マルセイユルーレットは回る!クライフターンは回らない?
マルセイユルーレットとは、相手と対峙する瞬間に背中を入れ、足裏でボールをコントロールしながら半回転、そしてさらに半回転しながらもう一方の脚でボールを蹴り出して前へ進むというドリブルスキルだ。華麗な見た目のテクニックだが、ボディバランスに優れた選手でないとバランスを崩して倒れてしまうこともあり、そうなると一気に情けないものになってしまう。
クライフターンとの違いがわからないという方が多いのだが、2つのスキルはまったくの別物なので注意しよう。クライフターンは、ボールを蹴り出すと見せかけて実際には蹴らず、蹴ろうした方向とは逆方向に身体を斬り返すスキルだ。マルセイユルーレットのように回転はしない。クライフターンのターンは切り返しを指す。
呼び名は色々!ジネディーヌ・ジダンが命名者?
マルセイユルーレットには、さまざまな呼び名がある。ジネディーヌ・ジダン氏が得意としたことから「ジダン・ターン」や、彼の出身地であるマルセイユからとった「マルセイユ・ターン」、同じく得意としていたマラドーナ氏にちなむ「マラドーナ・ターン」などもある。結果的にはジダン氏が「ルーレット」と呼んだことから、日本では「マルセイユルーレット」という名が定着した。
ジダン氏のマルセイユルーレットは、精度の高さはもちろんのこと、スキルを発動させるタイミングや局面の見極めも素晴らしい。相手選手を抜き去った後は、ジダン氏が完璧にフリーになっているような場面も多かった。
小柄な重戦車!マラドーナ
マラドーナ氏が見せたマルセイユルーレットは、軸がまったくぶれず、重戦車のごとく突進するようなスキルだった。
マラドーナ氏は165cmと小柄ながら、優れたフィジカルを持ち主。マルセイユルーレットの発動時にも簡単に倒れることはなかった。身体を入れ替えた後も、そのまま突進するかのように走り続け、多くの得点を演出。稀代のストライカーとして君臨した。
前述の通り、マルセイユルーレットは「マラドーナ・ターン」と呼ばれることもある。サッカーの豆知識として覚えておいてもよいだろう。
味方を美しくサポート!ミカエル・ラウドルップ
FCバルセロナやレアル・マドリードCF、そしてヴィッセル神戸などで活躍したミカエル・ラウドルップ氏も、マルセイユルーレットを巧みに操る選手の1人だった。
中盤より前ならどの位置でもプレーできた彼は、自身がドリブル突破する時だけでなく、味方への攻撃を演出する際にも、美しいマルセイユルーレットを披露した。
ちなみに、前述したクライフターンを生んだヨハン・クライフ氏とは、FCバルセロナ時代に不仲だったとされている。
回る神の子!リオネル・メッシ
「神の子」としてサッカー界の頂点に君臨するリオネル・メッシ選手は、どれだけ多くの選手に囲まれても状況を打破できる力を持っている。その際に使うスキルは、ダブルタッチやエラシコ、そして今回紹介しているマルセイユルーレットと、選択肢が非常に多い。
マルセイユルーレットの場合、回転し終わる方向と位置の選択が素晴らしく、そのまますぐに相手ゴールに向かって走れる準備ができている。追い込まれれば追い込まれるほど、メッシ選手のマルセイユルーレットは輝きを増すように思える。
まとめ
マルセイユルーレットは多くの呼び名を持つが、今ではジネディーヌ・ジダン氏にちなんだ名前が最も有名だ。
回りながら相手選手を抜き去る様子はとても美しいだが、限られた選手しか扱うことができない特別なスキルでもある。
ドリブルスキルに優れた選手が出場している試合を観る際には、披露されるかどうか、ぜひチェックしてみて欲しい。