東海学生サッカーリーグとは?
東海学生リーグ(以下東海リーグ)は東海地方の大学によって構成されるリーグで、1部2部それぞれ10チームの計20チームによって行われる。東海地方の大学サッカーにおいてはこの東海リーグを頂点とし、この下に東海リーグ参戦を目指すチームが戦うリーグが3つある。この3つのリーグについては後ほど紹介する。
大学サッカーというと関東リーグや関西リーグに強豪チームが多く集まっているが、ここ東海リーグも多くのプロ選手を輩出するなどレベルの高いリーグと言える。
関東リーグや関西リーグには多くの有力な高校サッカー選手が進学するためどのチームも非常にレベルが高いチームと言える。そういったこともあり関東1部リーグの伝統校で強豪校として知られる筑波大学が2014年に2部リーグに降格したり、2016年に同じく強豪校として多くの選手を輩出してきた早稲田大学が2部リーグに降格したりするなど、多くの強豪校がひしめくが故に下のリーグに降格するケースが少なくない。
一方で東海リーグに関しては後ほど紹介するが、リーグの上位チームがある程度固定される傾向にあり、全国大会も同じ顔ぶれが続いているなどしている現状がある。しかし「強いチーム」がある程度決まっているためなのか、そういったチームには関東や関西をはじめとして全国から多くの選手が集まる。
東海リーグを目指すチーム
先ほども少し触れたが東海リーグの下には東海リーグ参戦を目指すチームが戦っているリーグ戦が3つある。この3つのリーグは東海地方の各県、もしくは地域ごとに行われていてそれぞれ愛知リーグ、静岡リーグ、三岐(三重県と岐阜県)リーグに分かれている。
東海リーグ昇格への道は、まず各リーグを勝ち抜いた計4チームによる東海学生サッカーチャレンジリーグを行い、リーグの上位2チームがその年の東海リーグ2部の下位2チームとの入れ替え戦に臨むことができる。この入れ替え戦で勝利して東海リーグへと昇格することができるのだ。各リーグ→チャレンジリーグ→入れ替え戦と昇格までの道のりは非常に長く、どこかで負けてしまえばまた1年間かけて昇格に向けて勝ち抜いていかなければならない。
各リーグは所属チームの数が異なっている。愛知リーグは1部リーグ9チーム2部リーグ2チームの計11チームから構成される。2部リーグが2チームなことに驚いた人もいるかもしれないが2部リーグは1部リーグ所属チームのセカンドチームや高専チームなどが参加するオープン参加の交流リーグとなっているためこのチーム数となっている。実際にチャレンジリーグへの進出権(愛知リーグは2枠)を争うのは1部の9チームとなる。
静岡リーグは2016年に関しては静岡県立大学、浜松医科大学、東海大学海洋学部の3チームによるリーグ戦となっている。わずか3チームで1枠のチャレンジリーグ進出権を争う。2016年に関しては3チームという少ないチーム数での争いとなったが、2017年は常葉大学静岡キャンパスが東海リーグから降格し、また2016年度の静岡リーグからの昇格チームはなかったため4チームで争うことになる。
最後に三岐リーグだが、こちらは9チームで構成されるリーグだ。しかし愛知リーグ同様にセカンドチームや高専チームも参加しているため実際に昇格枠を争うのは6チームだ。
2016年については東海リーグを目指して戦ったのは各リーグ合わせて18チームだが、入れ替え戦まで進んでも必ずしも昇格できるわけではなく、昇格までは非常に険しい道のりとなっている。
強豪チームは固定化されつつある
東海リーグにおける強豪校は近年固定化されつつある。
例えば、大学サッカーにおける主要大会である「総理大臣杯」「全日本大学サッカー選手権(インカレ)」の過去3年の出場チームを見てみると
総理大臣杯出場チーム:愛知学院大学、東海学園大学、常葉大学浜松、中京大学(五十音順)
インカレ出場チーム:愛知学院大学、静岡産業大学、東海学園大学、常葉大学浜松、中京大学(五十音順)
とチームが限られていることがわかる。もちろん、東海リーグの出場枠が関東や関西に比べて少ないこともあるが、それでも出場するチームはある程度固定されていると言える。
これを過去5年まで見ても総理大臣杯において岐阜経済大学と静岡大学が追加されるのみだ。しかも岐阜経済大学はこの時初出場、静岡大学は17年ぶりの出場と全国大会常連のチームではなかった。
また、東海リーグの各地域で見ても愛知と静岡の大学がほとんどであり、三重、岐阜のチームの姿は見られず地域的にも偏りがあるものと思われる。
強豪大学に目を向けてみると、例えば、常葉大学浜松は元日本代表の澤登正朗氏が監督を務めていたり、静岡産業大学はJリーグのジュビロ磐田との提携を結んでいたりと非常に高いレベルでサッカーに取り組むことができる環境が用意されている。
また、中京大学や東海学園大学に関しては200人を超える部員が所属しており、厚い選手層を作っている。
このように全国大会に出るようなチームはしっかりとチームの強化を行っており、東海リーグにおける強豪として君臨しているのだ。
東海リーグのレベル
東海リーグにおける強豪チームだが、全国レベルでみるとどうなのだろうか?
これまでに行われてきた全国大会における優勝チームのほとんどは関東か関西のチームだ。
インカレにおいては2000年に1度中京大学が東海リーグのチームとして初めて優勝しているほか、総理大臣杯においては愛知学院大学(1982)、静岡産業大学(2007)、中京大学(2010)が準優勝しているものの、その力の差は関東、関西に比べて差があるものと考えられる。
2016年度の全国大会における成績を見ても、総理大臣杯においては、出場4チーム全てが関東リーグ所属のチームに敗れていて、最高位のチームでもベスト16となっている。また、インカレにおいても関東、関西のチームに敗れている。
2016年のインカレで優勝した筑波大学に敗れた中京大学の西村佳祐選手は以下のように語っている。
ボール回しの上手さと速さ。東海だったら一個ためてパスを出して、またためてという感じなのだが、こっちではポンポンまわす。1対1では東海では一度ボールを止めてから仕掛けてくるのだが、関東の奴らは一発で仕掛けてきた。東海にはないものなので、そこでちょっとついていけなかった部分がある
出典:
ゲキサカ
西村選手の言葉にもあるように、リーグのレベルの差は明確にあるようだ。
ここまで読んで「東海リーグは弱い」と思った方もいるかもしれないが、実際にはあと一歩のところまできているのだ。
例えば2016年の総理大臣杯において東海リーグから出場した4チームは、優勝した明治大学相手にPK戦まで持ち込んだ東海学園大、関東リーグ所属の桐蔭横浜大、国士館大相手に延長戦の末敗れた常葉大学浜松と愛知学院大学関東の強豪早稲田大学に1点差で敗れた中京大学といずれも接戦の末に敗退している。
大学サッカーにおいて関東や関西が強豪として知られているが、東海も決してこの2地域に引き離されているわけではない。
今後の展望
ここまで東海リーグについて紹介してきた。
ここまでの内容をまとめると、全国常連の強豪チームは存在するものの、関東や関西のチームにあと一歩のところで敗れているのが現状となる。
東海リーグが今後関東、関西に負けないようなリーグになるためには、リーグ内での切磋琢磨が必要になると考えられる。
東海学生サッカー連盟のホームページに記載されている2016年のリーグ順位の推移を見てみると上位4チーム(静岡産業大、中京大、東海学園大、常葉大学浜松)は第2節以降5位以下に順位を落としていない。逆に残りの6チームは第2節以降4位以上に順位を上げることができていない。
これが何を意味しているのかというと、先ほど書いているが、上位4チームと残りの6チームとの間に力の差があるということだ。2016年の1位?4位までの勝ち点は39か38で接戦隣っているのに対して5位のチームは30と数字で見てもその差は明らかだ。
なので、まずは現在の上位チームにストップをかけるようなチームが現れる必要がある。
例えば、名古屋経済大学は2013年より大学から強化指定を受け、元Jリーガーが指導を行うなど今後の台頭が期待される。
また、先ほども少し触れたが、岐阜経済大学も強化指定部として活動しており、先述の総理大臣杯初出場という経歴を有するチームだし、2016年の東海リーグにおいて上位4チームに次ぐ5位になるなど、上位を食い止める一番手として期待できる。
このようなチームが上位を脅かす存在となることで関東や関西のように高レベルの試合を経験することができ、接戦の試合に勝つことができるようになるのではないだろうか?
上位のチームに加えて、いかにそれらのチームを食い止めのし上がっていくかということに注目すると面白いかもしれない。