「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

日本7人制ラグビー東京五輪への課題

2018 5/5 09:00藤井一
ラグビー,トライ
このエントリーをはてなブックマークに追加

日本男子セブンスの現状

2016年からオリンピックの正式競技になった男女の7人制ラグビーが、世界で広まりを見せている。15人制では日本よりはるかに弱いケニア、スペイン、ロシアが7人制ラグビーの強化を進めており、ワールドラグビーセブンズシリーズに出場を果たした。

ワールドラグビーセブンズシリーズとは、7人制ラグビーの世界大会であり、出場できるのはコアチームと呼ばれる15ヶ国とゲストで選ばれた1ヶ国の16チーム。4チーム4プールに分かれ総当たり戦で優勝を争う。

日本の男子セブンズは2016年のリオデジャネイロオリンピックの予選プールでニュージーランドを破り、堂々4位に入ったのだが、その後のワールドシリーズではいい成績があげられず、コアチームから降格していたのだ。

 そのコアチーム昇格を賭けた予選大会が4月6~8日、ホンコンで開催され、日本は準決勝でアイルランドに、決勝でドイツにそれぞれ際どく逆転勝ちし、昇格を決めた。日本は今までコアチームから降格や昇格をくり返しており、これが3度目の昇格となる。

日本女子セブンズ(サクラセブンズ)の現状

女子は現在コアチームおり、1月26日~28日にオーストラリアで行われた「HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ オーストラリア大会」で、強豪イングランドから初白星を奪う快挙をみせた。

自国開催の「HSBC ワールドラグビー 女子セブンズシリーズ 北九州大会(4月21日~22日)」で、ニュージーランド、フランス、アメリカと共にプールBに組み込まれたサクラセブンズ。全敗のまま迎えたカナダとの最下位決定戦でも負け越し12位に終わってしまった。

ホーム開催のため、多くの応援があった日本女子セブンズ代表たちは、悔しさと共に世界の壁がさらに高くなっていることを実感した。コアチーム残留が危うくなっており、練習方法、練習相手の確保、フィジカル面など全ての面で成長が望まれている。

大学レベルの強化も必要

4月15日、秩父宮ラグビー場で第19回東日本大学セブンズが開催された。この大会の本来の目的は学生ラグビー7人制の強化にあるのだが、トップレベルで継続的に7人制の強化を行っている大学は未だない。

オリンピックに向けて継続的に7人制チームを強化していきたいが、15人制のような知名度はなく難しい状況になっている。国籍や年齢などを考慮しながら、早急に強化しなければならない課題なのだが、トップリーグでも大学でもなかなか7人制の代表選手が集まっていないのだ。

7人制のスキルは15人制でも活きる。一方で昨年、新潟大が早稲田大を破ったように特化して練習を積めば番狂わせが起きてしまう。多くのチームが直前にメンバーを選考し、戦術面では極めて表層的な練習だけで大会に臨んでいることが原因だ。

ほとんどの大学が7人制の戦いになっておらず、本来の目的を失ってしまっている。

金メダルのためには

2020年の東京では男女ともメダル獲得(協会は「金」と言っている)が目標だが、そのためには最低限コアチームに所属して世界のトップレベルと戦い、チーム力を上げ、その目標に近づかなければならないだろう。少なくとも来年の今頃、またコアチームから降格となれば、もう2020年までコアチームとして戦えず、十分な実戦経験を積むことができなくなる。

加えて、大学レベルでの強化が進まなければ、これまでと同様に15人制ラグビー専任の選手から選出することも考えなければならなくなる。7人制専任選手の選出、育成のためにも早急な体制見直しが必要だ。