで、ブラジルの影響が大きいと考えられるのだ。

守備的ミッドフィールダーが4番をつけるチーム

少し意外な結果となったのが、鹿島アントラーズ。鹿島アントラーズといえばジーコ氏に代表されるようにブラジルとの関係はかなり深い、にもかかわらず守備的ミッドフィールダーのレオ・シルバが4番をつけている。
ブラジルでは4番はセンターバックで、守備的ミッドフィールダーは5番もしくは8番だ。
しかし歴代の4番を見ると、1つ前の4番は現セレッソ大阪の山村和也選手、そしてその前は現監督の大岩剛氏とどちらもセンターバックだ。なので、今回のレオ・シルバ選手の4番は一時的なものかもしれない。
もう1人のミッドフィールダーはサガン鳥栖の原川力選手だ。サガン鳥栖も歴代の4番は、センターバックの選手がほとんどだ。ただ、現在の監督はイタリア人のマッシモ・フィッカデンティ氏だ。イタリア代表は背番号の付け方に独自のルールを持っていた事もあったので難しい面もあるが、かつてはクリスティアーノ・ザネッティ選手やデ・ロッシ選手らが4番をつけていた事もあるので、もしかするとその影響もあるのかもしれない。

またJリーグで唯一4番をつけたサイドバックとなるのは、ガンバ大阪の藤春廣輝選手。
ただ、藤春選手の場合は左サイドバック。アルゼンチン代表などでは右サイドバックの選手が4番をつけるので、同じサイドバックでも実は全く異なる。
また、ガンバ大阪の歴代左サイドバックの選手をを見ると、安田理大選手が13番、下平匠選手が19番から6番、新井場徹選手が17番と全く統一感がない。
過去に3バックを使用していた期間も長かったので、左サイドバックの番号というものは特に決まっていないのだろう。