女子スキージャンプの最年少記録を次々と打ち立てる高梨
世界の女子スキージャンプの第一人者として、圧倒的な実力を誇る高梨沙羅。記録に注目すると、その凄さがよくわかる。
2011年2月19日にオーストリアのラムサウで行われたコンチネンタルカップで女子選手史上最年少優勝を果たしたのを皮切りに、次々と記録を打ち立てる。2012年3月3日に蔵王で行われたワールドカップ第11戦では、日本人女子初の優勝、2012年/2013年シーズンには2戦を残した状態で8勝をあげ、FISワールドカップ史上最年少で年間個人総合優勝を果たした。
この時まだ16歳4か月と、あどけなさが残るインタビューを覚えておられる方も多いのではないだろうか。かわいらしいルックスからは想像のつかない無類の強さで瞬く間に人気選手となった。
高梨の強さのルーツは家族にあり
高梨の強さの秘密はどこにあるのだろうか。彼女の背景をたどっていくと、ルーツは幼い頃からの家族によるスキージャンプ英才教育にありそうだ。
高梨の出身地は北海道上川郡上川町。冬になると雪が何mも降り積もる豪雪地帯だ。高梨はそこで小学校2年生の時からアルペン用のスキーを履いてスキージャンプを始めた。
コーチは父で、元スキージャンプ選手の高梨寛也氏。高梨氏は現在もクラレのスキージャンプチームの監督をしている。そして兄の寛太氏も元スキージャンプの選手で、2015年にはユニバーシアード代表として大会にも参加したほどの実力者だ。
高梨の強さのルーツは、恵まれた家庭環境と幼い頃からの英才教育にあった。
高梨はなぜ勝てるのか?
世界大会で圧倒的な活躍をみせる高梨だが、強さの秘密はどこにあるのだろうか。
高梨は身長152センチ、体重40キロ台中盤と、必ずしも選手として体格に恵まれているわけではない。それでも自分よりも一回りも大きな選手と戦って勝てる理由は彼女の踏み切りにある。
高梨は時速90km/hのスピードで滑りながら、スピードを失わずにベストな踏み切りを非常に高い確率で成功させているのだ。それを可能にしているのは彼女の驚異的な集中力と、これまで培ってきた高い技術だ。
W杯最多優勝・平昌オリンピック金メダルと期待のかかるこれからの活躍
すでに圧倒的な記録を残してきている高梨のこれからはどうだろうか。まず期待されているのが、W杯での最多優勝記録だ。
2017年のW杯第18戦の平昌大会で優勝を決め、通算勝利はついに53勝。これは男女歴代最多勝タイの記録だ。W杯の次の優勝で、単独歴代最多勝の記録を打ち立てることが期待されている。
また平昌大会と同じ会場で行われる冬季オリンピックでもメダルの期待がかかる。
高梨のジャンプの見どころ
テレビでも高梨のジャンプの様子が放送される機会が増えているが、彼女のジャンプの見どころは飛距離だけではない。
飛行姿勢の美しさは比類ないものがある。抜群の踏み切りの後、高いバランス感覚と柔軟性による、非常に安定した飛行姿勢は高梨の武器の一つだ。飛距離が注目されがちなスキージャンプだが、飛び出しのスピードを生かして、ふわりと降り立つような飛ぶ姿に注目しよう。
圧倒的な成績を残している高梨。今後の記録更新、さらに平昌オリンピックとますますの活躍が期待される。