軽量級最強の「二人組」を決めるリーグ戦
数ある格闘技の中で、「タッグ」という概念があるのはプロレスだけだろう。プロレスというスポーツの娯楽性をより高めるためにつくられた、2対2で行われる試合方式だ。「タッグこそプロレスの醍醐味」とも言われ、様々なドラマがタッグマッチによって生まれてきた。
10月16日より、新日本プロレスでは軽量級選手のタッグリーグ戦「SUPER Jr. TAG LEAGUE 2018」が開催される。軽量級の試合となると、華やかな飛び技やスピーディな連携が期待され、非常に見ごたえのあるリーグ戦になることは間違いないだろう。
本大会に出場する選手達の魅力を伝えるとともに、大会の見どころを解説していきたい。
注目の"新パレハ" 龍の遺伝子を受け継ぐ者・鷹木信悟
10月8日、内藤哲也率いるユニット「Los Ingobernables de Japòn」に加わる、新たな"パレハ(仲間)"が発表された。
「THE DRAGON」とコールをされて現れたのは、前日にプロレス団体「DRAGON GATE」を退団して、フリーに転向したばかりの鷹木信悟だった。DRAGON GATEで最も権威のある王座「オープン・ザ・ドリームゲート王座」に4度輝き、14年間もの間DRAGON GATEを盛り上げて来た張本人だ。
鷹木はパワーで相手をねじ伏せるタイプのレスラーで、軽量級が数多く所属するDRAGON GATEにおいて、相手選手を強引に放り投げる姿は圧巻であった。新日本プロレスでも軽量級として活動するが、重量級のレスラーと戦っても負けず劣らない力を秘めている。
本人も「デカい相手とやり合いたい」と言っていたこともあり、新日本プロレスの軽量級の中では異端と言える存在だ。その鷹木は、同じユニットで活躍するBUSHIとタッグを組み、本リーグ戦に挑む。
スピードのBUSHI、パワーの鷹木。お互いタッグを組むのは初めてでコンビネーションには不安もあるが、非常にバランスの取れたタッグチームとなっており、優勝候補と言っても過言ではないだろう。
新生"TIME SPLITTERS"? KUSHIDAとセイビンがタッグ結成
"TIME SPLITTERS"。かつて、アレックス・シェリーとKUSHIDAが組んでいたタッグチームであり、IWGP ジュニアタッグ王座にも輝いた名タッグだ。シェリーの怪我によりほぼ解散状態にある現在、KUSHIDAにはパートナーがいない状況だった。
しかし、KUSHIDAは新たなタッグパートナーを引き連れて本大会に出場することになった。アレックス・シェリーがアメリカで活躍していた頃に、"モーターシティマシンガンズ"としてタッグを組んでいた盟友、クリス・セイビンだ。
セイビンとKUSHIDAは「同じパートナー」アレックス・シェリーと組んだ経験があり、遡ればカナダのカンナム道場出身という共通点もある。試合でも拳を合わせたことがある2人だが、今回はタッグとして協力し、優勝を目指す。新生"TIME SPLITTERS"とも言えるこのタッグも、初めてのタッグ結成ながら優勝候補と言える実力者同士のタッグだ。
KUSHIDAはチャンピオンとしての意地を、セイビンはかつてアメリカインディ界を大きく揺るがしたモーターシティマシンガンズの力を示すことができるか。そして、同じタッグパートナーであるアレックス・シェリーのためにも栄光をつかみとりたいところだ。
前年度覇者か、BULLET CLUB未知の脅威か。
前年度覇者の"ロッポンギ3K"のYOHとSHOは、実力派でありながら今年度は目立った活躍を見せられていない。だが、「3Kを世界一のチームにする」「いい風を吹かせる」と言うYOHの発言から、リーグ戦への意気込みが感じられる。メキシコで修行を積み、二人三脚で歩んできた2人のタッグはどのチームよりも結束力が上のはず。前年度覇者の意地を見せられるか注目だ。
また、BULLET CLUB OG に所属する石森太一は、オーストラリアで活躍するレスラーであるロビー・イーグルスを引き連れて参戦。空中技を得意とするレスラーで、身軽にリング内を飛び回る姿が想像される。まだまだ実力は未知数の選手だが、海外のインディ団体から新日本プロレスの軽量級として人気を博した選手は多い。この大会でイーグルスは「ニュージャパンドリーム」を手に入れることができるか、見ものである。
タッグこそプロレスの醍醐味
他にも、ひょうきんながらもやる時はしっかり決める前年度準優勝の田口隆佑、ACH組。メキシコプロレス団体「CMLL」からの刺客であるボラドールJr、ソベラーノJr組。「生けるレジェンド」獣神サンダーライガー、タイガーマスク組。そして、現IWGPジュニアタッグ王者である金丸義信、エル・デスペラード組の参戦が決定されている。
どのチームの選手も、世界各国が注目する軽量級の最高峰の選手であり、注目のリーグ戦である。個人でも十分に観客を魅了する名レスラー達の共闘には、胸を打つものがある。
リングの中は孤独の世界だ。戦うという行為は、その孤独との戦いでもある。しかし、プロレスのタッグという試合では、深い絆で結ばれた者同士で対戦相手と戦いに挑む。その中で、お互いを高め合い、努力し、そして勝利を求める姿は実にドラマティックであり、見る者を魅了する。
ぜひとも、今大会での軽量級選手達の活躍に注目していただきたい。