バスケットボールのbjリーグとNBL、プロ・アマの逆転現象
日本のラグビーが実際に、プロ化したら、トップリーグと新たなプロリーグのチームは、どちらが強くなるだろうか。かつて日本のバスケットボール界には、プロ・アマの2リーグが存在する時代があった。
Bリーグに統合されるまで、日本のバスケットボールは長らく分裂状態が続いた。プロのbjリーグは積極的に外国籍選手を招聘し興行にも力を入れたが経営はギリギリで、プロといっても選手の生活は厳しいものだった。
他方のNBLは実業団リーグのため、企業チームには潤沢な予算があり、優秀な日本人選手を有していた。資金も人材も企業リーグの方が上で、bjリーグはプロリーグといっても、国内最高レベルのリーグとは必ずしも言えない状況だった。
つまり、プロとアマの逆転現象が起こっていた。企業チームとプロチーム、2つのリーグに分裂したことは、バスケットボール界に大きな弊害をもたらした。
三部制という構想が発表されているが、プロ・アマをどのように分けるかは現時点では確定していない。ラグビーでも場合によっては、バスケットボールのように、プロとアマの逆転現象が起こる可能性もある。アマの実力が互角以上になってしまえば、日本代表を招集する際、これまでと変わらず企業チームからも選出されるだろう。それでは代表強化のためのプロ化という目標が達成できなくなってしまう。
力関係の変化は、外国籍選手規定がミソ
プロ・アマの逆転現象の対策が考えられていないわけではない。それが外国人選手に関する規定だ。ラグビーのトップリーグのチームには、優秀な日本人選手が多く所属している。プロリーグができた後、トップリーグ(またはその後継リーグ)は、外国籍選手が所属できなくなる構想だ。
トップリーグが外国籍選手を使えなくなるのは、この2つのリーグの力関係を変える上で、非常に大きなからくりだ。外国人選手が入る分、プロリーグはレベルが上がる。企業がどのような目的でラグビーチームを抱えているかにもよるが、一流の外国籍選手を獲得する必要にかられて、プロに転向するチームが現れるかもしれない。
一方で、トップリーグが招聘していたような一流の外国籍選手をプロリーグの全てのクラブが獲得できるかという疑問もある。人気が上昇し、経営基盤もしっかりすれば、トップリーグより強いリーグになっていく可能性はある。しかしバックアップしていた企業が撤退するなどして、一市民クラブとして参戦するチームには予算的に難しいだろう。これは、どれだけサポーターの支持を得て、ビジネスを成功させるかにもかかっている。
プロとアマの交流戦も行うべき、対抗意識が見もの
こうして考えると、プロ化後も企業が支援するJリーグ的なリーグになりそうだ。しかし、日本のラグビーチームは、サッカー以上に企業スポーツ志向が強いと思われる。強豪チームの中には、トップリーグに留まるチームも複数、出てくるだろう。
ラグビーの場合、協会主導のため、リーグ分裂ではないが、もう一つの全国リーグが出来ることで、変化が起こることは確実だ。プロ・アマの間で化学反応が起きれば面白い。ラグビーには特有のアマチュア精神がある。カップ戦等、プロ・アマが交流し、お互いのプライドを掛けて戦う大会は盛り上がるだろう。
当面は、プロ・アマでレベルが拮抗したリーグになるに違いない。プロリーグが成功し、世界的な大会へと発展するためには、まずプロがアマを人気と実力で突き放さなければならないだろう。