Jリーグの放映権の仕組み
Jリーグをテレビで放送するためには、放映権と呼ばれる放送する権利を取得する必要があります。Jリーグの放映権はリーグ全体で一括管理されています。プロ野球の放映権は各球団ごとに管理がされているため、この点はJリーグの特徴と言えます。
放映権には、NHKや民放テレビ局が視聴者に対して無料で放送する無料放送枠と、主にスカパーが有料で放送する有料放送枠の2つの枠があります。2016年まで有料放送枠はスカパーが主に担っていましたが、2017年からイギリスのパフォーム・グループのDAZNと10年間の契約を結んだことが注目されています(無料放送枠は別)。
DAZNとは?
2017年からのJリーグの放映権を獲得したDAZNとは、どのようなものなのでしょうか?
DAZNは、イギリスのパフォームグループによって提供されるライブストリーミングのサービスの名称です。パフォームグループは、世界最大級のスポーツコンテンツメディアで、サッカーのほかにも野球、F1、バスケ、アメリカンフットボール、格闘技、テニスなどさまざまなスポーツの放送を行っています。
DAZNによるライブストリーミングは、テレビだけでなく、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末でも見ることができるだけでなく、録画での視聴も可能となり、今まで以上にいつでもどこでもスポーツ中継を楽しめるようになることが期待されます。
DAZNとの契約によるメリット
DAZNとの契約のニュースが流れた際に注目されたのは、その契約金です。
10年間で2100億円という金額は、従来の4~7倍とも言われており、破格の契約であることがわかります。Jリーグはリーグでの収入を各クラブに分配金として振り分けており、放映権収入も分配金の対象となるため、各クラブの資金が潤沢になる可能性があるという点において大きなメリットとなります。
サポーターにとっては、従来の有料放送を主に担っていたスカパーよりも安い月額での視聴が可能になることがメリットの1つとして挙げられます。また、先述の通りいつでもどこでも試合が見られるようになり、しかも今や多くの人が持つスマートフォンでの視聴も可能になるため、Jリーグの観客数増加につながる可能性があるだけでなく、これまでサッカー中継を見ていなかった新たなサポーターの獲得が期待されます。
DAZNとの契約によるデメリット
DAZNはJリーグに2100億円の価値があるものとして破格の金額を払っていることからも、金額に見合うリーグにしていかないといけません。リーグの価値を高めるというのは、非常に曖昧で正解がないものなので、Jリーグや各クラブは今まで以上にクラブ運営を考えていく必要があります。一概にデメリットということはできませんが、金額とリーグの価値のバランスが崩れると、Jリーグの人気に影響が出る恐れがあります。
また、サポーターにとっては、インターネット回線を利用して視聴するため、電波の弱いところでの視聴は難しいほか、優勝が決まる試合などでアクセスが集中するとサイトがダウンしてしまう恐れも否定できません。
インターネットに関しては、街中でのフリーWiFiが充実していない日本において今後不満が出てくることが予想されます。DAZNの登場が、フリーWiFiが充実するきっかけになる可能性もありますが。
今回の契約が良いか悪いかは別としても、従来の視聴方法を大きく変えなければいけないという点においては、サポーターにとってはデメリットとなる可能性があります。
DAZNによって何が変わるか?
DAZNとの契約には、メリット、デメリットの両方の側面があるので、どちらが良いか悪いか判断することはできません。しかし、2100億円という破格の金額と、新たな視聴環境の誕生は、日本のサッカーを大きく変える可能性があります。
潤沢な資金によってクラブの強化が図られ、将来的に日本に世界的なビッグクラブが生まれる可能性があります。また、今は一部の国に限られていますが、海外での視聴もできます。今後、視聴可能な国が増える可能性もあり、海外にJリーグのファンが生まれるかもしれません。
しかし、これらはあくまでも可能性にすぎません。本当に上手くいくのかどうか、今後の動向を見守る必要があります。
まとめ
ここまでJリーグと放映権契約を結んだDAZNについて紹介してきました。
新しいものは、慣れるまでは戸惑いもあるかもしれませんが、日本サッカーに変化をもたらしてくれる可能性もあります。
ぜひDAZNに注目してみてください。