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オリンピック・ボート競技のこれまでとこれから

2016 12/16 11:07
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Photo by John Kropewnicki / Shutterstock.com

2020年に開催される東京オリンピックのボート競技は、高層ビルを背景に東京湾で繰り広げられることもあり、注目ポイントのひとつとなっています。 そこで、ボート競技について、オリンピックを中心に過去を振り返り、今後の展望をご紹介します。

オリンピックのボート競技

1900年の第2回パリオリンピックから実施されているボート競技。男女ともに2000mの距離でスピードを競い合います。ボート競技では1962年から世界選手権という権威ある大会もありますが、オリンピックの成績の方が重視されます。
オリンピックの選考基準に、前年度の世界選手権で種目ごとの基準順位を上回るという要素があることから、世界選手権がオリンピックの予選的な立ち位置に置かれていることがわかります。また、世界選手権は、オリンピック開催年にはオリンピックで設けられていない種目のみで開催されます。
これらの事実から、オリンピックにおけるボート競技の伝統も合わせて、世界選手権よりオリンピックに重点が置かれていると言えます。

これまでのオリンピックを振り返る・強豪国や有名メダリスト

これまでの歴史を振り返ると、オリンピックのボート競技でメダルを量産してきたのがアメリカです。金メダル33個をはじめ、合計89個のメダルを獲得。総獲得数では2位のイギリスが68個ということで、圧倒的な差があることがわかります。
一方、個人としてのメダル獲得では、ルーマニアの女子選手たちが大活躍しています。エリサベタ・リパは、金メダル5個をはじめ計8個、ゲオルギータ・ダミアンも金メダル5個を獲得。総獲得数ではアメリカには及びませんが、個人で複数のメダルを獲得している点は、アメリカの選手にはない強みです。

2016年リオデジャネイロ大会ではどうだった?

2016年のリオデジャネイロ大会では、団体種目ではイギリスとドイツの活躍が目立ちました。
イギリスは、男子でフォア(4-)とエイト(8+)で2冠、女子はペア(2-)で金メダル、エイト(8+)で銀メダル。ドイツも男子はクォドルプルスカル(4×)で金メダル、エイト(8+)で銀メダル、女子もクォドルプルスカル(4×)で金メダルの活躍でした。
一方の個人種目では、男子でマルティン・シンコビッチ、バレント・シンコビッチ組のダブルスカル(2×)金メダルをはじめとするクロアチア勢、ダブルスカル(軽量級も含め)でのノルウェー勢の活躍が目立った大会でした。

オリンピックでの日本選手の活躍は?

オリンピック・ボート競技での日本勢の成績は、2000年と2004年の男子6位が最高となっています。
2016年のリオオリンピックでは、男女とも軽量ダブルスカル(2×)で大元英照・中野紘志組、大石綾美・冨田千愛組が出場しました。 大元・中野組は2016年アジア・オセアニア大陸予選で2位入賞し、本大会では決勝まで進出。15位という結果に終わりました。
一方の大石・冨田組は、アジア・オセアニア大陸予選で1位通過、2015年のユニバーシアードで日本ボート界初の金メダルを獲得するなど、本大会でもメダルが期待されましたが、12位という結果に終わりました。
しかし、どちらのペアもまだまだ今後の成長にできる選手たち。2020年の東京オリンピックでは日本初のメダルに期待したいところです。

次回は東京湾で開催!

そして、いよいよ次回大会となった2020年の東京オリンピック。ボート競技は、東京湾に新たに設けられる「海の森水上競技場」での開催が予定されています。大都市・東京の高層ビルを背景に、臨海部の自然に囲まれたコースでのハイレベルなレースが期待されています。
しかし、最近ではカヌー・スプリントと合わせた代替候補地として、東日本大震災の仮設住宅を選手村として転用する宮城県での開催案も浮上しています。これは、2020年の東京オリンピックには、震災からの復興という理念も掲げられているためです。
新国立競技場の建設案やエンブレムなど、計画当初から数々の問題を抱えている東京オリンピックですが、会場がどちらになるにせよ、選手たちの力が存分に発揮できるハイレベルなレースに期待です。

まとめ

競技会場について問題点はあるものの、2020年の東京オリンピックでは、ボート競技界最高峰のレースが繰り広げられること間違いなし。 これまでメダルに縁がない日本勢ですが、地元開催となる東京でのメダル獲得に期待したいですね。