メイア・ルアとはどんなプレー?
その名の通りボールと選手とで半円を描くような軌道を取ることから、ブラジルではポルトガル語で半月を意味する言葉であるメイア・ルア。
対峙した相手ディフェンスの横を縦にボールを蹴り出し、プレーヤーはボールを蹴り出した方と反対側からディフェンスをグルッと回って再びボールをキープするというドリブルテクニックで、日本では裏街道という名前で呼んでいる方も多い。
最初に蹴り出すボールが弱すぎると相手にカットされるし、強すぎると追いつかないという、最初に蹴り出すボールの力加減が難しいのだが、華麗に決まった時はかなり気持ちよく、またプレー自体も大きくわかりやすいので人気の高いテクニックだ。
日本で有名にしたのは三都主アレサンドロ選手
このメイア・ルアを日本で有名にしたのは、元日本代表で清水エスパルスや浦和レッズなどでプレーした三都主アレサンドロ選手。
チームでは左ウイングバック、日本代表では左サイドバックとしてプレーした左利きのドリブラーは、持ち前のスピードを活かしてスペースがある時にはこのメイア・ルアを多用した。
当時は三都主アレサンドロ選手のドリブルテクニックといえばこの技というぐらい、彼のプレーを代表するテクニックであった。
そして当時のサッカー番組で三都主アレサンドロ選手のプレーに注目が集まった時、このプレーを日本で古くから呼ばれていた「裏街道」という名前で紹介されたことから、今でもこのテクニックを裏街道と呼んでいる人もいるようだ。
ロビーニョ選手も得意としていたメイア・ルア
メイア・ルアというポルトガル語での名前を日本で広める事になったのは、レアル・マドリードやACミラン、そしてブラジル代表としても活躍した小柄なアタッカー、ロビーニョ選手だろう。
ロビーニョ選手は2000年代後半から2010年代序盤にかけて世界最高のドリブラーとも言われた選手。トリッキーなものからスピードを活かしたものまで様々なフェイントを駆使したドリブルは見ていて楽しい選手の1人だったが、その中でもスピードを活かした代表的なものがこのメイア・ルアだった。
先程の三都主アレサンドロ選手もブラジル出身でスピード豊かな選手であったように、このフェイントはブラジル人のスピードある選手が好んで使ったテクニックの1つだ。
フェルナンド・トーレス選手のメイア・ルア
ご紹介しているようにこのメイア・ルアはブラジル人選手が好んで使ったドリブルテクニックだが、ヨーロッパの選手でメイア・ルアを好んで使っていたのは、アトレティコ・マドリードやリヴァプール、チェルシーでプレーし、スペイン代表としても数々の栄冠を掴んだストライカー、フェルナンド・トーレス選手だ。
トーレス選手はストライカーであり、三都主アレサンドロ選手やロビーニョ選手のようにドリブラーとしての印象はあまりないかもしれないが、大きな武器だったのは身体の強さと抜群のスピード。クイックネスはそれほど高くないが、大きなストライドから繰り出される加速力は圧倒的だったので、細かなプレーではなくダイナミックなメイア・ルアはトーレス選手の特徴を活かすのにピッタリのプレーだったのだろう。
また大きく強い身体を活かしブロックをしようとする選手をなぎ倒すように加速していく様は、三都主アレサンドロ選手やロビーニョ選手とはまた違った魅力のあるメイア・ルアだった。
現在最高のメイア・ルアの使い手、ネイマール選手
現在最も美しいメイア・ルアを決める選手といえば、やはりブラジル人選手であるネイマール選手だろう。ネイマール選手もロビーニョ選手同様、トリッキーなものからスピードを活かしたものまで様々なフェイントを駆使する選手。
バルセロナのチームメイトであるリオネル・メッシ選手や、ライバル レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウド選手、ギャレス・ベイル選手などドリブラーと呼ばれる選手は他にも多くいるが、こういった遊び心のあるテクニックを使うのはネイマール選手の最大の特徴だ。
対峙するディフェンダーは距離をあけると精度の高いキックを繰り出されるので距離を詰めざるを得ず、変化に富んだ様々な技を使うので横への変化も注意する。そうやって前のめりになった所で抜群のスピードを使って裏を狙うメイア・ルアを繰り出すので、美しく抜け出す姿が見られる。
まとめ
ダイナミックさが魅力のメイア・ルア。裏にボールを蹴り出す事からどうしてもプレーが大きくなるので狭いスペースでは利用できず、使える場所は限定されるが、決まった時には一気に裏に抜け出す事ができているので爽快感抜群の見ていて楽しいプレーの1つだ。