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高梨沙羅 平昌で壁を乗り越え飛躍できるか

2018 2/12 21:38SPAIA編集部
高梨沙羅
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Ⓒゲッティイメージズ

W杯歴代単独トップの通算54勝は持ち越しへ

平昌オリンピック前最後の実戦となった、1月28日スロベニアのW杯個人第10戦。高梨沙羅は87メートル、88.5メートルの合計256.6点で4位に終わった。奇しくもソチオリンピックと同じ順位である2017-18シーズンW杯では、ヒンターツァルテン(ドイツ)と蔵王で行われた団体戦で優勝した。しかし個人戦での総合優勝はなく、札幌での2位がベスト(2018年1月末時点)。男女を通じて歴代単独最多となる通算54勝の達成は、オリンピック後へ持ち越しとなった。

世界記録を更新し続ける21歳

1996年生まれの高梨は、世界の女子スキージャンプ最年少記録を続々と塗りかえてきた。2011年にオーストリアで行われたコンチネンタルカップで、女子史上最年少優勝を果たす。2012年に蔵王で行われたW杯第11戦では、日本人女子として初めて優勝。2012-13シーズンは、16歳4か月でW杯史上最年少での年間個人総合優勝を成し遂げた。

ソチオリンピックが開催された2013-14シーズンは、W杯個人での女子最多優勝記録を塗り替えて総合優勝。2016-17シーズンには、男女歴代最多タイの通算53勝を達成し、2年連続4度目の総合優勝を果たした。

小学校2年生でジャンプをスタート

世界レベルで活躍を続ける強さのルーツは、幼少時からのスキージャンプ英才教育にあるようだ。高梨が生まれたのは、大雪山連峰を望む北海道上川町。長野オリンピックのスキージャンプ団体で金メダルに輝いた原田雅彦の出身地でもある。

小学校2年生のとき、アルペン用のスキーを履いてジャンプを始めた。コーチは、現在もクラレのスキージャンプチームの監督を務める父の高梨寛也氏だ。高梨の兄も元スキージャンプ選手。ジャンプは幼いころから身近な存在だった。

スキージャンプでは、飛距離を数値化した「飛距離点」と、ジャンプや着地の美しさを表す「飛型点」を競う。高梨の強みは、その踏み切りにある。時速90kmで滑りながら、スピードを失わずにベストな踏み切りを高い確率で成功させる。それを可能にするのは、彼女の驚異的な集中力と、人一倍練習を重ねて培った高い技術力だ。

ジャンプは自分との闘い

2017-18シーズンは、合宿先の気温が下がらず十分な練習ができなかった。武器である踏み切りの感覚をつかみきれないまま、シーズンが始まったのだ。さらに2016-17シーズンW杯総合3位のマーレン・ルンビー(ノルウェー)や、カタリナ・アルトハウス(ドイツ)が大躍進。ほとんどの大会で、この2人が1位、2位を分け合っている。

4年前、W杯で優勝を重ねる高梨は、オリンピックでも金メダルが当然と思われていた。常に追われる側だったが、今度は追いかける立場でオリンピックに臨む。

高梨は、スポーツ新聞のインタビューに、このように語っていた。 「追いかける、追いかけられるという感覚はありません。ジャンプは個人競技で対相手の競技ではないので。自分との闘い的な部分がある。だから自分に勝てるか勝てないかに懸けている」

2017年2月、通算53勝の記録を打ち立てたのはW杯平昌大会だった。勝利の地、平昌でスキージャンプが行われるのは12日。高梨が目指すのは、あくまで金メダルだ。飛び出しのスピードを生かした踏み切り、高いバランス感覚と柔軟性による安定した飛行姿勢で、さらに遠くへ、さらに美しく。平昌では、高梨本来のジャンプを見せてくれることだろう。

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