「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

神はプレミアにも降り立った!ズラタン・イブラヒモヴィッチ

2017 5/17 09:55dada
zlatan
このエントリーをはてなブックマークに追加

世界を旅するイブラヒモヴィッチ

ズラタン・イブラヒモヴィッチ選手は1981年生まれのFWです。ポジションはトップの位置でストライカーとして活躍してきました。
30代をとうに超えており、キャリアは終盤を迎えています。母国のマルメFFで始まったキャリアは、AFCアヤックスやユヴェントスFC、インテルナツィオナーレ・ミラノ、ACミラン、パリ・サンジェルマンFCなど世界の名門クラブを転々とし、遂にはプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドFCにまで至っています。
彼が凄いのは、世界を転々としながらも確実に結果を残し続けていることです。ACミラン所属1年目までには国内リーグ優勝記録を8連覇を記録。急激な成長を続けたパリ・サンジェルマンFCにおいてもクラブのシンボル的存在となり得点を量産、タイトルの獲得にも大きく貢献しました。
サッカー史に残る名選手であり、「優勝請負人」としても名高いのがイブラヒモヴィッチ選手です。

母国スウェーデンは母国ではない?

イブラヒモヴィッチ選手はスウェーデン代表でも不動のエースとして君臨していました。同国のレジェンドであるヘンリク・ラ―ション選手引退後にはキャプテンも努めました。
ただ、イブラヒモヴィッチ選手のルーツはスウェーデンにありません。両親はボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチアにルーツがあります。実のところは両親の出会いの地がスウェーデンであり彼の育った国がスウェーデンだっただけです。
スウェーデンが国際大会の本選に出てくることはごく稀です。そのため、クラブでの実績豊富なイブラヒモヴィッチ選手は、代表でのタイトル獲得はありません。そのため「W杯で観ることが難しい素晴らしい選手」の一人としてウェールズ代表のギャレス・ベイル選手らと一緒に紹介されることも多いです。
しかし、イブラヒモヴィッチ選手は母国への愛を事あるごとに語り、EURO2016のベルギー戦で代表を引退するまでスウェーデン代表として活躍を続けました。

圧倒的な身体能力!唯一無二の男

イブラヒモヴィッチ選手の持ち味は何と言ってもずば抜けた身体能力にあるでしょう。
大柄な体格でゴール前で相手DFを寄せ付けず、シュート力、ジャンプ力は極めて強力です。趣味であるテコンドーによって磨かれたというジャンピングボレーは、彼の代名詞でもあります。敵味方の交錯するゴール前でも、臆することなく飛び込む姿勢はストライカーの鏡でしょう。
また大柄ながらも足元の技術も卓越しています。ドリブルスピードは無いにしてもフェイントや細かなタッチで相手を抜き去ることができます。
ボールを持たせてこれほど怖いFWは世界でも有数です。そして彼の放つ恐怖にも似た存在感は、彼にしかありません。唯一無二のプレースタイルを持つ選手です。

プレミアに降り立った王と神

イブラヒモヴィッチ選手は2016-17シーズンからプレミアリーグの名門であるマンチェスター・ユナイテッドFC(以下、ユナイテッド)に所属しています。 彼の放つ圧倒的な存在感と少々尊大な態度は、同クラブで「王」として崇められたエリック・カントナ氏と比較されました。
このことに対してカントナ氏は「ユナイテッドのキングは一人だけだ、なれるとすれば王子だろうな」といった発言をします。 するとイブラヒモヴィッチ選手は「カントナを尊敬している。その発言(王子になれる)も知っている。しかし、俺はユナイテッドのキングにはならない、なるとすれば神だ」とさすがの返答をしてみせました。
彼らのようなキャラクターの選手は「暴れん坊」、「悪童」といった謳い文句が付いて回ります。現にイブラヒモヴィッチ選手のプレーや立ち振る舞いにも粗っぽい部分があることは事実です。
ただ、世界の各地で結果を出し続けてきた彼に対しては、「尊敬」と言うよりは「畏敬」に近い印象が持たれることが多いです。
ユナイテッドでもアントニー・マルシャル選手やポール・ポグバ選手など、多くの若手の手本となっているようです。

モウリーニョとイブラヒモヴィッチ、CL権獲得で変わる去就

イブラヒモヴィッチ選手のユナイテッドでの契約は1年契約ですが、交渉次第で1年が延長できるオプションも付いています。
そもそも彼がユナイテッドにやってきたのは、インテル時代の恩師だったモウリーニョ監督が指揮をとっていたからです。ただ、まだ見ぬプレミアリーグとCLでのタイトル獲得も移籍理由に含まれています。
しかし、2016-17シーズンのユナイテッドにはCL出場権はありません。このシーズンでCL権を獲得すれば翌シーズンからの参戦が可能です。イブラヒモヴィッチ選手が1年の延長オプションを行使するのには、「ユナイテッドのCL出場権獲得」が絶対条件なようで、シーズン終了に差し掛かっている2017年3月時点でも延長合意には至ってはいません。
最初は老いを危惧されたイブラヒモヴィッチ選手でしたが、25試合出場15得点を挙げているだけにモウリーニョ監督も多くのサポーターも延長を期待している様子。さて、どうなるのでしょうか。

まだ終わらない?イブラヒモヴィッチのキャリア

2016-17シーズン終了時点で35歳になっているイブラヒモヴィッチ選手は、いつまで現役生活を続けるのでしょうか。
30代を超えてもなお結果を出し続けているだけに、「老い」の2文字は彼には無縁のように思えます。フィジカルコンタクトの激しいプレミアリーグにも順応してみせ、得点も量産し続けています。日頃のトレーニングも怠りませんし、若手選手らからは羨望の眼差しを受けています。代表は引退しましたが、クラブでの現役引退を示唆する発言もみられません。
おそらくあと2シーズン(2018-19まで)は現役を続けるかもしれません。3シーズンはさすがに難しいかもしれませんが、欧州以外のクラブであれば可能性はあるのではないでしょうか。
彼自身は元々スピードを売りにした選手ではなく、ポストプレーにおける身体能力の高さとゴールセンスを持ち味としています。あと数シーズンの間にスピードやスタミナは今以上に落ちるかもしれません。しかし、卓越したゴールセンスはそう簡単に落ちるものではありません。これからも易々とゴールを決めてくれるではないでしょうか。
それに彼が毎試合スタメンでなくなったとしても、スーパーサブとしての贅沢過ぎるチョイスにはなれるかもしれませんね。 自身を神と語る彼が、その立ち位置に甘んじるかどうかは不明ですが。