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ラグビーW杯へ釜石に新スタジアム完成 こけら落としイベント盛況、一方で課題も

2018 9/1 13:00藤井一
釜石シーウェイブス,Ⓒゲッティイメージズ
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ところで新スタジアムは?

この新スタジアムはハイブリッドの芝が敷き詰められていてプレーする側には快適だ。観客にとっても海も近く景色もいいのだが、ビジョンはもちろん、得点や、経過時間、メンバーなどを表示する電光掲示板がない。従ってビジョン、スコアボードなどは試合ごとに仮設で設置される。

今回のイベントでは得点と経過時間だけがわかる簡易ボードと移動式の大型ビジョンがゴール裏に持ち込まれただけだったので、観客は出場している選手が誰なのかは場内アナウンスを聞いていないとわからなかった。

一見不便にも思えるが、五輪やサッカーW杯といった大きな大会の開催国が大規模な会場や豪華な施設を新設した結果、大会後に国や地域の負担となってしまう問題が近年発生していることを考えれば、理にかなった選択だ。

W杯以降、どれだけの大きなイベントができるかは未知数。電光掲示板を常設すると工費だけでなく、維持費もかさむということで設置が見送られた。いまだ震災から復興途上の釜石、市の負担を可能な限り抑え先々の運営コストを考えたつくりとなった。

釜石鵜住居復興スタジアム,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

アクセスに課題も

ただ、交通アクセスについてはW杯へ向け課題がある。

スタジアムはJR釜石駅から車で10~15分ほどの距離だ。現在は車以外にこのスタジアムに行く方法はないが、第三セクターの三陸鉄道(旧JR山田線)が来年3月に全線開通する。そうなればこのスタジアムへは鉄路で行くことができる。

東北新幹線の新花巻駅からJR釜石線に乗り換え、快速だと約1時間半で終点の釜石駅だ。ここでさらに三陸鉄道に乗り換えれば、鵜住居駅まで10分とかからない。そこからは徒歩数分で着ける。

ただし、三陸鉄道は非電化の単線だ。ホーム自体も短く、4両編成が限界だろう。さらに車両は都市圏などで見られるロングシートではないクロスシートと呼ばれる対面式の座席で1両あたり150人ぐらいが限度と考えられる。となると4両編成では1回の輸送で上限が600人だ。付け加えるとJR釜石線も快速は通常4両編成である。

つまり、新花巻から鉄道だと5往復しても運べるのは3000人程度で、W杯で1万6000人を集客するのならこれは全体の2割に満たないのだ。大半は三陸鉄道利用以外の方法でこのスタジアムに向かうことになる。

それにはバスしかないのは明白だ。それもJR釜石駅だけではなく、新花巻、東北在住のラグビーファンのことを考えたら盛岡や仙台、青森など東北各地の主要都市からの輸送が必要となるだろう。花巻空港からの直通バスも必須だ。

釜石がラグビーの町であることに異論を唱える人はいまい。しかし、関係者はそこに行くには?という問題の答えをしっかり出さなければいけない。復興を願うからこそ、スタジアムが復興につながる原動力となるために。そんなことを痛感させられたこけら落としイベントであった。

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