ヘッドキャップの効果
本番も練習も関わらず、ハードなぶつかり合いが多いスポーツであるラグビーにとって、選手が被る“ヘッドギア”はとても重要な働きをしている。
ラグビーはほぼ生身の体同士がぶつかり合うため、他のスポーツと比べて脳震とうを起こす確率が高い。そこで頭部保護のために被るのが、ヘッドギアだ。他にも、スクラムなど密集プレーの多いFW選手の耳が切れるのを防ぐ効果もある。
日本では高校生までの着用が義務付けられているが、大学生以上になると「邪魔」「音が聞こえない」「熱い」といった理由から、グッと着用率が下がるようだ。
ロスタイムとタイムキーパー制、そして試合終了のタイミング
タイムキーパー制が採用されていることが多い国際試合やトップリーグ、スーパーラグビーなどでは基本的にロスタイムはなく、高校ラグビーや大学ラグビーなどではこれまで通りレフェリーが時間を管理しているためロスタイムが生じる。
タイムキーパー制とは、レフェリーとは別に試合時間を管理する“タイムキーパー”を配置する制度のことだ。また、前半戦終了や試合終わりにホーンを鳴らすのもこのタイムキーパーの仕事だ。
では試合終了のタイミングはいつなのか。基本試合時間の80分が経てばホーンが鳴って試合終了なのだが、ラグビーには「プレーが途切れるまで試合は続く」というルールがある。プレーが途切れる時とは、例えばボールがラインを割る(外に出てしまう)、ゴールを狙ったキック、密集(モールやラック)からボールが出せなくなったとレフェリーが判断した時だ。その場合、80分を過ぎてもプレーは続く。
あの南ア戦にてゴールラインの前でスクラムを選択した日本は、反則を犯すこともなく左右にボールをつなぎ続け見事トライとなった。ラグビー観戦に行った時は、レフェリーが試合を終了させるまで決して帰ってはいけない。
レフェリーは絶対の権限を持つ
ラグビーのレフェリーは、とにかくよく走る。選手よりも走っているのでは?と思うくらいだ。他にもラインズマンが二人いるが彼らには決定権がなく、選手もレフェリーが出したジャッジに対して抗議をする権利はない。
レフェリーは80分間全てにおいて、30人の選手が織りなす数々のプレーに責任を持って笛を吹かなければならない。つまり、試合においてレフェリーのジャッジは絶対なのだ。唯一キャプテンだけが、あくまでも“質問する”という形で説明を求めることができる。
ここである有名な話を紹介する。1905年にイギリス遠征中だったNZオールブラックス対ウェールズの試合終了間際、3点差で負けていたオールブラックスのFBが敵のタックルを引きずりながらも逆転トライを決めたように思われた。だが、レフェリーのジャッジはインゴールノックオンで、そのままNZは惜敗してしまった。
この試合を観戦していた多くの人は誤審だと感じたが、FB本人は試合中はもちろん、試合後もその判定について語ることはなかった。そして数年後、彼は出兵した戦場で戦友らに「あれは間違いなくトライだった…」と言い残し息をひきとった……と言われている。