さまざまなスポーツを通じた地域づくりを実現するアルビレックス新潟
アルビレックス新潟は、さまざまなスポーツを通じた地域づくりを実現するクラブというコンセプトの下、サッカーだけでなく、バスケット、野球、陸上、スキー・スノーボードと多くの競技のチームを持つクラブ。そんなクラブの女子サッカーチームとして2002年にアルビレックス新潟レディースは誕生した。
初のリーグ戦となる北信越女子サッカーリーグを、年間通じてわずか1失点、全勝優勝で当時のL・リーグ2部に昇格すると、2位、2位、優勝と3シーズンで1部昇格を達成する。
初の1部リーグとなった2007年は、最終節にようやく降格圏を脱出するなど1部の壁を実感させられるが、2009年には上尾野辺(かみおのべ)めぐみ選手、川村優理選手、菅澤優衣香選手の生え抜き3人がなでしこジャパンに選出。翌2010年にはなでしこジャパンの坂口夢穂選手も加入し、リーグを代表するクラブとなっていく。
皇后杯で抜群の強さを発揮するも
アルビレックス新潟レディースで特徴的なのが、皇后杯全日本女子サッカー選手権大会で抜群の強さを誇っているということ。
リーグ戦の最高成績は2014年の3位ながら、2011年から2016年の7大会で4度の決勝進出はINAC神戸レオネッサの5度に次ぐ記録。そしてそのいずれもがINAC神戸レオネッサ対アルビレックス新潟レディースというカードで、もはや皇后杯の決勝といえばこのカードというほどになっている。
しかし、その4回全てでINAC神戸の前に苦杯をなめることに。4大会中3大会では絶対王者日テレ・ベレーザを準決勝で破っているのだが、決勝でもう1つの王者INAC神戸を越えることができないでいる。
悲願達成のためになでしこジャパン川村優理選手が復帰
今季こその初タイトルを喫し、クラブはなでしこジャパンの川村優理選手をベガルタ仙台レディースから獲得。
川村選手は2015年のワールドカップでも、昨年のリオデジャネイロ五輪予選でも、なでしこジャパンのメンバーとして戦っていた選手だが、それ以上にクラブが創設された2002年に地元新潟で注目の中学生として加入し、2012年までの11シーズンを戦いクラブの成長を共にした選手。27歳とベテランとも言える年齢となり、5年ぶりに「大好きな新潟に戻ってくる」と会見でも笑顔を見せた復帰を果たすことになった。
この補強はアルビレックス新潟レディースにとって、単に「日本を代表するパワフルな選手を獲得した」という以上の意味を持つものでもある。
チームを象徴する存在である上尾野辺選手と中村選手
チームの中心選手はアルビレックス新潟レディース一筋11年目の10番・上尾野辺めぐみ選手。なでしこジャパンのメンバーとして2016年のリオデジャネイロ五輪予選を戦った上尾野辺選手は、抜群のテクニックで相手を切り裂く。
そしてもう1人の中心選手は、昨年24歳にしてその上尾野辺選手からキャプテンの座を引き継いだ中村楓選手。2017年のアルガルベカップを戦うなでしこジャパンにも選出されたDFで、センターバックとして相手のボールを鋭く奪うだけでなく、そこから鋭いロングパスを供給できる今後注目の選手だ。
2シーズン目となる辛島監督、復活を目指す小原選手
監督を務めるのは2シーズン目となる辛島啓珠氏。Jリーグ創世記に頭脳派のセンターバックとして大学時代からコンビを組む現モンテディオ山形監督の木山隆之氏とガンバ大阪の最終ラインを務め、2015年にはJ3のSC相模原の監督も務めた理論派。攻守にわたって主導権を握るサッカーを目指している。
そして、チームには鮫島彩選手の後継者としてなでしこジャパンでも期待を集めた小原由梨愛選手も在籍。2015年に前十字靭帯損傷の大怪我を負い、昨季復帰を果たしたが、完全復活となれば非常に大きな戦力であることは間違いない。
まとめ
悲願の初タイトルを目指すアルビレックス新潟レディース。
川村選手の復帰は戦力以上の意味を持つ非常に大きいもので、その本気度を感じさせる。
ついに上尾野辺選手、中村選手、川村選手が揃う今季、注目のチームであることは間違いない。