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ネイマール選手らが魅せるサッカー超絶テクニック、ヒールリフト

2017 7/12 14:39Aki
サッカー,ネイマール
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Photo by Jefferson Bernardes / Shutterstock.com

ドリブル中に踵を使ってボールを蹴り上げ、自分の後ろから相手の頭上を越して突破するという、遊び心満載の大技・ヒールリフト。そのテクニックのルーツや得意な選手について紹介する。

サッカー少年なら誰もがチャレンジする大技

サッカーのドリブルテクニックは色々な種類のものがあるが、その中でも最も派手なプレーの1つがヒールリフトだ。フェイントの基本は「相手の逆をとる」ことだが、このヒールリフトに限っては逆もなにもなく、また見た目の派手さもあり、ドリブルの中でも大技のひとつだ。
実際の試合でチャレンジできる機会はそれほどなく、またボールを見ずに踵を使って蹴る事になるため思い通りの場所にボールをコントロールする事も難しい。難易度の高いテクニックだが、サッカーをプレーした事のある人ならば誰しもが練習をしたことがあるのではないだろうか。

見た目の派手さでマンガでも大人気

ヒールリフトは、最もシンプルなドリブルテクニックである切り返しなどとは異なり、通常のプレーとは全く異なる動きをするため必殺技としてわかりやすく、サッカー漫画でも大人気のプレー。
もはや伝説のサッカー漫画とも言える「キャプテン翼」の大空翼くんや、1990年代に絶大な人気を誇ったサッカー漫画「シュート」でも主人公の1人である平松和広くんが得意としていた。
このプレーはかなり難易度が高いので実際に見られる事はほとんどないが、こうやって漫画で必殺技のように取り上げられる事で、日本では特に人気を集めるテクニックとなっていったのだろう。

ヒールリフト=カネコ

日本ではヒールリフトと呼ばれるこのプレーは、ブラジルでは通常ランブレッタと呼ばれている。ランブレッタとはベスパと並んでイタリアを代表するスクーターメーカーの名前で、第二次世界大戦後のブラジルで大流行。それまでに無い新しいスタイルであった事からこの名がつけられる事になった。
他にもこのテクニックは釣具のリールを意味するカヘチーリャなどと呼ばれる事もあるが、その数ある呼び名の中でも最も意外なものは「カネコ」ではないだろうか。カネコとはサントスFCでプレーした日系ブラジル人の名前で、ヒールリフトを最初に行ったと言われている人物。サントスの右ウイングとしてプレーしていたカネコ選手は、1968年3月のボタフォゴ戦でこのテクニックを初めて披露したと言われている。

ヒールリフトを得意としていたジャウミーニャ氏

このテクニックはボールをコントロールする事が難しい為、相手から時間やスペースを消す守備戦術が発達していったヨーロッパではあまり行う選手はいなかったが、1対1の状況が比較的多い南米では、得意としていた選手が何人かいた。
そのうちの1人がブラジル人のジャウミーニャ氏。短期間ながら清水エスパルスに所属し日本でプレーしていた事もある。
ジャウミーニャ氏はとにかくトリッキーなドリブラーで、何度かこのヒールリフトを披露しているのだが、その中で最も有名なのがスペインのデポルティーボ・ラ・コルーニャでプレーしていた1999-2000シーズン、レアル・マドリード戦で見せたプレーだ。コーナーキックのこぼれ球を拾うとヒールリフトでパスを通して見せ、当時世界中で大きな話題となった。

近年得意としているのがネイマール選手

そして近年このテクニックを得意としているのが、ブラジル代表で10番を背負い、バルセロナでも大活躍中のネイマール選手。
2014-2015シーズンのコパ・デル・レイ決勝、バルセロナ対アスレチック・ビルバオ戦の3-1でリードしていた試合終盤にヒールリフトを見せ大きな話題になった。ジャウミーニャ氏の時と異なりバルセロナが大きくリードしていた試合の終盤だったため物議をかもすことにもなった。
しかし、ネイマール選手本人は“これが自分のスタイルだ”という事でその後も何度かチャレンジしており、翌シーズンのセルタ戦でもヒールリフトで華麗に抜き去る事に成功している。

まとめ

ドリブルテクニックで一番の大技とも言えるヒールリフト。 意外にもそのルーツは日系ブラジル人にあり、そしてその後もブラジル人選手を中心に受け継がれていったテクニックだ。 文化の違いからヨーロッパでは物議をかもす事もあるが、遊び心満載のプレーは見ていて楽しいことは間違いない。